第4話:飛鳥の初合コン。

オタロードで藤坂たちと別れた飛鳥と真琴は、なんばパークスに向かっていた。


「なぁなぁ、とりあえず天王寺からオタロまで歩いて疲れたわ。パークスのスタバで休憩せぇへん?」

「えぇよー。しよかー。」


そう言って2人は、パークスキャニオンの奥のほうにあるスタバへ入って、ドリンクを注文して、

外のテーブル席でくつろいだ。


「あ、そうやっ。」

「なんや?」

「こないだな、MIOで3人でお茶してたやん?学校の帰り。」

「あぁ、うん、してたな。」

「その帰りな、ちん電でな、偶然響香ちゃんと会ってん。」

「え、そうなん?!響香、元気そうやった?」

「うん、元気やったで。でな、帰りに家に誘ってん。」

「なんやー、そんなんやったらウチも一緒に帰れば良かったわー。響香に会いたかったしなー。」

「でな、ウチ、いろいろ聞いてん。」

「何を?」

「響香に彼氏出来た?とか、エッチのこととかな。」

「あー、あんたら幼馴染やもんな。」

「うん。そしたらな、響香ちゃん、"合コンせぇへんか?"って言って来てん。」

「合コン?あんたが?」

「やろー?どう思う?」

「そらあんたにはキツいわな。」

「そやろー?でもな、誰もが通る道やから、って説教されたわ。」

「そっかー。」

「でな、もし良かったらな、その合コンにな、まこちゃんも一緒に来てくれへん?」

「う、ウチも?でもウチ、彼氏おるしなー…。」

「まこちゃんが一緒やったら心強いねん。せやから、合コンも行けると思うねん。」

「…うーん。ちょっと、響香呼び出そか。」

「え、あ、う、うん。」


そう言って真琴は響香にLINE通話をした。


「あ、もしもーし、響香?お久しぶりー!真琴やでー。」

「久しぶりー!どしたん?珍しいやん、あんたから連絡くれるなんて。」

「なぁ、今日、何か予定ある?」

「無いで?家でくつろいでるところや。」

「それやったら話し早いわ。」

「なんなん?」

「今な、飛鳥と2人でパークスで買い物してその途中でキャニオンのスタバにおんねん。」

「あぁ、あそこな。」

「でな、飛鳥から聞いたんやけど、飛鳥の為に合コン開くんやって?」

「まぁ、飛鳥がいいんやったら、やけどな。」

「でな、飛鳥がな、ウチも一緒に来てくれたら行く、って言うねん。」

「そうなん?真琴、モデルやし、真琴も来てくれたら盛り上がるわ。」

「せやからな、久々に3人で会わへんか?今から。」

「あぁ、かまへんで。どうしたらいい?」

「せやな、あんた来るまでスタバで飛鳥と話しして待ってるわ。何分くらいで来れそうや?」

「んー…、難波やろ?40分くらい見といてくれたら行けるわ。」

「分かった、じゃあ待ってるわ。ほな、あとでなー。」

「あいよー。」


そう言って2人はLINE通話を切って、響香は部屋で外出用の可愛い服に着替え、少しメイクをし、

髪をセットし、親に、飛鳥と真琴と買い物で難波まで出掛けて来る、と伝え、家を出て、

姫松駅から上町線に乗り、天王寺で降りて、そこから地下鉄の御堂筋線に乗り換え、

難波まで行って、地下街を抜け地上に上がり、なんばCITYを通り、なんばパークスへと向かった。

その間約40分。


キャニオンに着いた響香は、スタバに向かって、2人を探す。


「えーと…、あ、おったおった。」

「おーい、飛鳥っ!真琴っ!」

「あ、響香ちゃんっ!」

「やほー。久しぶりー。」

「ウチも何かドリンク頼んでくるわ。」

「うん。」


そう言い、響香は椅子にバッグを置き、財布だけ持って、店に入って行き、

好きなドリンクを注文して、2人のところに戻って来た。


「真琴、久しぶりやなー。」

「そやなー、中学の卒業式以来やもんなー。」

「あんたも飛鳥と一緒に吹奏楽入ったんやって?」

「まぁな、この子にせがまれてな。」

「そんなん言うてないやんかっ!」

「そやったそやった、ゴメンゴメン。」

「で、飛鳥、合コン行く心、決まったんか?」

「う、うん、まこちゃんが一緒に行ってくれるんやったら。」

「そっか、じゃあ今から男友だちにLINEするわ。」

「い、今から?」

「そや?アカン?」

「今から合コンするん?」

「まぁ、今日、日曜やしな。」


そして響香は、LINEで、同じ学校の仲の良い男友だちに電話した。


「もしもーし、佑耶君ゆうやくん?」

「あぁ、藍原さん、おはよう。」

「おはー。」

「なぁなぁ、今日、何してん?」

「別に何もしてへんで?」

「今な、あんたも知ってる中学からの同級生とな3人でパークスにおんねん。」

「そうなんや。」

「でな、その中にな、男の子と付き合ったことも合コンしたこともないコがおんねん。」

「なぁ、佑耶クン、今日、られへんか?」

「別にええで?なんも用事無いし。」

「そっか、良かった。」

「そっち3人やったらあと2人くらい連れてったらえぇか?」

「いや、ウチともう一人は彼氏おるから、あと一人連れててくれたらええよ。」

「分かった。ほな、ドコ行けばいいん?」

「そやなー、パークスのキャニオンの奥にあるスタバ分かる?」

「知ってるで?」

「じゃあそこまで来てくれる?ウチら今そこで茶ぁしばいてるから。」

「分かった。仲えぇ一個上の先輩一人連れて行くわ。その人も彼女おらんから。」

「うん、ありがとうな。」

「ほなあとでな。」

「ほーい。じゃあねー。」


そう言って2人はLINEを切った。そして佑耶は、その、"先輩"にLINEをした。


「もしもし、先輩?」

「あ、佑耶か?」

「ご無沙汰です。」

「久々やなー。その後、どうしてるんや?」

「はい、毎日学校楽しいですよ。」

「また吹奏楽部入ったんか?」

「入りましたよー。」

「楽器は?」

「そのままホルンです。」

「そうか。で、何か話しあるんか?」

「えと、同じ学校で仲の良い女の子が、合コンせぇへんか?って電話ありまして。」

「合コン?」

「はい。で、その中の一人の子が男の子と付き合ったこと無い、って言うんで、先輩も確か女の子と付き合ったこと無いですよね?」

「うるさいなー、なんや?その上から目線は。」

「すいません。」

「どうもその2人、先輩と同じ学校のコらしいんです。」

「そうなんや。で、ドコに行けばいいんや?」

「来てくれるんですか?」

「可愛い後輩の頼みやからな。」

「その子ら、今、パークスの奥にあるスタバに居(お)るらしいんです。」

「パークスかぁ。」

「僕も今から準備して出掛けるので、先輩もよろしくお願いします。」

「分かったよ、じゃああとでな。パークス着いたら電話するわ。」

「はい、分かりました。じゃああとで。」


そう言って2人はLINEを切って、佑耶は響香に掛け直した。


「もしもし?」

「はーい。」

「もう一人、確保出来たで?」

「ありがとうな。あんたら来るまでウチらココで待ってるわ。」

「うん、じゃああとでな。」

LINE

を切って、響香は2人に、男2人が来る、と伝えると、飛鳥は急にモジモジし始めた。


「どしたん?飛鳥。」

「だ、だって、どんな人が来るんかわからへんやん。」

「大丈夫やって、ウチの友だちやし、あんたらとも同じ中学やったし、信頼出来る人やから。

もう一人の人は、あんたらと同じ学校の先輩、って言ってたな。」

「そ、そうなん?」

「じゃ、じゃあ会ってみようかな?」

「うん、そうしぃそうしぃ。」


そして待つこと約1時間。佑耶が2人の元へ到着した。


「ゴメンゴメン、遅なって。」

「もーう、遅いっての。」

「あ、こちらがさっき言ってた子?」

「そう。」

「初めまして、僕、響香と同じ高校の1年で、吉原佑耶って言います。」

「ほら、あんたも挨拶せぇ。」

「は、初めまして。

私、鈴ヶ丘学院高校の1年で悠生飛鳥って言います。よ、よろしくお願いします。」

「な、LINEでうたとおりの子やろ?」

「そやな、先輩と合いそうやわ。」

「先輩?」

「そう。今から来る人、君たちと同じ、鈴ヶ丘学院のひとつ上の先輩で、

吹奏楽部に所属してんねん。で、僕も今の学校で吹奏楽部に入ってて、ホルン吹いてるんよ。」

「そうなんですか。って、吹奏楽部ですか?!」

「そうやで、君は?」

「あ、わ、私も吹奏楽部で、中高ずっとクラリネットです。」

「そっかじゃあ真琴と同じやんか。

ってか、僕のこと覚えてない?君と同じ中学の吹奏楽部でホルン吹いてたんやけど。」

「あー…私、中学の時はほとんど男の人と会話したこと無いので…。」

「そっか、そういやそうやったな。ってか、そんな敬語使わんでええよ、僕ら同い年なんやから。」

「で、でも、初めて会った人ですし…。」


飛鳥はかなりモジモジし始めた。そこへ、先ほどから話題になってた、“先輩”が到着した。


「やぁ、佑耶、遅くなってゴメン。」

「あ、先輩。いえいえ、僕もさっき来たトコで。」


「あっ!」


「え?」


「あ、楠木さん?」

「はい!」

「それと…悠生さんやんか!」

「なんで?佑耶、今日の合コンの相手って、この2人?」

「そうですけど、知り合いやったんですか?」

「知り合いも何も、同じ吹奏楽部の先輩と後輩や。」

「そうなんや、そしたら話しが早いですね。」

「で、僕に紹介したい子って?」

「あぁ、先輩、この子です。」

「悠生さん?」

「そう。この子、異性と付き合ったことないんです。」

「そうなんだ、実は僕もだよ。」

「みんな顔見知りだから自己紹介は要らないですよね。」

「そうだね。」

「このあとどうしよっか?」

「ジャンカラでも行ってカラオケする?」

「あぁ…、でも、日曜ですし、フリータイム取れないんじゃ…。」

「まぁ、2~3時間でもいいやん?」

「そうですね。飛鳥はどう?」

「うん、それでええよ。」

「じゃあジャンカラ行こか。」

「そうやな。」


そう言って5人は席を立ち、スタバを出て、パークス内を歩いて、

なんさん通り方面に向かい、1階にコンビニが入ってるビルのジャンカラに行った。


「すいませーん。」

「いらっしゃいませ。」

「今、部屋って空いてます?」

「機種の指定はございますか?」

「みんな、ある?」

「私は特に。」

「ウチも。」

「僕も。あ、出来たらLIVEDAMがいいかなー。」

「かしこまりました。少々お待ちください。ご利用時間はどうされますか?」

「フリータイムはさすがにムリですよね。」

「そうですね、本日は終了しております。皆様学生さんですか?」

「はい、高校生です。」

「学生証をお見せ願いますか?」

「はい、これです。」

「ありがとうございます。」

「あと、ジャンカラの会員のアプリは入ってますか?」

「僕は入ってますよ。」

「あ、私も。」

「ウチも。」

「ウチも。」

「僕も。」


ジャンカラは、関西一円を拠点に、全国展開するカラオケ店で、関西では若者を中心に、「ジャンカラ」の名前を知らない人はほぼ居ない、と言うほど有名で格安のチェーン店。


「では、こちらにタッチしてください。」

「はーい。」

「何時間されますか?」

「どうしようか?」

「3時間くらいでいいんじゃない?」

「そうですね。じゃあ、3時間で。」

「かしこまりました。皆様学生様と会員様ですので、割引が適用されます。」

「ありがとうございます。」

「では、お部屋はこちらになります。5名さまですので、少し広めのお部屋を用意しました。」

「ありがとう。」

「お帰りになる際は、こちらのプレートを、あちらの自動清算機でお支払いをお願い致します。」

「分かりました。」と、佑耶。


そして5人は、指定された部屋に入って行った。

部屋に入ってそれぞれに好きなドリンクをセルフで取りに行って、

一息入れた4人は、それぞれに会話していたが、飛鳥だけがポツンとしていた。


そこに、真琴が、佑耶に話しを切り出した。


「なぁなぁ佑耶君?」

「なに?」

「藤坂佑輔ってモデル知ってる?」

「あぁ、知ってるよ。最近テレビにも良く出てるよな?」

「さっきな、あべののHOOPのスタバで飛鳥と居た時にな、偶然会ってんっ!」

「マジっ?!」

「私は何度か仕事で一緒になってたけど、まさか大阪で会うなんて思わへんかったわ。」

「そうなんや。」

「ってか、えー?!佑輔佑輔と会ったん?」と、響香。

「うん、会ったで。ほら。」


と、真琴は自慢げに、通天閣をバックに先ほど4人で撮った写メを見せた。


「ほ、ほんまや、藤坂さんや…。えぇなー、さすが、モデルやなー。」

「モデルは関係無いよ。偶然出会ったんやから。」

「で、この女の子は?」

「あぁ、妹さんらしいで?」

「へぇー。」

「兄妹で大阪旅行やて。」

「そうなんや。」

「で、その2人は今、ドコにおるん?」

「多分オタロードやわ。」

「オタロード?」

「すぐ近くやんっ!!」

「ちょ、真琴っ!あんた、藤坂さんのLINEとか知らんの?」

「さっき、飛鳥と4人でオタロのつけ麵屋さんで食事した時に交換したで?」

「マジで?!うわー!えぇーなぁー!!マジ羨まし過ぎやわー!飛鳥もなん?」

「え?う、うん。」

「2人だけずるいずるいずるいっ!ウチにも紹介してぇーなぁー!!」

「紹介して、って言われてもなぁ。」


と、そこに、真琴のLINEに、藤坂からメールが来た。


「あ、噂をすれば。」

「なになに?」

「藤坂さんや。」

「見せて見せて?」

「ちょ、待ってぇな。」


響香は、真琴のスマホを横から覗き込んだ。。


「なぁに?道に迷った、って書いてあるで?」

「そうみたいやな。」

「通話してみたら?」

「あー…う、うん。」


そう響香に言われるがまま、真琴は藤坂にLINEで通話をした。

3コールほどで藤坂が電話に出た。


「あ、真琴ちゃん?」

「はい。」

「今、ドコに居るの?」

「えーと、カラオケです。」

「カラオケ?ドコの?」

「オタロからすぐ近くの。」

「そうなんだ。僕ら、道に迷ってさー、地図アプリ見ても全然分からないから、

どうしたもんかと困ってて、それで、真琴ちゃんのこと思い出してLINEしたんだよ。」

「そうだったんですねー。」

「あー…でも今、中学の時に同じ学校だった同級生の男の子と女の子の友達と、その先輩の男の子も一緒なんですが…。」

「そうなんだ、じゃあ、邪魔しちゃ悪いかな。」

「あ、でも、その中の一人の女の子が、藤坂さんのファンらしくて、さっきの写メ見せたら、会いたいっ!って言うんですが、どうですか?」

「…ダメですよね?」

「うーん…。じゃあ、僕らがそっち行こうか?」

「いいんですか?妹さんの買い物は終わったんですか?」

「だいたいね。」

「藤坂さん、今、どの辺りですか?周りに何があります?」

「んー…さっき教えてもらった、“ザウルス”って書いてあるおっきいゲームショップがあるよ。」

「あぁ、そこですか。すぐ近くですよ。」

「そうなんだ、じゃあどうしよっか。」

「私、ザウルスまで迎えに行きますよ。」

「ありがとう、じゃあ待ってるよ。」


そう言って2人は電話を切った。


「じゃあ私、藤坂さんを迎えに行って来るから。」

「ありがとー。」


そして真琴は部屋を出て、フロントで人を迎えに行って来る、と伝え、

ジャンカラを出て、ザウルスへ向かった。

ジャンカラからザウルスまではすぐなので、ザウルスの前でキョロキョロでしてた2人をすぐに発見した。


「藤坂さん、お待たせしました。」

「やぁ、ゴメンね、友だちと楽しんでるところ。」

「いえいえ。」

「何?僕のファンの女の子が居るんだって?」

「はい。」

「光栄だね。」

「その子、可愛い?」

「はい、かなり。」

「そっか、楽しみだな。」

「ちょっと!お兄ちゃんっ!」

「あ、ゴメン、エリカ。」

「じゃあ、カラオケ行きましょう。」


そう言って3人は、みんなが待つジャンカラへ向かって、真琴がフロントでスタッフに事情を説明し、2人追加をお願いして、藤坂とエリカもドリンクを持って、部屋へ向かった。

そして、部屋の前で、真琴がこう言った。


「藤坂さん、少し待っててください。みんなを驚かせますから。」

「あ、う、うん。」


真琴はドアを開け、「お待たせー。」と言って、「本日のスーパーゲストでぇーすっ!みんな、拍手でお出迎えくださーいっ!」

と言い、ドアを開けると、

そこには笑顔の藤坂と、少し緊張気味にうつむき加減のエリカが立っていた。


「うわー!うわー!うわー!、ほ、本物の藤坂さんやっ!」

「やぁ、みんな、突然割り込んで申し訳ないね。」

「い、いえいえ、どうぞどうぞ。そちらが妹さんですか?」

「そうだよ。やぁ、さっきぶりだね、飛鳥ちゃん。」

「あ、ど、どうもです。」

「あ、握手して頂けませんか?そ、それと、さ、サイン、お願い出来ませんか?」


響香は興奮しまくっていた。


「あぁ、いいよ。」

「きゃーっ!」

「他の子たちは?サインとかしなくて大丈夫?」

「あ、じゃあ僕ももらいます。」

「僕もお願いします。」


飛鳥と真琴以外一通りサイン会&握手会が終わって、7人は一息入れて落ち着いた。


「藤坂さん、確かCD出してましたよね?」と、響香。

「え?あ、う、うん。」

「それ、歌ってもらえませんか?」

「えー?」

「お願いします!こんな機会、一生に何度も無いんでっ!」

「分かったよ。」


そう言って藤坂は笑顔でデンモクを取り、歌手名で自分の名前を検索し、響香に質問した。


「リクエストはあるかな?」

「え?あ、じゃ、じゃあ、あの一番有名なバラードを…。」

「分かったよ。」


と笑顔でタイトルを探し、イントロが流れると、キレイな歌声でしっとりと歌いだし、みんなも聞き惚れていた。


歌い終わったら、部屋の中に拍手が巻き起こった。


「うわー、凄い凄いっ!まるで藤坂さんのライブに来てるみたいっ!」

「そんなに感動されたらこっちも歌いがいがあるよ。」


その後はそれぞれに談笑して盛り上がっていて、あっと言う間に終了時間の10分前になり、

7人は部屋から出てフロントで清算を済ませ、エレベーターで1階まで降りて、

藤坂たちと笑顔で別れた。


「いやー、夢のようやったわー。ありがとうな、真琴。」

「ええってええって。それより今から何する?」

「んー、そうやなー、ボーリングは?」

「ボーリングかぁ…。飛鳥は?」

「わ、私、ボーリングなんてやったこと無いから…。」

「せやったら僕が教えてあげよっか?」

「え?せ、先輩が?」

「そやな、それがええわ。」

「ほな先輩、飛鳥のこと、頼みますね。」と、佑耶。

「ウチら今から別行動取るんで。」と、響香。

「って、えぇ?ちょ、ちょ、佑耶っ!そら無いやろ?」

「大丈夫ですって!お2人は同じ部活なんでしょ?」

「そやけど…。悠生さんはどう?」

「わ、私は構わないです。」

「じゃあ決まりやね。飛鳥、頑張りやっ!」

「じゃあ先輩、僕らあっち行くんで。」

「ちょちょっ!…はぁ…。」

「どうしよっか?僕、女の子と2人なんて初めてやから…。」

「だいじょぶです、私も初めてです。」

「そっか、ほな、千日前のラウンドワン、行こか。」

「はい。」


そう言って2人はなんさん通りから千日前方面に向かって歩いて行った。

その途中、飛鳥と千春の2人は、無茶苦茶緊張して無言で歩いていた。


はてさて、この後、2人のボーリングデートはどうなることやら。

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