第123話  王子と皇子

 




「アベル! 来たぞ! 船が見えた」


 祭祀殿の入り口からベルティエが声を掛けてきた。

 急いでアベルとオーツェルが表に出ると、西からはテオ皇子の船が、東からはガイアケロンの乗った小舟が近づいてくる。

 ついに秘密会談が始まろうとしている。


 アベルの心臓が鳴る。

 出来るだけのことはやってきた。

 どうか密約がなってほしい。

 ガイアケロンの勝利に必ずや有利となるはずだ。


 西方から接近してくる舟が岸に着き、二人の人物が降りてきた。

 一人は長身で肩幅も広く体格のいい男。

 アベルはかつて祝賀会の際に、間近でその面相を拝ませてもらった。

 間違いなくテオ皇子だった。


 アベルの見たところ彼の表情に変わったところは無い。

 いくらか鈍重な印象すら感じさせる顔。

 唇は分厚く、顎が角ばっていて頑丈そうだ。

 茶系の褐色をした瞳は揺らぎもしていない。


 皇帝国では悪鬼と呼ばれるガイアケロンとの会談に不安を感じていないようだ。

 ウェルス皇帝を見かけることはついに無かったのだが、テオはその亡父に容貌が似ているらしいと聞いたことがある。


 例えば兄コンラート皇子が隠しようもなく発していた臆病さなどテオからは感じられず、あれぐらいの落ち着きがなければ数万の軍勢を統べることはできないと言えるだろうか。


 テオ皇子の深い部分を直接知っているわけではない。

 しかし、祖父バース公爵が信じて入れ込むのだから為政者としての素養があると……アベルは思うことにした。


 テオ皇子。毛皮では最も珍重で高価とされる黒貂で作られた長衣を羽織り、その下には軽装的な鎧をつけ、帯剣もしている。

 さすが皇子の剣だけあって黄金の鞘に宝石がちりばめられたような美品だった。

 ノアルト皇子が所持していた剣よりも、さらに精緻な意匠が鞘には彫り込まれ、柄につく大粒のルビーが澄んで輝く。

 贅の限りを尽くした道具は立場の尊貴さを示す証拠ともなるので、無意味に持ち歩いているわけではない。


 降り立つもう一人の男性はバース公爵だった。こちらは鎧を装着せずに帯剣だけをしていた。

 灰色の服は素材こそ絹だが、貴族としては質素なほど普段着の姿。

 アベルはこれにも意味があるだろうと感づく。

 つまり背後に控える黒子として徹しようという祖父バース公爵の態度の現れ。

 帯剣のみということは、命を捨てる覚悟の意思表示と見た。


 船には人の気配がまだあるが、降りてくるのは二人だけ。

 それというのも互いに疑心を招かないよう、本当に最小限の人数で話し合うためだった。

 アベルは二人に走り寄る。


「テオ皇子様。全て滞りなく手筈は整っております。ご安心ください。また、会談の後にノアルト様も必ずや身柄を戻されます」

「アベル。働いたな」


 テオ皇子は落ち着き払い、それだけ言うと祭祀殿へ歩んでいく。

 祖父バース公爵は視線をアベルに注いでいた。

 秀でた額の下にある、暗い色彩の混じった青い眼は据わっていて、何事も見逃さないという強烈な意志が宿っていた。

 老齢であったが貴族の巨魁に足る胆力が滲み出ている。

 生死が渦巻く戦場を掻い潜ってきたアベルにしても、心臓を掴まれる思いがした。


 実のところテオ皇子に対する忠誠心は元より希薄で今ではすっかり失われ、本当はガイアケロンに与していることを見抜かれているのではないのか……?

 アベルは背筋を冷たくさせる。

 祖父バースは短く言う。


「アベル。男を上げたな。顔つきまで立派になっておるぞ」

「は、はい」

「護衛を頼む」


 祭祀殿の入り口は一か所。そこをクンケル、ベルティエ、バースが固めてテオ皇子のみが祠へ入る。

 ガイアケロンの乗った舟が岸に辿り着いたのは、その時だった。

 アベルはそちらにも急行して、彼を迎え入れる。


 やはり覇気と風格のある男だと、アベルは改めてガイアケロンの姿を見て感じるのだった。

 磨き抜かれた黒鉄の鎧、鮮やかな藍色のマント。

 武骨なほど実用的な大剣を腰に佩いている。

 逞しく、それでいて柔和な笑みが口元に浮かんでいた。

 意志の強さだけでなく、どこか優しさを感じさせる青灰の瞳……。

 いつも共に居るはずのハーディアは、もしもの時に備えてノアルトを確保した状態で後方の船で待っている。ここにはいない。


「ガイアケロン様。あちらの祠にてテオ皇子様がお待ちになっています」

「行こうか」


 祭祀殿の前でバース以下が貴族の礼のまま、不動の姿勢で待っていた。

 彼らはガイアケロンの顔を見ている。

 きっと、どんな人物なのか探っているのだろう。

 王道国では英雄と名高くあっても、皇帝国からしてみれば悪鬼ガイと嘲り呼んでも足りず、呪うように怨敵と言わしめている男。

 これほど近くで顔貌を観察できるのは、二度と無いかもしれないのだ……。


 ことバース公爵のガイアケロンを見る眼つきは尋常ならざるものであって、誰にも無視できないような、少しでも胆力に欠けた者であるなら堪らず竦んでしまう厳しさだった……、しかし、ガイアケロンはその横を悠々と通り過ぎた。

 無視というほど冷然としたものでもなかった。

 ただ、事も無く横を通過するのが最も正しいからそうした、という風だった。


 あれこそ王者の振る舞いだ……。

 アベルはそう感じる。


 祭祀殿の中に入るのは二人だけの約束だった。

 アベルも外で歩みを止める。

 ガイアケロンを信じて待つことにした。

 これら武装せし男どもの中では貧弱なほど痩せて見えるオーツェルが、相対する形で立っていたバース公爵に話しかける。


「初めまして。私は王道国、エイダリューエ家のオーツェルと申します。バース・ハイワンド公爵様で在らせられますか」

「いかにも」

「今度の計画を仕立てあげたのは公爵様と考えますが、間違いではありませんな?」

「わしはテオ様に従うのみ。臣下とはそうしたものである」

「ガイアケロン様は無駄な争いを好まぬ御方。貴方がたは正しい人に目を付けました。交渉はまず相手を選ぶことから始まります。イエルリング様では多くを失い、いずれ必ずや裏を掻かれるというもの」


 バース公爵が物凄い迫力でオーツェルを睨む。

 壮絶な鬼気。

 お前ごとき小僧が出てくる幕ではないと、心の大喝が聞こえてきそうだった。

 アベルは祖父バースが、本当に腰の剣を抜き打ちにする気配を感じる。

 それぐらいの顔をしている。

 オーツェルにとって腰のダガ―など飾りに等しく、斬撃に反応などできはしない。

 あの痩せた体が上と下で真っ二つ……。


 自分の状況を分かっているのかそうでないのかオーツェルは平然と会話を続けた。

 いや、分かっていて、あえてやっているとアベルは考える。

 祖父バースのあの視線を理解できない者などいるはずがない。


 それにしてもオーツェルは探りを入れる狙いがあって、わざと気安く話しかけているのだろうけれども……見ている方は肝が冷える。

 意外と胆力があるなと思うが、彼もまたガイアケロンのために命懸けになれる男ということだった。

 程よいところで止めてやろうとアベルは見守る。




 ~~~~~




 ガイアケロンは皇帝国の皇子テオと相対する。

 背の高さは、ほぼ同等。

 動物で例えれば猪か熊、そんな印象をテオに持った。


 王子と皇子は当然、互いに頭を下げることはしない。

 頭を垂れるのは御機嫌うかがい、伺候の態度だからだ。

 無礼にならない程度に目鼻を見ていたが、テオの方から話しかけてきた。


「ガイアケロン殿は意外と優しそうな御方であるなぁ。てっきり鉄のような男かと考えていた」

「テオ殿は豪胆の御方と感じ入りました」

「おのれ自ら思うが、ただ鈍いだけのこと。まして人はさらにそう感じるそうだ」

「かつて一度だけ軍団をぶつけ合った日がありました」

「うむ。王子殿とはポロフ原野で刃を交えた。凄まじい攻撃、あの判断の速さ、素早い退き方。さすがに戦慣れしていると感嘆した」

「テオ殿こそ、我が渡河した時を見計らいこれを討とうと待ち構えていた。危ないところだった」

「いやいや。あそこで王子殿を下手に包囲でもすれば恐ろしい決死の反撃を食らっていた。それこそ命取りである」

「ふふ。確かに、そうなっていたことでしょう」


 ガイアケロンは遠慮をしないで、あえて磊落な物言いをしてみる。

 そこでテオが初めて笑顔を見せた。

 分厚い唇、両方の口角とも動くと独特の迫力があった。


「ガイアケロン殿ならそう答えると思っていた。しかしである。もし、本当に包囲されたら……例えば広い草原などで。やはり後方を突破して逃げますか」

「いいえ。それはしません。戦列が一斉に反転して後方へ逃れるとは、一見理屈に適っていますが実際には多くの危険を孕んでいます。地形の有利や下準備、つまりあらかじめ逃げる用意をしていなければ出来ることではありません。最悪なのは動揺して、各部隊が勝手に突破を試みること。たちまち軍団は崩壊し、幸運にも包囲を突破した部隊が何の秩序もなく逃げ、最終的には全軍の半数以上が死ぬか捕虜となりましょう」

「もっと考えを聞かせて貰いたい」

「私は将兵をよく鍛えていますが、逃げ足の為に鍛えてはいません。攻撃によって相手を破壊するために鍛えています。当然ですが防御と逃走とは別です」

「あくまで攻撃によって状況は打開するもの、という意味ですな。仮に包囲されたら、どこを攻撃しますか」

「まず二か所。主将がいる場所。それから敵の包囲を無効にしてしまうような地点、あるいは部隊へ。主将への攻撃は、なにより旗を倒すこと。将旗が失せれば相手は動揺します」

「包囲下で将兵が命令を冷静に聞きくものだろうか」

「それこそ日頃の鍛え方の課題ですが、前に向かって進めと命令された兵たちはむしろ闘志を出すでしょう。逃れる指令を実行する方が難しいと考えます」


 ガイアケロンは自分の兵士たち、百人頭、千人長らに自信がある。

 徹底的に鍛え、育ててきた。

 仮に包囲されたときは、全将兵が敵の本陣に向かって死ぬまで突撃する。

 どれほどの損害が出るか分からないが、そうなれば打ち破れない相手などいないと確信があった。


 テオ皇子は黙り、じっと何かを考えている。

 ガイアケロンは待つ。

 かなり長い間……、互いに口を開かない。

 静寂。

 いにしえの祭祀殿に似合う、深重な静けさ……。

 やがてテオ皇子が、ゆっくりと語りだす。


「私が思うに、状況はあの時とそれほど変わっていない。たしかに戦争は皇帝国にとって有利とは言えない。それは認めるものだ。しかしである。王道国が決定的に勝つことも、また無いと言える。これは自明の理。無理に勝利を追求したところで双方が自滅する」

「勝敗は時の運。間違いないのは多くの不幸が起こることでしょう」

「失礼ながらガイアケロン殿の父君。イズファヤート王は御狂いなされている」

「父が狂っている、と申されるか」


 ガイアケロンはあえて柔和を保ったが、本質を突いてきたと悟った。


「さよう。いたずらに王子たちや将兵を敵へと攻め込ませるばかり。何が目的なのか」

「無論、皇帝国の討滅」

「できぬ! 国土を突き進み、果ては帝都にまで辿り着いたとしよう。しかし、攻略できるか? それが無理であるのは、王であれば弁えるべきこと。それでも進撃を命じ続けるとは王たるものの命令とは言えない。なぜ、私たちが派遣した講和の使者を殺して、体を引き千切り、塩漬けにして送り返した? 狂っているとしか考えられない」


 もっともな疑問だとガイアケロンは思う。

 使者など、気に入らなければ帰せばよいだけのこと。

 あるいは捕縛でも足りる。

 しかし、残虐に殺さないと気が済まない性質なのだ。

 理由などというのは、それに尽きるとガイアケロンは考える。

 もし、もう少し深い意味があるとするなら戦争がより激しくなるため火に油を注いでみた、といったところか。


「父を侮辱するか」


 ガイアケロンは表情を消して言う。

 父への憎しみは誰にも悟られてはならない。

 回り回ってあの怪物の耳に入れば、殺す前に己が殺されるだろう。


「父王への侮辱は我への侮辱である」

「……。これは失礼をした。しかし、私はイズファヤート王に期待できることがもう何もない。だからガイアケロン殿を恃むことにした。政治とは実現不可能な理想ではなく可能な次善を選ぶべきこと。手を付けたなら断固として進み、なお無理と知らば豹変するもの」

「正しいかと」

「貴国の王族では、率直に言ってガイアケロン殿の力が傑出している。私はそう信じている」

「私は第三王子にすぎず、戦力では劣りますが。後ろ盾も多くはない」

「私は信義などというものは力が無ければ守られないと教えられた。その通りだと確信する。ここは貴方の力と立場を信ずる」

「それで我にコンラート皇子を討たせることにしたのですか」

「その代り、我が軍勢はイエルリング王子の軍団を付け狙いましょうぞ」

「……」

「もはや腹を割って話すが、イエルリング王子のもとで貴方は飼い殺しになるおつもりかな」

「どういう意味か」

「イエルリングが王となれば、貴方は便利な駒の価値しかあるまい」


 ガイアケロンは沈黙した。

 やはりそうなるしかないのか。

 兄イエルリングは後継者として着実に実力を蓄えている。

 どこかで大逆転をしなければ王座は彼のものになるに違いない。

 しかもハーディアはディド・ズマの妻にさせられてしまう。

 選択肢はそれほど多くは無かった。

 死を覚悟して皇帝国に攻め込み続けるのは、あの憎い父親の手先でしかないということだ。


「ガイアケロン殿。貴方が死ぬまで戦場を這いずりまわるのが楽しい程度の男なら、密約は無かったことにしましょう。私が恃む相手を間違えた」

「……」

「殺し合いをする前に、ガイアケロン殿がどういう男なのか確かめられただけでも私にとっては大きな収穫であった」

「我としても約束を結びたいのが本心だ」

「イエルリング王子が負ければ次期の王はガイアケロン殿と決まり。やがて対等な立場で二国が共存共栄する。なかなか良き未来と思うが」

「計画は成り立つと信じるのみ。だが、そのような新しい秩序を打ち立てるのは至難です」

「さよう。だが、負けるわけにはいかない。それゆえ、私は民の街や家々を燃やして回っている」

「聞いています。ディド・ズマの傭兵たちに奪われるより先に壊してしまえと言う非情な作戦」

「私は生来、鈍いらしくてなぁ。民から愛されなくとも苦痛ではない。憎まれようとて民を飢え死にさせるよりはましだと思う。逆に慕われてパン一つ与えることのできない為政者など有害である。逃がした難民には施しをしているので飢え死にをした者はいない。その結果だけで充分である」

「なるほど。王は民衆と共に涙を流す必要はないと」

「そうだ。敵は退け、民衆は殺さぬものだ。後は……そう、魂の苦しみを取り除くのは神の分野であるな」


 ガイアケロンは頷いた。

 この答えは気に入った。

 政治に必要なのは、力だ。

 これがなければ民衆が死ぬ。それも大量に。

 ガイアケロンは聞いた。


「密約がなったとはいえ、戦場で戦わざるを得ない日もありましょう」

「なるべく互いに損害の出ないよう上手くやるしかないであろう。私は大きな成果のために配下を犠牲にすることは仕方ないと思っている」

「細かい条件はどうしますか。いちいち仔細に渡って我らが決めることでしょうか」

「それは信頼する家臣に任せるべきこと。寸土を巡っての領地争い、難しい物事の処理ができる臣すらいないようでは……。私たちは、さらに大きな画を描くべき」

「いかにも。我とて人を使役する度量がある男のつもりだ。臣の献策は生かすのみ。我は承認して、力を貸せばよい」

「私たちは思考と立場を同じゅうするもの。ここに密約成立ですな」


 テオ皇子は出来た男だと、ガイアケロンは考える。

 力と立場を見込んだからガイアケロンを選んだ、という言葉が気に入った。

 権力者にとって信義など無価値であって、実行力が無ければ約束など守られることのない夢想にすぎない。

 つまりは強権で嫌と言う相手を捻じ伏せて従わせることから、権力者は始まる。

 それが出来ないのは権力者とは言えない。


 ガイアケロンの脳裏に、父親の顔が浮かぶ。

 逆らう者を引き裂いて死体の山を築くことしか知らない、貪欲惨忍なバケモノ。

 その暴虐を誰も止めない。止められない。

 力が無いからだ。

 いくら正義を訴えようとも、あの男が聞くものか。

 倫理も愛も、暴力の前には無力。


 おぞましい母たちの告白。

 妹ハーディアの母も、そして己の母親もイズファヤート王から無理矢理に臥所を共にされたのだという。

 愛情などなく、ただ女の意思を捻じ伏せるだけの陰惨な交わり。

 そうして生まれた子供は戦場で、死ぬまで擂り潰す……。


 あの父親バケモノを必ず殺してやる!

 犯して生まれた子供に、今度は自分が引き裂かれるがいい!


 ガイアケロンはテオ皇子に微笑んだ。

 この上もなく優しく、穏やかだった。


 父親を殺すためには味方がいる。

 テオ皇子とは立場が似ていた。

 彼は彼で権力闘争の相手、兄コンラートを倒さねば皇位に就けない。

 お互い、敗北しないために手を結ぼう……というわけだ。

 もっとも間抜けの手を取りなどしないが。


 そのあたりテオはなかなか、良いものを感じる。

 こと鈍感だと自分で認める辺りがよい。

 繊細な人間は詩人に向いている。

 決して王などなってはならない。

 むしろ死体を踏みつぶして歩けるような者こそ……王は向いている。

 死は後で悼めばいいのだから。


「では、握手でもしますか。テオ殿」

「おう。ガイアケロン殿」

「我ら、共に」

「次に会う時は、王と皇帝として」


 二人は力強くお互いの手を握った。




 ガイアケロンとテオは祭祀殿を出る。

 双方の臣下が居並んでいた。

 テオが臓腑に響くほどの大きな声で宣言する。


「同盟なった。ガイアケロン殿と私は、戦友となる」

「我ら立場、考えを同じくする者と確かめられた。明日の世界を二人で造りあげる」


 アベルの隣に立っていた祖父バース公爵が泥まじりの地面に跪いた。

 その場にいた全員、それにならう。


 アベルもまた、とりあえず地に片膝を着けた。

 忠誠心ではありえない。

 自分の願望を共に抱かせたガイアケロンの跳躍。

 怨念が翼を得た。

 ベルティエが高々と旗を振って、密約を祝うかのようであった。


――ガイアケロン、地獄に飛び込むつもりだろう。

  一緒についていってやるぜ。




 






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