第18話 激戦
「うん、誰かが来る」
「え、誰なの」
「隠れろ」
俺たちはすぐに上からつるしていた懐中電灯の明かりを消してすぐに隣の部屋に隠れた。
すると、すぐに玄関から誰から入ってきた。
入ってきたのは5人で男3人と女2人の5人組だった。5人は手にアサルトライフルを持っていた。
5人は俺たちがいた部屋に入ってくるとアサルトライフルを乱射し始めた。
俺たちのいた部屋には何発もの弾丸が撃ち込まれ、弾丸は跳弾となって部屋の中を暴れまわった。
俺たちは隣の部屋で身を伏せながら攻撃を避け、サイレンサー付きのシグザウエルP232とワルサーPPKを手に攻撃の機会をうかがった。
奴らはフルオートで撃っていたため、2分ですべての弾を撃ち尽くした。
「やったのか」
リーダー格のキツネ顔の男が聞いた。
「さあ、あ、ちょっと、待ってください。この人、桜ちゃんの先生だった小野沢さんですよね。死んでます。鴨川の仕業でしょうか」
部下の1人のやせた男が言った。
「きっとそうですよ。鴨川以外考えられません。それか、もう1人の中村とかいう男の仕業でしょう。どこにいるんでしょう」
もう1人の小太りな女が言った。
「さあ、とっくに逃げたんですかね。それともまだ、中にいるでしょうか」
「探しましょう」
残りの目が細い陰湿そうな男とカバのような顔つきの女が言った。
「ああ、その前に弾込めだ。すぐにやれ」
「はい」
5人は予備の弾倉を取り出した。
その時、俺たちは素早く発砲した。フルオートで発砲した場合と同じくらい素早く発砲した。
「うぎゃああ」
5人は首筋や心臓に被弾し、次々と倒れていった。五人とも急所を撃たれ、倒れた時には死んでいた。
「よし、行こう」
「ええ」
俺たちはすぐに5人組に駆け寄った5人のアサルトライフルのうち、部下4人の銃はロシア製AK47カラシニコフ、イギリス製L85A1、中国製の95式、韓国製K1で俺はどの銃も回収する気になれなかった。しかし、リーダー格の男が持っていた銃は違った。
「64式小銃」
俺はその銃を手に思わず口ずさんでいた。
その銃は日本の豊和工業が作り上げたアサルトライフル、64式小銃だった。
この銃は豊和工業が自衛隊用に作り出したライフルで308ウインチェスター弾を使用する高精度のライフルだ。そしてこの銃は浅岡が「非常の標的」で手に入れて使用していた銃で浅岡がこれを使って敵をなぎ倒していく姿は力強く勇ましかった。だから、俺も手に入れてみたいと思ってたんだ。
「それって自衛隊の64式小銃よね。確か浅岡も手に入れて使ってたわ、よかったじゃない」
浩香も目を輝かせて言った。
「ああ、全くだ。俺もついに手に入れたわけだな」
俺は男の服から予備の弾倉や308ウインチェスター弾の入った箱も回収し、すぐに弾倉を付け替え、すぐに使えるようにした。その時、男の持っていた携帯が鳴り始めた。
「まさか」
俺は不吉な予感がしてすぐに浩香と一緒に部屋を出て身を伏せた。
するとすぐに外から銃撃が開始された。外にも敵がうろついてたんだ。
俺たちは床に身を伏せ、流れ弾から身を守りながら、奥の方に下がり、裏口ではなく少し離れた場所にある物置部屋に向かった。
この物置部屋にはガラクタばかりが置いてあったんだが、俺が調べていた時、見つけたんだが、ものに隠れていて中からではよくわからなかったんだが、大きな窓があってそこから外に出られることに気付いたんだ。俺がここから出ようと思ったのは裏口に敵が待ち伏せしているに違いないと踏んでいたからだ。
物置部屋の方には弾が飛んでこなかった。距離が離れていたから壁に弾が当たって奥までは飛んでこなかったんだろう
俺たちはすぐに部屋に入り、窓を静かに開けて外に出たそして音もなく、裏口の方をうかがうと20代前半くらいのあごにえらの張った男(どうやら日本人ではなさそうだった。あとで韓国人だと分かった。)が手にでもショットガンを持って待ち構えていた。やはり、敵が待ち伏せていたんだ。
「どうやら朝鮮人らしいなあの男、やるぞ」
「ええ、覚悟しなさい」
俺と浩香は拳銃を抜くと男に発砲した。俺たちの弾は男の頭と首筋に当たり男は一瞬で絶命、その場に崩れ落ちた。
浩香は素早く駆け寄り、男のショットガンを拾い上げた。
「これはマリンマグナムじゃない」
浩香はショットガンを手に言った。
そのショットガンはアメリカ製、レミントンM870マリンマグナムだった。レミントンM870はスライド式のショットガンの代名詞的存在でこのモデルはさびにくいステンレスを使った軍や警察機構向けに開発されたモデルで日本でも海上保安庁で使用されているらしい。ちなみに弾数を2発に制限したものは一般の人でも射撃用や狩猟用に手に入れることができる。もし、日本で狩猟を始めたい人がいたらレミントンM870はおすすめだ。新品でもそんなに高くないし、信頼性も高い。カモやキジのような鳥猟からシカやイノシシのような大物猟まで何にでも使えるぞ、もっとも、俺は大物ならライフルを使った方がいいと思うんだがな。日本の法律はおかしいぜ
話はそれたが、浩香は実包の入ったポーチも奪い、マリンマグナムのスライドを操作して弾を抜いて調べると装填されていたのはスラッグ弾だと分かった。戦闘では大粒の散弾の入ったバックショットか1発弾であるスラッグ弾が使われるんだが、今までの奴らと同様、この男もスラッグ弾を使っていた。俺はショットガンを戦闘に使用するならバックショットを使った方がいいと思っている。なぜなら、バックショットは1発撃っただけで拳銃を9回から6回撃ったのと同じ効果が得られるからだ。例えば8発撃てば72発拳銃を発砲したのと同じ効果が得られる。それに弾が飛散するからそこまで狙いが正確でなくても命中が期待できるし、近くに敵がいれば1発で数人を倒すことも不可能じゃない。これは狩猟でショットガンを使う場合にも当てはまる。日本では2発までしか弾倉に込められないが、薬室の1発と合わせれば3発になるし、全弾発射すれば27発を標的に浴びせることができる。それに本州のシカやイノシシは比較的小型でバックショットでも倒せるくらいだ。だから、無理してスラッグ弾を使う必要はないと思う、ただ、単独猟じゃなくて団体での猟の場合はほかの人に当たる危険があるからバックショットの使用は控えた方がいいな。それと北海道のシカとヒグマにはバックショットだと威力不足、スラッグ弾を使うべきだな。というより、本州は30カービンや223レミントンのような比較的威力の低い弾を使うライフル、北海道は308ウインチェスター以上の威力の弾を使うライフルをそもそも大物猟で使った方がいいと思うんだが、日本の法律がな
まあ、ともかく、俺たちは手に入れた銃を手に姿勢を低くしながら玄関の方に周った。
木の陰から隠れて見ると玄関の方では男5人と女2人の7人組が俺たちがいた空き家の中にまだアサルトライフルから弾を撃ち込んでいた。
少しして
「射撃中止」
とリーダー格のボクサーのような体格の男が叫んだ。
「乾さん、鴨川の野郎は倒したでしょうか」
部下のうち、小柄な色黒の男が聞いた。
「分からん、しかし、中に入るのは危険だ。花田たちもやられたみたいだしな。」
リーダー格の男、名前は乾が答えた。ちなみに花田は中に入ってきたキツネ顔の男だ。
「はい、そうだ。家ごと爆破しちゃいましょう。手りゅう弾があるじゃないですか、派手にやりましょう」
部下のうち、かなり不細工な顔立ちの女が得意げに言った。
「そうだな。よし、やろう、手りゅう弾を持ってこい」
「ラジャー」
2人の部下が手りゅう弾をスポーツバックから出した。
「アタック」
乾の命令で七人は家の中に手りゅう弾を何発も投げ込んだ。
「よし、下がれ、金田、こっちに戻れ、手りゅう弾を投げたぞ」
乾は電話で金田、裏口にいた韓国人に連絡したが、もちろん、応答はない
「うん、どういうことだ」
乾は不安そうな表情になったが、その時、手りゅう弾が爆発し、空き家は炎に包まれた。
「やりましたね。」
「ええ」
不細工な女ともう1人が笑った。
「ああ、しかし、金田は」
乾がそういった時、俺たちは64式小銃とマリンマグナムを発砲した。
アサルトライフルはフルオートで撃つと命中率が低下してしまうので俺はセミオートで撃った。しかし、俺はフルオート並みに素早く引金を引いた。
浩香もセミオート式と同じくらい早くマリンマグナムを操作してスラッグ弾を奴らに撃ち込んだ。12ゲージスラッグ弾の反動はすごいが浩香は反動をものともせず、素早くスライドを操作していた。高校に進学してからおもちゃのレミントンM870を買って練習していたらしい。もちろん、おもちゃと本物は全く違うが、本物を使うときの練習になっていてそれが役に立ったんだ。ちなみに浩香は散弾より、ライフルのような1発弾が好きで散弾銃を買っても撃つのはスラッグ弾だけにしようと思っていたらしい
まあ、ともかく、俺たちは素早く弾丸を撃ち込み、奴らを次々と撃ち殺した。308ウインチェスター弾と12ゲージスラッグ弾のパワーは人間に対しては絶大だ。乾たちは絶叫を上げて崩れ落ちて行った。
奴らのうち、6人は死んだが、乾は腰と右腕に308ウインチェスター弾と12ゲージスラッグ弾を受け、死にきれずにわめいていた。
俺は弾倉に補弾しながら乾に近寄った。
「うわあ、や、やめろ、俺に近寄らないでくれ」
乾は激痛にうめきながら叫んだ。
「ふん、ヤダね。死にたくなければ正直に答えろ、お前たちは尾崎桜の命令で来たのか」
俺は鋭い口調で聞いた。
「そ、そうだ。桜ちゃんの命令だ。あ、あんたが、鴨川か、花田や金田はどうしたんだ。」
「ああ、その通り、俺が鴨川だ。そいつらは全員、くたばったよ。家の中で燃えてるぜ、あっけなかった。お前もすぐにあとを追わせてやる。」
俺は64式の銃口を乾に向けた。
「うわあ、やめろ、死にたくねえ、俺はしにたくねえ」
乾はわめく
「よし、じゃあ、桜は今、どこにいるんだ?」
「さ、桜ちゃんがどこにいるか、俺は知らねえ、親衛隊にしか居場所を教えてないんだ。俺は田上の桜ちゃんが手に入れといた家で何人かと見張りをしてて、小畑、あ、そこで倒れてる色黒の小柄なやつだけど、そいつが三条に遊びに行ったら偶然、この近くを通りかかって小野沢先生の車が停まってるっていうから、気になって駆けつけてきたんだ。田上の家は桜ちゃんが別荘とイベントをやるときの前進基地として買っておいたものであんたに襲われてから、行ってなかったけど、念のため、部下を派遣して見張らせてたんだ。小畑から聞いてそこから直行した。花田たちを先に入れて連絡したら応答がなかったから、攻撃した。あれだけ弾を撃ちこんだからさすがに大丈夫だと思ったのに」
乾はがっくりとうなだれた。
「なるほどな。よくわかったよ。ところでお前たちは田上から来たらしいが、その桜が手に入れておいた家はどこにあるんだ?」
俺は気になって聞いた。
「お、俺たちが来たのは・・・」
乾が答えようとした時、1発の爆音に近い銃声が聞こえた。
「伏せて」
浩香が叫んだ。
「くっ」
俺は反射的に身をかわした。弾は俺をかすめ、乾の顔面に当たり、乾の顔面は吹っ飛んだ。衝撃から発射されたのはマグナムライフルだとすぐに気づいた。俺は逃げながら銃声がした方に64式を発砲した。
「ぎゃああ」
すると、すさまじい悲鳴が上がった。弾が当たったんだ。すると銃声がした方から右手にショットガンを持った1人の女が飛び出してきた。
俺はその女にも発砲しようとしたが、その前に木陰に隠れていた浩香がマリンマグナムを発砲、弾は見事、女の顔面に当たり、女は即死した。
「やったわね。」
浩香も木陰から出てきて言った。
「ああ、さっさと退散しよう」
「ええ」
俺たちはすぐにその場から離れることにしたが、女のショットガンと銃声がした場所で倒れていた男が持っていたライフルは持っていくことにした。
女のショットガンはドイツのメルケル303ETのトラップガンだったメルケルの銃は昔は旧東ドイツの高級品として日本でも高評価だった。俺も中央区の銃砲店で1回、見せてもらったことがあるが、素晴らしい完成度の銃だと思った。
そして、男のライフルはCZ75と同じチェコのブルーノ社のZKK602だった。このライフルは375マグナムを使用するマグナムライフルですさまじい威力を誇る。俺はこのライフルを回収し、浩香もメルケル303ETを回収して持っていくことにした。
俺たちはすぐに停めておいたレジェンドに向かって走り出した。
その時、俺たちの左側から3台の車が猛スピードで走ってくるのが見えた。俺はその3台の車が桜が送り出した援軍だとすぐに直感した。
「食らいやがれ」
俺はすぐにZKK602を手に取ると車めがけて素早く発砲した。俺は4発を発砲し、3発を命中させた。たちまち、3台の車はエンストする。マグナムライフルは1発で車を停めてしまうほどの威力があるんだ。
車の中の連中は絶叫し、拳銃やサブマシンガンを手に慌てて車から出てきたが、俺はそのとき、出てきた奴らに64式小銃から弾丸を浴びせていた俺は今度はフルオートで発砲していた。敵はなすすべもなく、俺に仕留められていく、浩香もマリンマグナムから弾丸を撃ち込んでやった。
車に乗ってきたのは合計9人だったが、短時間で全滅した。ぐずぐずしてはいられないのですぐに車の方に急いだが、俺たちの前に1台の軽自動車、スズキ・ワゴンRが立ちふさがった。
「死になさい」
浩香はワゴンRにメルケルから2発発砲した。メルケルにはバックショットが装填されていたので運転席と後部座席の窓ガラスを粉々に破壊した。
「うわああ」
車の中で絶叫が上がった。助手席からは1人の男が拳銃を手に出てきたが運転席と後部座席にいた奴は散弾を受けて死ぬか重傷を負い、もう1人、後部座席に乗っていたやつは大パニックになっているらしかった。
浩香は素早くメルケルにバックショットを装填するとでたらめに拳銃を発砲し出した脱出した男に発砲、男を瞬殺した。
俺も車にマグナムライフルを発砲した。
車は燃料タンクを撃ちぬかれ爆発した。中の3人は炎で焼き殺される。
「よし、行こう」
俺たちは燃えているワゴンRを無視して車に乗り込み、俺はすぐに発進させた。
俺たちが遠ざかってから少ししてパトカーのサイレンがようやくなり始めた。どうやら、警察は銃撃戦に巻き込まれるのが怖くて離れた場所で待機していたらしい。
俺はレジェンドを走らせたが、8号線とその周辺は検問が敷かれているようで無事に浩香の家まで行けるか確信が持てなかった。しかし、その時、浩香が
「ねえ、横田君の家に行ってみない?」
と口に出した。
「そうだな」
俺は思い出した。彼とは何回か話をしたことがあって、三条市に住んでいると話してくれて場所も教えてくれた。彼の家にひとまず行った方がいいか
俺はそう思い、車を彼の家の方に向けた。
俺は途中で見つけた古びた空き家に手に入れた銃と弾薬を隠した。どうやらパトカーや警官が溢れているようなのでライフルやショットガンが中にあるとすぐにバレかねないと思ったからだ。ただ、後で回収するつもりだったから天井裏に中にあった段ボール箱や新聞に包んで隠しておいた。それと、万一、誰かに発見されても大丈夫なように指紋などは完全に拭きとっておいた。
俺はそこから離れた空き地にレジェンドを停め、証拠はすべて隠滅してそこから離れた。
俺たちはなるべく人に会わないようにしながら逃げ、途中で見つけた深夜営業のカフェに入って朝まで過ごした。
カフェのマスターは俺たちを夜まで遊んでいて帰れなくなったカップルだと思ったらしく「元気でいいね」とほほ笑んでいた。
俺たちは「はい、実はそうなんです。」と笑顔で答え、コーヒーを頼んで朝まで過ごすことにした。
店にはほかに誰もいなかった。
マスターはテレビをつけたが、俺たちと乾たちが戦った事件のことが派手にとりあげられていた。
「おお、また撃ち合いがあったのか、最近、こんな事件がしょっちゅう起きてるけど、どうなってんだろう」
マスターは驚きながら言った。
「ええ、そうですね。なんかここに来る前、白根の方ですごい音がしてたんですけど、また、銃撃戦が起きてたんですね。最近の新潟はこんな事件ばかりですね。怖くて歩けませんよ。」
俺もマスターに合わせながら答えた。
「本当よ。私、怖いわ」
浩香はおびえた表情になって言った。
「安心しろ、俺が絶対、守ってやるから」
俺は即答した。これはもちろん、マスターに俺たちが怪しい人間でないことを信じさせるための演技だったが、これは俺の本心だ。浩香がピンチになったら、絶対、守り抜くつもりでいる。ウソじゃないからな
「ありがとう」
浩香は嬉しそうに答えた。
「はは、仲がいいね。」
マスターは笑いながらコーヒーを持ってきた。
俺はブラック、浩香は砂糖とミルクをたくさん入れてコーヒーをゆっくり飲んだ。
マスターは俺たちのことを気に入ったらしく、チキンナゲットとポテトを持ってきてくれた。
俺たちはマスターにお礼をいい、ありがたくいただいた。そのあと、俺はレモンスカッシュ、浩香はメロンソーダを頼んで飲みながら6時過ぎまで過ごし、支払いを済ませて横田君の家まで向かった。
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