閑話 ある夏の日のこと
「
「なにいきなり叫んでいるんだ。
お
「これは心の叫びだよ、弥五郎!」
信太は
「そうだぞ、信太。胸が見たいってなんだ」
村の
「女の素晴らしい部位は、脚だぞ脚」
真面目に、変なことを
お陰で魚が
「二人とも落ち着けって~」
のんびりと、
魚もそれが分かっているようで、大助の竿ばかりついて弥五郎の方には
「女の子はさあ、
「お前もか、大助」
最後の最後でえらく
もう釣りは
「で、弥五郎は?」
「なにが「で、」なんだ?」
「とぼけるなって、お前は
バシバシと、
弥五郎は
「そう言われてもな、
「
「それを言うなら、色気だろ」
バッサリと
「色気よりもエロ気の方がこう、
「いや、さっぱりわからないんだが」
「信太の言うことは、よく分かる」
「そうだね~。
「だよな、しっくりくるよな! もしかしたらエロ気という
なんで利市たちは分かるんだ。
ノリについていけないこともあるが、
それがとても、ありがたい。
「それじゃあ弥五郎、神社の
利市が
とは言え、女を
やはりわからん、と
「止めろよ利市、お前は分かっちゃねえ。あいつらは
信太が、思わぬ
弥五郎も
「さほりさんは?
信太が、大きく首を振る。
「さほりはあれ、ただ
「ゆずさんは~? いっつもニッコリ笑ってて愛らしい人だけど~」
信太が、顔の前で手を振った。
「ゆずはもっとダメだな。
「……しの、というのがいなかったか? 立ち姿が
信太は、カッと目を見開いて弥五郎に顔をずいと近づけた。
「しの!? あれはさらにいかんぞ。なにしろとじ
そういえば信太は
利市たちも同じようで、信太を
「お前ら、俺の話、信じてねえな? ならあいつらの
信太が
並んでみれば分かるが、やはり弥五郎は
「化けの皮が剥がれたところ、って、剥がしてやる。じゃあないのか」
「いいや、もう奴らは剥いでる。
「あいつらは今……
「よし、この林を抜ければ神社の
いったいどこでそんな情報を手に入れたのかと弥五郎は思ったが、
「なんで、おれまで付き合わないといけないんだ……」
ついさっき、「なぜわざわざ
信太の
「弥五郎、これはお前のためでもあるんだぞ。お前にはあいつらを見て、女のどの
「その話まだ終わってなかったのか」
一部が好きになれば全体好きになるものではないのだろうか。
なぜ、一部だけにこだわるのだろうか。
「あと、
「明らかにそれがおれを
「女の体なんてそうそう見れるもんじゃあねえぞ弥五郎! ここで引いていいのか!?」
「今を逃せば、きっと
「そうだよ~! 人は行く道しかないんだよ~! 過去には戻れないんだよ~!」
いったい何がこの三人をここまで
弥五郎の
「……わかった、
弥五郎のその言葉に、信太たちは
「お前なら、そう言ってくれると信じてたぜ!!」
「ああ、行こう弥五郎、
「
「どこだというんです、理想郷は」
「だからすぐそこ、巫女達の禊の……場?」
──点いた炎が、さっと
空にはまだ
弥五郎たちの首は、まるであまりの
その、
「ほう……では、
三島神社の
「まったく、弥五郎がいながらなにを許しているのですか」
「すまない、三人の迫力にやられた」
「
だが目の前に立つとじは、汗ひとつかいていない。弥五郎もとじを見れば
「さほりたちになにやら
だが、とじに
「いや、とじ様。これは弥五郎にとっても大事な《だいじ》ことなんだ。弥五郎は女のエロ気にまったく気付いてない。そんなことじゃあいけないと、俺は弥五郎の将来を思って」
「
「すいませんっした!!」
すぐ
「そもそも、なんですかエロ気とは。
「いやいや、とじ様、エロ気ってのは色気よりもこうガツンと心に来る言葉なんだ! エロってなんかしっくりくるんだよ。この胸に
信太は
とじの
「いいですか信太。
とじは、
──――もし好みの女を聞かれたら、よく笑う女と答えよう。
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