第124話  別れと始まり





 ノアルトとハーディアの乗った小舟が岸に辿り着いた。

 まず、ノアルトが上陸して、それからハーディアが降り立つ。

 ノアルトがせっかちな性格そのまま走り寄ってきた。


「兄上! 兄上!」

「ノアルト。秘密同盟は成った。ガイアケロン殿は信用に足る男」

「カチェがいたのです! バースにいくら聞いても教えてくれなかったというのに」

「……。まぁ、その話しは後で良かろう。ハーディア殿とは何ぞ語り合ったか」

「はい! まさに噂に違わぬ驚くべき美姫! 素晴らしい教養の持ち主でした」

「それは楽しみ。では、私も戦姫殿と会話をさせてもらおうか」


 ハーディアがゆっくりと近づいて来た。

 艶消し鋼の鎧、佩楯、草摺りなども身につけた完全武装。凛々しい姿だ。

 赤銅と黄金を混ぜて熔かし込んだような髪が寒風に晒されて、なお輝く。

 琥珀色の瞳がテオ皇子を見詰めていた。

 鈍感なはずの皇子の顔は、それでも熊が蜂の巣を見つけたほどには変化した。


「おお……。なるほど。これは美しい」

「テオ・ヘリオ・アヴェスタ皇帝国皇子。そして、未来の皇帝陛下。私がハーディア王女でございます」

「名乗り遅れた。私がテオだ。弟が貴方を褒めちぎっていたが、そのわけを理解した」

「まぁ。嬉しいこと。気に入って頂けたのかしら」


 ハーディアは艶やかな笑みを浮かべた。

 男なら誰しも釘付けになるような魅力。

 ハーディアにとっては計算された仕草にすぎなかった。

 自分の行動が男性にどうした効果を及ぼすのか、処女の身ではあったが数千を超す累々とした実例で身につけていた。

 テオを裏切らせるわけにはいかない。

むしろ、損得を無視させて兄ガイアケロンに奉仕させるように仕向けたかった。


「テオ様は何と男らしい殿御でしょうか。このハーディア、力自慢の醜男どもなど見飽きているうえ、なおそうした匹夫を戦場にて成敗に及ぶこと数え切れません。それゆえテオ様が世に並ぶ者のない男性であることを理解しております。まさに皇帝に相応しい男振り。ぜひとも懇意になりたくお願い申し上げます」

「……成敗とは、手討ちのことだろうか」

「はい。戦場の倣いにて。これまで討ち取った敵の首級など、いちいち数えておりませんが」

「まったく凄い姫だ。敵としては心胆震えるが、味方とあれば頼もしいことこの上ない」

「このハーディア。ただの味方以上であることをお誓い申し上げます」

「う~む……」


 ハーディアは祈るように掌を組み、うっとりとした涙すら含んだような瞳でテオを見詰める。

 アベルは口を半開きにして遣り取りを見守ることしか出来なかった。

 あからさまな好意の連続。

 それでも嘘らしく見えないのはハーディアの愛らしい顔と仕草によるものか。

 なぜか本当のことを言っているようにしか感じないのだった。

 そんな馬鹿なと思いつつも……。


「このハーディア。テオ様が皇帝となられる日を心待ちにするものです」

「いずれそうなるであろう」

「テオ様。どうか皇帝となった暁には私へお命じになってください。どんなことでもいたします。ええ、口だけの約束ではございません。その代わり、兄ガイアケロンの盟友として力を振る舞っていただけますよう、よろしゅうお頼み申し上げます」

「いやはや、これは私が失敗いたさば首が危ういな」


 テオがふざけて自分の首を手刀で叩いた。

 動じずハーディアが華やかに微笑めば、テオもまた笑ってみせた。

 二人は和やかに笑っていたが、それに追随しているのはバース公爵ぐらいのもので他の者たちはあえて触れずに見ているのみだ。

 わざわざ火中に手を突っ込む必要はない……。


「どんなことでもするか……。ははは。私は人から鈍いと言われるが、これは怖い誘いだと気が付いたぞ」

「それは仕方のなきことでございます。少しぐらい怖い思いをして手に入れるのでなければ価値を感じません」

「まあな。じゃじゃ馬こそ乗りこなすと楽しいものだ。ただあまりに気性激しく触らせもしない馬に価値は無い」

「きっと馬も触り方が上手ければ従いますわよ」

「いつ触れさせてくれるのであるかな」

「乗り手として相応しいと思わせれば。そうすれば少しばかり力ずくでも許すかと」


 テオの眼つきに変化が現れる。 


「私はまだ二十九歳だからな。さすがに夢を見てしまうぞ……。おっと、私の忠臣バースが恐ろしい顔をしだしている。寝ぼけているわけにはいかないようだ。楽しい会話であった」


 アベルは祖父バース公爵が先ほどまで笑っていたのに、今ではそれなりの顔つきでテオを睨み付けていたのに気が付いた。

 ここで止めなければ何かの一線を超えかねないと察知したらしい。

 バースほどともなれば主に対して、あんな表情が出来るのだと感心する。


 ともかくハーディアによる籠絡らしき行動はそれで終了した。

 遊び心を含んだ誘いだったのか、あるいは本気の攻略だったのかアベルにもよく分からなかったが……。


 王族皇族による挨拶がすみ、残すは家臣たちによる実務作業だった。

 祖父バースとオーツェルが中心になって何かの議論を続け、しきりに書類の交換をしていた。

 ときおりノアルトやハーディアが意見を述べる。微調整といった感じだ。

 

 幕僚たちというのはこうしたものだろうと眺めていれば、時間はたちまち過ぎていく。

 ハーディアはある意味怪物のようなバースを相手として、優雅に一歩も退かず論争をしていた。

 礼儀は守っていたが……、それは理論と熱意による戦いだった。


 アベルの立場では口を挟むことなど出来ないので、周囲の警戒に移ることにした。

 景色は湖沼の畔で、祭祀殿から離れると人気など全くない。

 テオ皇子が乗ってきた船に近づくと、一人の男が降りてくる。

 見覚えがあった。

 思わずアベルは相手へ走り寄った。


 それはイースの祖父。ダンテ・アークだった。

 長く伸ばした髪は染めているのか風雨に晒されているためか、褐色をしている。

 瞳の色も紅褐色なので魔人氏族の特徴は薄い。

 しかし、肌の色は冷たいほど白かった。

 年齢は人間族の四十代ほどに見えるのだが、切れるような鋭さを含んだ男だった。

 アベルにとって師と呼んでも、そう間違いではなかった。

 ただの一度も技など習っていないが、イースとヨルグの師なのだから。


「アベル。無事でなにより」

「ダンテ様……貴方のような凄腕の護衛がいるのは考えてみれば当然ですね」

「話し合いは順調なのか」

「もはや終盤かと」

「……イースには再会できたのか」

「いいえ。どこに行ったのかも分からないままです。それに任務が激しすぎてそちらのほうは手を付けられませんでした」

「私の元には任務上、様々な報せが来る。実はイースらしき者の噂を耳にした」

「えっ……! どんな!」

「あくまでも噂程度だ。亜人界のウルグスク地方で、賊や光神教団を手当たり次第に襲っている女がいるらしいと。その者、独行者であるという。姿は黒髪のものとだけ」


 アベルの心臓が高鳴る。

 この世界、イースのような漆黒の髪は珍しい。

 人間族にも茶褐色や黒褐色の者はいくらでもいるが……純粋な黒はイース以外に見たことは無い。

 種族的には魔人氏族の血族系譜にしか現れないという。

 可能性があるようにしか思えない。

 黒い髪の持ち主などという……、まるで信憑性のない話しに期待が止まらなかった。


「ウルグスク地方。聞いたことぐらいしかない」

「中央平原の北東にある。王道国、亜人界、魔獣界にも近い地域だ。地味豊かで鉱山もあるゆえに古代から栄えている。しかし、諸勢力が入り乱れて争いの絶えたことが無い」

「手当たり次第に襲っている……? いかにも、やりそうな……」

「イースが何を想っているのか、それは私にもお前にも本当のところは分からない。しかし、ヨルグの言葉ではないが、何事も成せない半端者として再会したところでイースは……お前を認めないかもしれないな」


 アベルは思わず歯を食い縛った。

 ダンテから指摘されるまでもなく、最も理解している。


「どうするのかは、お前に任せる。真偽不明の小さな噂だが知っておいて教えないわけにはいかなかった。私も騎士ゆえ、いつ死ぬか分からない」

「ダンテ様。きっとイース様は最も危険な戦いを望んでいることでしょう」


 ダンテは黙したまま頷いた。


「きっとイースは良き旅をしているだろう。アベル。お前はあれから腕は上がったのか」

「分かりません。自覚は無いです」

「慣れて、上手くなったと思った瞬間、落ちているものだ。我ら剣で道を開くもの。所詮どこまでも血飛沫と骨肉でおのれを磨き上げる運命だ。もはや、お前が何をしようと止めはしない」


 ダンテは悲しみも憎しみも感じさせず、淡々とそう口にした。

 そうした姿はイースの言葉や態度を思い起こさせるのに充分だった。

 こんな者の側でヨルグは死ぬまで剣に憑りつかれ、師や娘を超えられないことへの怨念を滾らせていた。


 もしイースと別れていなければ……、アベルは想像する。

 狭い世界、たった二人での連携と共感の繰り返し。

 憎しみとは真逆の方向であったとしても、分解不可能なほど絡みついたまま袋小路に陥っていたのかもしれない。

 それは純粋であろうとも、それがゆえに異常に脆いというような。

 行き詰まりを直感的に悟ったからこそイースは断ち切った。


 真実は分からない。

 俺はそんなに賢くないと、アベルは無骨の柄を握りしめた。


「お前はヨルグのたった一人の弟子なのだ。行ける所まで行くといい」


 ダンテはそれきり何も言葉を発しなかった。

 船に戻っていく。

 そのまま別れた。

 

 太陽が傾き、双方の幕僚たちによる相談が終わろうとしていた。

 そんな中でノアルト皇子が兄テオに向かい、勢いのある口調で言う。


「兄上。カチェは帰還させてください。他にふさわしい活躍の場があります」

「ふむ……。バース。どう思う」

「念のため言っておきますが、何があろうともノアルト様の近習にはできませんぞ。会わせることも無いでしょう」

「バース。分かっている! そんなことぐらい……。せめて安全なところにいてほしいのだ」


 カチェは堪らず慌てて口にする。

 まったく立場を弁えていないが……。


「このカチェ。アベルと共に皇帝国のため働くのでございます。ここまで来て帰還などとやめてください!」

「何故だ! カチェ! どうして私の気持ちが汲めぬ!」


 ノアルトとカチェが主従でありながら睨み合いになってしまった。

 カチェの品のいい唇が少々捲れ上がって、威嚇する山猫のたぐいを連想させた。

 アベルはこの表情を見ただけで血の気が引いた。何を仕出かすか分からない……。


 カチェにしてみれば途轍もないお節介であり、横槍であり、予想外の嫌がらせでもあり……、早く振り切らなければと焦る。

 どう説得しようか考えていると、バースが渋々といった様子で語る。


「アベルの密使もこれにて終いだ。今後、アベルはテオ様に仕えて、さらには軍務を与えていただく。こたびの功績がある。働き次第でアベルには爵位をくださるだろう。カチェ。お前はもともと出奔同然で飛び出しおったな。すぐにお前の母ティファニアから事情を聞きだしたので大事にはしなかったが。冒険はこれまでにいたすか」


 予想外の成り行きにカチェは考える。

 アベルが爵位……。最低でも子爵、いや、伯爵でもおかしくないはず。

 しかも、テオ皇子の最側近という立場まで手に入れる。

 テオ皇子が後継者争いに勝利すれば、輝かしい未来がアベルに訪れるに決まっていた。

 軍人としても政治家としても皇帝国だけでなく、いずれ世界に羽ばたく。

 自分はその傍にいられる……。


 カチェは、そう考えれば悪くないことなのかと思いつく。

 何よりアベルの出世だ。

 祖父バースと視線を合わせれば、普段は冷酷なほどの眼つきであるはずなのに、今は親心を感じさせる温かさ。

 カチェが頷きかけた時、しかし、ガイアケロンが黙っていなかった。


「それは困るぞ。聞き捨てならぬ。バース公爵殿。アベルとカチェは信頼のおける者だ。連絡員として今後とも我の元にいてもらわなくてはならない」

「あいすみませぬが王子殿、アベルの代わりにベルティエ伯爵家三男のドット・ベルティエを当てるつもりでおりました。出来る男でございます。どうかご了承いただきたく」

「断る。アベル以外には信用ならん。大事ゆえ譲れぬ」

「アベルに負けず劣らず良い男ですぞ。なにとぞ機会をお与えくだされ」

「くどい! 断るといったはずだ。アベルとカチェを残せ」


 ガイアケロンのあまりに明け透けできっぱりとした物言いに、さすがのバースも一端黙った。そうせざるを得なかった。

 薄氷踏むがごとく、やっとのことで成立した秘密同盟。

 それがこんなことで均衡を崩しかけていた。


 しかし、同時に疑念も湧く。

 ガイアケロンの態度は例外的に強かった。

 どうしてそこまでアベルに拘るのか?

 そこまで信用を勝ち取ったのかと、半ば呆れた。

 アベルめ……やりすぎたな。


「では、テオ様に決定していただきましょう」

「ガイアケロン殿が望むのならアベルを引き続き使者とする。カチェもだ。これまで上手くやったのだ。これからも頼む」

「あ、兄上……」

「ノアルト……。ここはガイアケロン殿の希望に添うだけだ」

「そ、それは」


 食い下がるノアルトにガイアケロンは問う。


「どうしてそこまでアベルとカチェを外したいのですかな。それともベルティエ殿を使者にしたい特別な理由がおありか」


 ハーディアも見透かしてくるような視線を投げつけてくる。

 ノアルトは冷汗を掻いた。これ以上、動けば疑われると感じた。

 もともと不信と探り合いが混ざった中で始まった会談。

 兄とバースが心血注いで成立させた試みをぶち壊しにしたら……。


 ノアルトは固く目を閉じて、沈黙した。

 カチェの顔を見られなかった。

 愛とは命懸けになることだ……などと勇ましいことを口にしておきながら、またしても逃がしてしまう。遠くに行ってしまう。もう二度と会えないかもしれないのに……。

 皇子という立場など捨ててカチェの騎士になりたかった。

 剣一振りで愛する女を護る男。

 それは素晴らしい夢だ。

 しかし、泡のように消えた。




 陰謀によって世界を動かそうという者たちを斜陽が赤く照らすなか、会合は終わった。

 お互い、すぐに拠点へ戻らなくてはならない。

 慌ただしく準備が始まりアベルは祖父バースに語りかける。


「バース様。このアベル、働いてまいります。どうか父ウォルターと母アイラをよろしくお願いします」

「まるで今生の別れ、という挨拶だな」

「覚悟はしています」

「お前はハイワンドの人間であることを忘れるな。ただひたすら我らがテオ様のために粉骨砕身あるのみ。わしもお前もウォルターも屍になるまで戦うだけだ」

「あの、父上だけは……。まだ幼いツァラがいるのをバース様だって知っているはず」

「幼子だと? それが戦わぬ理由になるか。選ばれし貴族が生ぬるいことを口にするな」


 バース公爵は、祖父というより丸っきり貴族の顔をしていた。

 傲慢で人に命令をし慣れている種族……。

 バースはアベルの耳元に口を近づけて小声で囁いた。


「わしはお前をここで帰還させて出世の道を与えてやるつもりだった。それを台無しにしおって。ガイアケロンに何をした? どうやってあそこまで心を開かせた」

「そ、それは……もしかしたら友情かと」

「笑わせるな。ハーディアがいる。敵国の使者に心許すほど孤独な男ではあるまい」

「……」


 バースの追及は苛烈だった。

 アベルの肩は物凄い力でがっちりと抑えられて身動きもとれない。


「男惚れが極まって契りでも結んだか」

「ち、違います」

「ふん。見ればわかる。そういう関係になれば女々しくなるものだ」


 アベルはバース相手にどこまで嘘を吐き通せるか不安になってきた。

 アスの魔術で彼の心を知ってしまったこと。

 そして、父親殺しの願望を持つ者への、無償の絆などと……。

 告白したところで正気を疑われるだけかもしれないが。


「やるのだったら徹底的にやり通してみせろ。中途半端にやれば疑われるだけだ。アベルよ。命はここぞという時に使え。犬死にするな」

「え? ……バース様」


 バースはアベルを解放すると、舟に歩み去っていく。

 アベルは息を吐き固唾を飲んだ。

 百戦錬磨の老獪な大貴族。人を呑み込み、支配することになんと慣れているものか。

 離れかけたアベルの心を察して釘を刺してきた……。

 しかし、気づく。

 離れていく祖父バース公爵の背中は、どこか寂しげな老人のそれだった。


 船が岸を離れる。

 辺土に残る朽ちた祭祀殿、もはや長居は無用の場所。

 ガイアケロンは最大の速度で離脱することを命じた。

 薄暮の空はやけに美しく、紅を流したように染まっている。


 今日、密約がなった。

 アベルは何度も危険な賭けを繰り返してきたと感じる。

 全てはガイアケロンとおのれの願望のため。

 皇帝国もテオ皇子も利用できるなら幾らでも利用してやればいい。


 誰に言われなくとも徹底的にやってやるとアベルは考える。

 血飛沫と骨肉で道は開ける。

 残虐極まるディド・ズマと王道国イズファヤート王を殺す……。

 破滅の香りが漂ってくるようだが、地獄を突き抜けた先を見に行こう。


 カチェはハーディアの側で話し相手になっている。

 根本的に教養が深く、かつ諸芸全般に通じている二人は気が合うようだった。

 アベルはガイアケロンの後ろに座っている。

 大きく逞しい背中が見えていた。その男が振り返り、言った。


「アベル。できるだけ近いうちに機会を作って王道国へ行く。お前にも来てもらう」

「どこまでも共に行きます」


 何か言い知れない深みを感じさせてくれるアベルの返事。

 ガイアケロンは自然と笑みが零れた。

 世の中に誠意とか忠誠という言葉はあるが……、どうもそれとはぴったり当てはまらない。

 それは主従ではないからだろうか。

 アベルは出会ったことのない例外の男だ。

 今日は演技ばかりだったが、最後に本音が出せれば寛げるというものだった。

 やはりアベルは不思議だ。他人とは思えない。

 まるで幼馴染でもあるかのような気がして……。


「僕は王道国へ行くの初めてです」

「貴族や神官。連なる門閥の争いは苛烈だ。奪い合い、騙し合い。虚飾、虚構。権威だとか血筋などという余計なものが付いている分だけ、なお性質が悪い」


 ガイアケロンの雄々しい顔に憂いの影があった。

 アベルは湖沼に沈む夕日を眺めつつ思う。

 これで皇帝国、魔獣界、亜人界、王道国と世界を一巡りすることになった。

 一所に留まらず、どこまでも旅をしていく運命……。




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