第8話 転生したら春麗だった件
最近の俺は弛んでいる。第1回の覚悟は何処へやら、最近は当然のような顔をして隔日更新になっているし、俺の日常を書くばかりで小説を書く気が失せてしまっている。まあ俺はこういう場合に備えて、敢えて毎日更新とは言わなかったわけだが、気持ち的には毎日更新する気でいないといけないはずだ。執筆にオールインするとは誰の言葉か。
24時間を全て自分に使える俺が何をしているかというと、10時間程度寝て、6時間程度ゲームして、残りの時間はPS4でYoutubeを見ている。そういう生活は止めると誓ったはずではないか。取り戻そう、あの日の思いを。俺は仕分けの鬼なので、この中でも最も悪しき時間、ストリートファイターVをコストカットしていく。
俺は怒っている。ストリートファイターVで一生昇竜拳を擦ってくるリュウにボコられて、怒りが収まらないのだ。いや、リュウだけではない。一生めくりジャンプしてくるケンや、一生浮いてるダルシム、一生突進してくるベガやG、意味分からんインチキキャラかりん、何故か最後にはこっちが負けているザンギエフ、というかこのゲームの全てのキャラクターに怒っている。俺が使っている春麗ですら相手にするとムカつく。
俺は今日6時間怒りっぱなしだった。何度も布団を叩いた。「はあぁっ……まじで……」と500回言った。普段全く怒らず、女の子には決まって「んー…………優しそうw」と言われるこの俺様が、怒りの感情を抑えられなかったのだ。
そんなに怒るならやらなきゃいい。ああ、その通りだ。でもストリートファイターをやったことがある奴なら分かるだろう。止められないんだ。
だって、相手は絶対に俺より弱いから。
これが全てだ。俺は自分より弱い奴に負けることにキレてるんだ。起き上がりに絶対大昇竜パナす相手に、「俺がガードしてたらお前もう死んでるからな?」と言いつつ、当たって死んで、キレてるんだ。
俺は全て知っている。大昇竜をパナす相手には、2f以内に技を重ねるか、ガードすれば良いと。めくりジャンプは遅めに技を出すので、前に歩くか空対空をすれば良いと。突進技みたいな、強すぎだろって技には大抵確定反撃があると。そのフレームの調べ方も、知っている。俺は明らかに、知で勝っている。もちろん、技でも負けているつもりはない。実際、俺はその知を実践していて、対戦中も相手キャラクターへの反撃を考えている。
なのに勝てなあああああああい! 俺が技を重ねたら絶対無敵技撃ちやがる。俺がガードするときに限って、投げやがる。昇竜拳のコマンドをミスりやがる。ガードストップがよく分からなくて、100%こっち有利なのに相手の中パンチがカウンターする。100%ボタン押したのに押してないことにされる。ああああああああああ俺が何したってんだ。俺の人生いっつもこうだ。俺は中学生のとき、想像力が欠けていて、友達を怪我させてしまったことがあり、その事が今でもトラウマになっているのだが、あれは本当に俺である必要はあったのか? 俺は何度もあの日のことを考える。確かに、悪いのは俺だ。俺の想像力が欠けていたから起こったことである。しかし、本当に俺か? あの糞餓鬼共の中で、罪を犯すべきは本当に俺だったのだろうか。想像力が欠けていたのはどいつもこいつも同じじゃないか! なんなら俺はあの中では相当マトモにモノを考えている方だったはずだ。それを俺は、当時も今も、明らかに俺より想像力が欠けていて、全身からしょーもなさが滲み出てるような奴らに、俺との思い出がソレしかないからといって、未だにイジられなければならないのか? 何故俺なんだ! 俺はリュウ以外の全ての人間を恨まない、憎まない! 俺をイジってくる奴らにだって、笑顔で接し、ちゃんと道化になってやる。皆が追い込むだけ追い込んでもう忘れた、小保方さんや野々村議員も赦そう。麻原彰晃だって、大きな声では言わないが、俺は赦す。なのに、俺は赦されない。神よ! 見返りを求める愛では赦されないのですか! 俺が。俺だけが。俺が俺が俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺死死死死死死死死死死隆隆隆隆隆隆隆隆隆隆隆隆――――――――――
――――俺は憤死した。
なんだ、死んだのか?
最期まで対空出せないとか、ないわぁ・・・
せめて対空技に空中無敵があればな・・・
《確認しました。オート対空獲得・・・成功しました。続けて、弱kと大kと引き大kに1~8f空中、飛び道具無敵獲得・・・成功しました。》
「アビッゲエェェェイル!」
なんだ、うるさい奴だ。アビゲイルならしょーがない。
最期までコマ投げ飛べなかったな・・・
大足もめっちゃクラカンするし・・・
《確認しました。オートジャンプ獲得・・・成功しました。続けて、オートガード獲得・・・成功しました。》
俺でも勝てるくらい超最強になんねーかな・・・
《もろもろ強くなりました。》
ああ、意識が・・・
「・・・の・・フー・・てあげる」
ん? 声が聞こえる。これは……俺の声? なんで俺から折笠富美子の声が?
「この道を、進むのみ!」
この声は……リュウの声だ! 正面からリュウの声が聞こえる!
驚いて目を開けると、目の前にリュウがいた。しかも、やけにラグい奴が多い滝のステージだ。このリュウとの距離感。滝のステージ。ってことは……。
「ラウーンワーン、ファイッ!」
いきなり試合が始まった! なんてこった。とりあえずいつもの癖で……ええい!
「キコーケン!」
ちょっと待て! 本当に気功拳が出たことも驚きだが、早速飛ばれてしまったぞ! 開幕飛んでくるタイプのリュウだ! まずい、飛びが確定する!
《スキル、オート対空を発動します》
待て、今から対空技出しても間に合わな…………え? 弱kが間に合っている……?
まさか、ぼんやり聞こえてた声の通り、1fから無敵? 気功拳の硬直も減っている?
どうやら俺は春麗に転生したらしい。
となれば……やることは一つ!
「てぇふってぇふっ」
《追突拳のダメージを65から100に変更しました》
「百裂脚! おまけよ!」
《確定状況で自動的にEX百裂脚が出るように変更しました》
「てぇふっいやぁ」
《中Pのヒット/ガード時に密着状況になるよう変更しました。続けて、押し合い判定を変更しました》
「スピニンッバードキーック」
《スピニングバードキックがタメが無くても音声認識で出るように変更しました》
「たたみかける!」
《Vゲージを無限に変更しました》
「これで終わり! きめるっはああああああああああ逃がさないっハァッ!」
「うああああああっ」
YOU WIN
というわけで、明日から執筆を頑張ります。何度も何度も言うように、俺は4月中には働き出さないといけないので、春麗に転生している暇はありません。まあ顔の傷が治らなくて髭が剃れないので、明日は無理そうですが、そろそろ求人に応募します。働き始めたら今以上に時間が取れなくなるので、今のうちに頑張ろう!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます