第19話 小休止
彼の家には7時頃着いた。ちょうど彼が外に出て新聞を取って戻るところだった。
彼は俺たちにすぐに気づいた。
「おお、片田に鴨下、どうしたんだよ。」
彼は少し驚いたようだが、笑顔で俺たちを迎えた。
「おはよう、私たち昨日、三条に遊びに来てたんだけど、遊びすぎちゃってバスに間に合わなかったのよ。それで朝までいろんなところで時間をつぶしてたんだけど、あなたの家が三条にあるのを思い出して来てみたの、お邪魔だったかしら?」
「いや、全然、ゆっくりしてってくれ」
「そう、ありがとう」
俺たちは彼に連れられて中に入った。
中では彼のお母さんが朝食の支度を始めようとしていた。お母さんは
「わお、このお二人は誰?」
と目を輝かせていた。
横田君は「俺のクラスメート」と軽く答え、俺たちが三条市で遊んでてバスに乗り遅れて帰れなくなったと話した。お母さんは「そう、大変だったわね。朝食を作るところだから食べていって」と言ってくれたので俺たちもごちそうになることにした。
朝食は和風で米と味噌汁と焼き魚と漬物だった。俺たちはさっそくいただくことにした。
食べながらお母さんはテレビをつけた。テレビは俺たちの事件一色で「怖いわね。どうしちゃったのかしら」とつぶやいていた。
俺は漬物をパリパリと口に運びながら
「さあ、分かりません。新潟でヤクザか犯罪組織の抗争が続いてるんじゃないでしょうか?」
と答えておいた。浩香も味噌汁を飲みながら
「ええ、分かりませんけど、危ない人たちが暴れまくってるんでしょう。本当、怖いです。」
と不安そうな表情で答えた。
ニュースでは秋葉区の矢代田でも銃撃戦があったことが出ていて俺は淳一たちが桜の部下と撃ち合ったのだとすぐに分かった。
俺は食事を終えると
「ちょっと電話してきます。」
と言って外に出て淳一たちに電話をかけた。
淳一たちは浩香の家で寝ていたらしく、俺の電話で起きたらしかった。
俺は三条市で乾たちと撃ち合ったことを伝え、淳一も矢代田で桜の部下たちと戦ったことを話した。俺は淳一に俺と浩香が戻るまで家から出ずにテレビや新聞で情報を集めといてくれと伝えておいた。
電話をかけ終えると俺は戻り、横田君と彼のお母さんと俺たちはしばらく話をした。
浩香は生き物、特に鳥の話をよくして実は新潟にも北海道に渡ってくるオオワシやオジロワシが冬になると渡ってきていて福島潟や佐潟で本物を見られることや新潟はカモやガンの仲間がたくさん見られるが、ワシやタカの仲間も意外と多く、1番身近なトビはもちろん、オオワシやオジロワシ、オオタカやノスリ、チュウヒ、ミサゴという鳥も生息していて特に下越でよく見られると話してくれて福島潟や佐潟は水鳥だけでなくワシやタカの観察スポットでもあると熱心に語っていた。
話ははずみ、昼近くになったのでお母さんは昼食はどこかに食べに行こうといい、お母さんの車、黒のホンダNワゴンに乗って8号線から少し離れた中華料理店に行くことにした。
俺たちは麺類を頼んで食べ、俺は大藪さんの作品の主人公たちと同様、五目そば、浩香はチャーシューメンを頼んだ。
横田君は普通のみそラーメンでお母さんはワンタンメンを頼み、ギョーザや蒸し鳥や中華ハムのような冷菜も一緒に頼んでいただくことにした。
俺も浩香も食欲は旺盛だったから早いスピードで平らげていった。そんな俺たちを見てお母さんは「よく食べるわね」とほほ笑んでいた。
それから少ししてお母さんは俺たちを浩香の家に送ってくれることになって8号線を通って南区に向かった。
途中、検問が敷かれていて警官が俺たちに質問してきたが、横田君がクラスメートを家まで送るところだと話すと特に疑うことなくあっさり通した。俺たちは横田君の友達だと思われていたので全く疑われなかった。
というわけで、俺たちは浩香の家の近くまで送ってもらい、2人に笑顔でお礼を言って別れた。
家に戻ったのは午後3時で淳一たちはテレビでニュースを見ながら俺たちの事件の情報を集めていた。
「おお、戻ったか、無事だったんだな。まあ、聖夜たちのことだから大丈夫だって思ってたけどよ。」
淳一が笑いながら言った。
「ああ、当然だ。俺たちはやられないぜ、桜が部下を出撃させて攻撃してきたが、全員、返り討ちにしてやった。それと、ここにはないがライフルとショットガンも手に入れた。ほとぼりが冷めたら取ってくる。」
俺は浩香が持ってきたコカ・コーラゼロの缶を開けながら言った。
「私たちも桜の部下と戦ったわ、その時、新しい銃も手に入れたわ」
「そう、どういうやつなの?」
浩香がコーラを飲みながら聞いた。
「これだね。」
拓斗がギターケースやゴルフバックに入ったライフルを持ってきた。
「これね。M1ガーランドとM1カービンじゃない。カービンには30連発弾倉もついてるわね。素晴らしいわ、あと、これはレバーアクションライフル、これはスライドアクションライフルね。ウインチェスターとレミントン製ね。いい銃を手に入れたわね。」
浩香は目を輝かせながら言った。
「よし、聞いてくれ、桜がどこにいるかまではわからなかったが、桜は田上にアジトを持っているらしいそこにはいつも部下が常駐してるらしいから、そいつらを締め上げれば何か手掛かりが得られるかもしれない。」
「おお、そうか、そういや、俺たちも桜の部下から桜が田上によく行ってたって情報を仕入れたんだが、桜は田上にアジトを持ってたんだな。よし、さっそく、行ってみようぜ」
「ええ、そうね。」
「うん、そうだよ」
「ああ、もちろんだ。」
俺たちは次の作戦を練ることにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます