第十三話 人馬一体
「
「くっ!」
「まさか、
あの三星はまるで賢達自身の
まさに「
「かれこれ
腹を蹴られ
並の武将ならば、手綱を持っていようと
不意に、先日の松軒の言葉を思い出していた。
人は出来ることしか出来ない。だが何が出来るかは、知っていなきゃ出来ない。
あの賢達は、己が何を出来るかをしかと理解しているのだ。己の
三星もまた、
やはりあの雲江賢達という男は、
「
──
(
ただそれでも、なんとか
あの
一刀斎は
甕割を
こちらへ
「
「──
「むっ!?」
一刀斎は
「この
ジリと、
「武に携わっているのであれば──
「ッ、行け、三星!」
「
ほぼ
「こなくそっ」
槍を受け止め技を返そうとするが、またも賢達は
しかし一刀斎はしかと賢達と三星を見ながら、
この
だというのに一刀斎は、その
(自分はいつから、自分を
いつからなど
この者たちを育てるのが今の
だが、その教え子たちはもう居なかった。
「……己を一とする気概か」
もうとっくに消えていたはずの火が、ポッと
その教え子たちを
「──行くぞ、三星! ヤァア!」
腹を蹴り出すより早く、三星は
己の
(あれまあ、
立会人として一刀斎たちの戦いを見守る松軒は、
(まあ、無理もねえよなあ。あいつはそういうやつだからよお)
自分も、一刀斎には
誰よりも、何よりも真っ直ぐなその
まさにそれは
だがしかし、己を
一刀斎は己を信じているが、己がなんであるかを、知らない──。
「
「
賢達もまた、仕合を終わらせにきたと
「
その
しかし一刀斎は避けることなく、その鼻先を
思わぬ一撃に三星はけたたましく
(──ここだ!)
とうに踏みつけを
「ぐぅう!」
「なにっ」
──
「おのれ……!」
賢達が、ハッとして槍を突き下ろしたがもう遅い。
一刀斎は三星の
そして──。
「
「なっ……!?!?」
一刀斎が、
まさにその時、
その
いや、
三星が、己を
「
「三星──」
倒れ込んだ三星の首に、一刀斎は甕割を振り下ろす。
甕割を、ゆっくりと引き抜く。
その
三星の鼻は
「……
だがしかし、確かに感じた一つの
しかしその左腕には、しっかりと槍が握られていた。
「これが、最後だ」
腰を落とし、槍を構える賢達。愛馬を
例え
一刀斎はなにも答えず、だがしかし、はっきりと賢達を見つめている。
勇者の
「
「
二人は
しかし。
「
その剣は、
「これで、終わりだ――」
「それは、どうか……!」
賢達が、
こちらを逃すまいと肉を
同時にだらんとしていた賢達の右腕が、
パシン……
──
「……終わりだよ、雲江賢達。駆ける前、わずかばかりに右腕に気が向いた。それが来るのは、分かっていた」
「……かはっ、届かなんだか……
惜しかった。そういう賢達の顔は、見て分かるほどひどく
「まさか
「
一刀斎は、
ただ、
理の
「……これで
「ああ、だいぶ
「こっちで
織田尾張守。その名は一刀斎にとっても
「
──そういえば。
「
「ああ、そうだなあ」
「なら、俺が行くのは魔王の
ぞくりと、
「魔王の腹ねえ、一刀斎は織田尾張守が
「ああ、
バッサリ言い切りつつ、「だが」、と一刀斎は言葉を続ける。
「──嫌いではない」
その織田尾張守の
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