第25話 ヒトラーVS幼馴染
「うん?誰だ」
小島は声のした方を向いた。
すると一人の長身のハンサムな男が林の中から現れた。現れたのは
「あ、アドルフさん」
「ああ、俺だよ。浩香」
そう、現れたのはアドルフだったんだ。
「うん、あんた何者よ。浩香とどういう関係なの?」
倫子が偉そうに聞いた。
「俺かい?俺は彼女の恋人の友達だよ。今日、始めてあってね。夕方、別れたんだが、新潟は中央区や長岡以外は交通の便が悪いことを思い出してね。困ってるかもしれないと思って引き返してきたんだ。送ってあげようと思ってね。しかし、バス停まで行ってみたらそこにいる男が強引に彼女を車に連れ込むのを見てね。何かあると思ってつけてきたんだ。さっきから聞いてたが、お前らは桜とかいう女に頼まれて彼女にヤバいことをしようとしてるみたいじゃないか、そんなことが許されると思っているのか、俺は許さんぞ」
アドルフは鋭い口調で言った。
「なるほどな。気づかなかったよ。しかし、浩香に彼氏がいたのか?意外だな。俺は浩香は一生、独身だとばかり思ってたぜ、あんたも浩香のこと好きなわけ、鴨川に中村に彼氏にあんたか、4人も浩香に惚れてるとはなわけわかんねんよ。しかし、あんたの好きにはさせないぜ、俺たちにはこれがあるんだ。あんたは丸腰だ。俺たちには敵わねえよ」
勝吾がスターリング・リボルバーをアドルフに向けながら言った。
「ああ、そうだ。俺たちには銃がある。あんた1人でどうすんだよ?おとなしく引き下がった方が身のためだぜ」
小島もNP42を向けながら言った。
「なるほどね。確かにお前らには拳銃がある。しかし、俺は引き下がらないぜ、俺はお前ら全員を倒して彼女を助け出せる自信がある。お前らこそ、さっさと彼女を開放してどこかへ失せろ、後悔しても知らないぜ」
アドルフは鋭い目つきになりながら威圧的に答えた。
「ふん、何言ってるのよ。できるもんならやってみなさい。津田君、浩香を見ててこいつを始末してやるから」
倫子がデーウーDP52を手に言った。
「ええ、もちろんです。やってください」
津田もほかの4人をけしかけた。
「ハハ、行くぜ」
小島の命令で津田以外の4人はアドルフに銃口を向け、発砲しようとした。
が、しかし
突然、アドルフは身を伏せ、腰から拳銃を引き抜くと素早く小島たちに発砲した。
「うわあああ」
小島たちは絶叫を上げ倒れていった。
アドルフの右手にはサイレンサー付きのドイツ製、ヘッケラー&コッホUSPが握られていたアドルフはUSPを抜いて小島たちを攻撃したんだ。
小島は頭を撃ち抜かれ、即死、倫子は左目、蓮子は心臓を撃ち抜かれ、悲鳴を上げながら絶命した。そして、勝吾は右手首を撃たれ、スターリング・リボルバーを落として地面に這いつくばった。
「うわああ」
勝吾は傷口を押さえて転げまわる。
「な、何?」
津田は何が起きたのかわからず、呆然となっていた。その瞬間を浩香は見逃さなかった。後ろから津田の下腹部に強烈な蹴りを入れた。津田は睾丸をつぶされ、ルガーP08を落とし、地面にうずくまった。
浩香はルガーP08を素早く拾い上げると津田の頭に発砲し、始末した。
「ふん、ざまあみなさい」
浩香は津田の死体を見ながら言った。そこへアドルフが寄ってきた。
「やったな。しかし、浩香、君も拳銃が使えたのか、さっきの腕前は見事だった。聖夜から君も銃器好きだって聞いてたが、どこかで撃ったことがあるのかい?」
アドルフはUSPに弾込めをしながら聞いた。
「はい、そうですよ。話せば長くなりますから話はあとで、さっさと退散しましょう。その前にこいつに聞くことがありますけど」
浩香はポケットからおしゃれなイタリア製の折り畳み式ナイフも取り出すと勝吾に蹴りを加えていった。
「動くんじゃないわよ。死にたくなければ正直に答えなさい。桜と厚はどこに隠れているの、じゃないと1発よ。」
浩香はルガーP08を構えながら、言った。
勝吾はその時の浩香の暗殺者のような顔に恐怖を抱いたのか、震えながら話し出した。
「ひいい、やめてくれ、俺は頼まれただけだ。桜と厚がどこにいるか知らねえ、頼む助けてくれ」
勝吾はさっきまでの偉そうな態度はどこへやら、発狂しそうな表情になりながら哀願した。
「知らない?本当に?ウソをついてるんじゃないの」
浩香はアドルフにウインクして
「その銃、貸してください」
といった。
「ああ、これか、いいよ」
アドルフは浩香の考えに気づいてUSPを浩香に渡した。
「ありがとうございます」
浩香はルガーにキスをするとそれをアドルフに渡し、代わりにUSPを受け取って、勝吾の左足に発砲した。
「うぎゃああ」
勝吾は絶叫し、のたうち回る。
「まだまだよ。次はどこに撃ち込んであげようかしら?」
浩香は邪悪な笑いを浮かべながら引き金を引こうとした。
「ひい、ま、待ってくれ、話す、話すから」
勝吾は失禁しながら言った。
「フフ、最初からそう言えばよかったのに、桜と厚はどこにいるの?」
浩香は殺気に満ちた鋭い声で聞いた。
「せ、正確な場所は分らん、厚は教えてくれなかった。だけど、気になって聞き続けたら大体の場所は教えてくれた。桜と厚は阿賀野市のどこかにいる。」
勝吾は苦痛にうめきながら答えた。
「阿賀野市ね。わかったわ」
浩香はようやく手掛かりをつかめたと思って「やったわ」と思った。
「なるほどな。お前を雇ったやつは阿賀野にいるのか、よくわかったよ。ところで聞くが、どうやらお前は彼女と付き合いが長いらしいが、彼女に今までひどいことをしてきたんじゃないのか?何でそんなことをしたんだ?」
アドルフが気になって聞いた。
「そ、それは、あ、厚にそそのかされたんだよ。俺は保育園の頃は浩香と家が近かったから仲良くしてた。浩香は見た目はいい方だったしな。俺もその時はまんざらでもなかった。だけど、厚が保育園でいつも浩香にいたずらをして浩香が嫌がったり、泣き出すのを見て楽しそうにしてるのを見て、厚に浩香にいたずらして楽しいの?って聞いたら、楽しいぜ、お前もやってみろよって言われてさ、保育園を卒園する前に浩香の服の中に手を入れて身体を触りまくって浩香に嫌がらせしてやって浩香が嫌がるのを見たらすげえ、愉快でさ、それから厚と同じで浩香に嫌がらせをするようになったんだ。」
「なるほどな」
アドルフは半分あきれ顔で言った。
「なるほど、厚にそそのかされたのね。昔からバカだと思ってたけど、私の想像を絶するバカね。あんたは、もうあんたに聞くことはないわ、さっさと死になさい」
浩香は引き金を引こうとした。
「うわあ、や、やめろ、撃つな。撃たないでくれ、仕方ねえだろ、俺が浩香に何かやっても誰も文句は言わなかったし、それどころか、正憲や由紀子なんか、俺に加勢してきたくらいだったんだ。それじゃあ、間違ってるなんて思わねえだろ?それに俺は厚と違って毎日はやってなかったぜ、毎日やってた厚の方がどう考えても悪いだろ?俺だって厚にそそのかされなきゃ何もしてないんだ。今回だって厚にやらせれたようなもんだぜ、それに今回が初めてじゃねえ、小5のときも厚から頼まれて浩香にケガをさせるように頼まれたんだ。俺はそのとき、ディズニーランドに行きたくてしょうがなかったけど、父ちゃんが失業中で金がなくて行けなくて、そのとき、厚がディズニーの年間パスをやるから浩香を転ばせてケガをさせてくれって頼んできたんだ。それじゃあ、話に乗っちまうだろ誰だって?擦り傷くらいで俺を責めるなよ、恨むなら厚を恨めよな」
勝吾は半分逆ギレしながら言い訳がましく言った。その瞬間、浩香はキレた。
「黙りなさい、大人しく聞いてればいい気になって、私がどれだけ苦しんでたと思ってるのよ。擦り傷くらいっていうけど、あの時は痛くてたまらなくて涙が止まらなかったのよ。厚に責任を押し付けようったってそうはいかないわよ。あんたも死になさい」
浩香はそう叫ぶとヘッケラー&コッホUSPから弾丸を発砲した。
「うぎゃあああ」
勝吾は立て続けに4発の弾を受け、絶叫した。勝吾は発狂しかけながら
「ああ、た、助けてくれ」
とうめいた。
「ええ、助けてあげる」
浩香はナイフの刃をおこすと勝吾の首に突き刺した。
「ぐふ」
勝吾は活〆にされた魚のように息絶えた。
「バイバイ」
浩香はナイフを拭きながら勝吾の死体に向かって言った。
「まったく、ろくでもないなこいつは、君はこいつに相当、苦しめられてたんだね。そういえば昔の日本が連合国に勝負を挑むことにしたのもさっきの君と同じような感情にとらわれていたからなのかな。まあ、それはドイツも同じだけど」
アドルフは何かを思い出すように言った。
「ええ、恐らくそうですよ。だから、私は連合国を許すことはできません。アドルフさんもでしょう」
浩香はナイフをしまって何とか気持ちを落ち着かせて言った。
「ああ、もちろんだ。」
アドルフは即答した。
そのあと、2人は勝吾が乗ってきたNワゴンの中から浩香のバックを取り出して中に入れておいたビニール袋や手袋を使って指紋や髪の毛、足跡のような証拠をすべて隠滅し、小島たちの財布や携帯を調べて俺たちとつながりがありそうな証拠品をくまなく探して隠滅した。
フィットのトランクを開けるとそこには中国製のウインチェスターM1897のコピーであるノリンコN97と本物の日本刀が入っていた。浩香は少し考え、ノリンコN97を津田に触らせて近くに置き、津田だけ銃を持っていないことがおかしいと思われないようにし、刀は戦利品として財布から抜いた現金、5人で90万ほどあった。と一緒に持ち替えることにした。
2人はアドルフのBMWに乗ってその場を立ち去った。
アドルフは人目につかないように脇道を通って西蒲区を抜け、浩香の家に向かった。
その間、浩香は持ってきた勝吾の携帯を見て「アツシ」と書かれた番号に電話をかけた。
「よお、勝吾、うまくいったか」
電話からは厚の声が聞こえてきた。思った通り、この番号が厚の番号だったんだ。
厚は勝吾が浩香をうまく捕まえたと思っているらしかった。浩香はふてぶてしい笑いを浮かべながら声を変えてこう答えた。
「勝吾?違うわ、私、絹子、よろしくね」
それを聞いた途端、厚は狼狽した。
「き、絹子?お前誰だよ。勝吾はどうしたんだ」
「ああ、あのバカ、今頃、活〆の魚みたいにくたばってるわよ。いい気味だったわ、実はあんたに苦しめられてた子、確か浩香ちゃんよね。彼女にあんたをかくまってる桜ってやつが部下を差し向けてくると思って見張ってたら案の定、勝吾の奴が近づいていくのを見てうまいこと騙して始末してやったわ、ついでに桜の部下も4人始末してやったわ、弱いわね。あいつら」
「ち、チクショウ」
厚は言葉に詰まり、しばらくして別な人間が出た。
「あ、あんた、鴨川の仲間なの?」
相手は桜だった。やはり、厚は桜の家に隠れていたんだ。
「フフ、あんたが尾崎桜さん。初めまして、私、小柳絹子です。必ずあなたを始末してあげるから、覚悟してくださいね。」
浩香は楽しそうに言った。
「く、クソ、何言ってんのよ。死ぬのはあんたたちの方よ。鴨川に言っておきなさい」
桜は強がりながら言ったが、声が震えていて恐怖でおびえているのはすぐに分かった。
「ハハハ、分かりました。だけど、私は鴨川さんの仲間じゃありませんよ。輝也、あ、中村って人の仲間です。輝也と私は長い付き合いでしてね。輝也に協力してます。鴨川さんがどういう人か分かりませんけど、おそらく、輝也と同じであなたにすさまじい怒りを抱いているんでしょう。もしかしたら、輝也以上かも、言っておきますけど、今後、浩香ちゃんにひどいことをしようなんて思わない方がいいですよ。私たちの仲間はたくさんいるんです。彼女に近づいたらそいつは死体になります。無駄な犠牲は出さない方がいいですよ。」
浩香は嗤いながら言った。
「ま、待て、どこかで聞いたことがあると思ったら、お前、中村の隣にいた俺と母ちゃんを襲った女だな。クソ、あの時はよくも」
厚がようやく思い出したらしく、横から割り込んできた。
「ええ、そうよ。ようやく思い出したの、そう、私よ。輝也と鴨川さんは桜だけど、私はあんたのことが大嫌いなの、必ずあんたをなぶり殺しにしてやるわ、覚悟しておきなさい。」
浩香は鋭い口調になって言った。
「ち、チクショウ、覚えてらっしゃい」
桜は捨て台詞を吐くと電話を切った。
「どうやら、やつら、かなりおびえてるみたいだな。」
「ええ、そうです。脅しをかけておいたんで桜も私には手を出さないでしょう。油断は禁物ですけど」
「ああ、そうだな」
アドルフがそう答えると浩香は勝吾の携帯をよく拭いて指紋を消すと西蒲区を流れている川に投げ捨てた。
浩香もアドルフももしかしたら検問が敷かれているかもしれないとも思って心配だったが、そんなことはなく、無事に南区に入り、12時近くに無事に浩香の家に着くことができた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます