第2話 金と労働
これはあくまで俺の話だ。
俺の貯金は現在20万円しかなく、4月中には仕事を始めなければ危うい段階に来ている。なので金と労働について書いていこうと思う。
4年前に仕事を始めたとき、俺は2年間は働こうと思っていた。俺の一月の生活費はおよそ8万円ほどで、手取りが20万ほどだったので、欲のない俺は1年で大体100万ほどの貯金を作ることが出来た。つまり1年働けば1年働かなくていい計算になり、当時の俺は、2年働いて2年休み、また2年働くという生活を繰り返そうと思ったのだ。これは当時の俺には画期的なシステムに思えた。社会に出ると、残りの人生のほとんどを労働で終えるのだと絶望していた俺だが、このシステムで生きていけば、残りの人生の半分を遊んで暮らせることになる。それならば自由な時間は学生時代と遜色ないくらい存在しているではないかと。これは事実ではあるのだが、俺はその自由な時間を生かすことができなかったというのは前回の記事で書いたとおりである。
何故俺は自由な時間を生かせなかったのか。それについてはすでに考察済みで、俺には最低限自分を律する何かが必要なのだ。
例えば学生時代。学生時代は毎朝早くに起きて、ほとんど遊びのようなモノだが、一応毎日学校へ向かい、授業を受けねばならなかった。人の目もあるし、口うるさい人達もいて、自分の生活が律されていたわけだ。糞ダルい学校に時間を奪われるからこそ、その反動で娯楽の味が濃くなっていたことは間違いないだろう。限られた時間で貪り食らっていたのだ。今娯楽の味が薄く感じるのは、もちろん味に慣れたというのもあるだろうが、それ以上に、規律の欠如が大きな原因なのだと思う。楽しくない、しんどい、苦しいといったネガティブな感情が、楽しい、面白いといったポジティブな感情をより強めるのだろう。12時間たっぷり寝て、明日もあさっても12時間寝れる環境では、何もかもが薄まってしまうのだ。
もちろん自分を律することができるなら2年働いて2年休む生活はオススメなのだが、俺のような自分にゲロ甘の自分馬鹿には、この生活はやはりオススメできない。俺には俺を導いてくれる存在が必要だ。
ということで、次に俺が選ぶ生活スタイルは、週3程度、手取り10万円程度の仕事を続けながら、残りを執筆にオールインする生活だ。仕事に自分を監視させながら、必要最低限の労働量で生きていくのだ。そんな仕事を4月中までに見つけるのが目下の努力ポイントである。
職種について考える。
経験は共有した方が効率が良いので、ひとまず俺が2年間働いた工場での仕事について書く。
俺の提唱する2年働いて2年休むシステムの批判として、「若い内はそれで良いかもしれないが、歳を取って体力が落ちてくると、肉体労働が出来なくなったり、働き口が見つからなくなる」というものがあるかもしれないが、これは俺の知る範囲では間違っている。まず、年寄りでも出来る仕事は山ほどある。これは求人サイトを見れば判る。いつでもどこでも人手というのは足りていないのだ。問題は肉体労働についてだが、一口に肉体労働と言っても、その内部では、とても体力を使う仕事と、全く体力を使わない仕事があるものだ。
俺が働いた工場の話だが、俺が面接に行ったとき、俺以外に40歳くらいのおじさんとおばさんが居て、3人同時での面接となった。聞かれてもいない自己PRを延々と語り出すおばさんを尻目に行われた面接だが、無事全員採用される運びとなった。採用後の説明会でまた3人同時に行われたわけだが、俺は若いということで、当然のごとく最も体力を使う部署に回された。これは薄々感づいていたことで、この前に働いていた工場でも似たようなことが行われていた。若者は一番きつい部署に回されるのだ。彼らにとって若者=体力があるなので、カモにされてしまう。爛々と目を輝かせた人事のお姉さんが、笑顔で若者を地獄に叩き落とすのである。「○○さんは若いので~」つって。そして、こちとら互いに憎しみ合いながら、時間に追われ、ヘトヘトになって働いているわけだが、肉体労働要素といえば立っていることだけのようなおばさん達と基本給が変わらないわけである。
工場とは、意外にも年寄りのための仕事なのである。工場でも、楽な仕事は本当に楽で、割が良いのだ。なので、俺がもし次に工場で働くとしたら、歳を取ってからだ。これはあくまで俺が知る範囲の話である。
俺が次に狙っている仕事は夜間警備員だ。ぼんやり求人サイトを見ていると、警備員は拘束時間こそ長いが、その分明け休みとなるので日数の拘束は少ない。給料の安さは仕事の楽さを表しているようなもので、最低限の金さえ稼げれば良い俺には問題ない。冷静に考えて、夜間の警備員が忙しいはずないのだ。客がいないのだから。おそらく名目上必要なだけなのだろう。ということは、職場で良好な関係さえ築ければ何をしててもお咎め無しという事であり、それなりの確率で、仕事中に本が読めるような気がしてきた。なんなら執筆すら出来るかもしれない。ああ、なんて素晴らしいんだ! 警備員!
もう気分は警備員なので、警備員を狙っていく。少なくとも、今までやったことがない職業という点で悪くない。
金の話に戻るが、俺の貯金は現在20万円だが、潜在的には既にマイナスである。年金やら保険やらを放置した上での話なので、俺が働き出して金を得たら、勝手に金を持って行かれる訳だ。黄色い封筒がピンクになって、ついには真っ赤になる。なので、マトモに生きる気がある人ならもう少し早く働き出さなければならないので注意。
今回の俺にはユーモアが欠けている。面白いことを言ってやろうという気持ちが足りていないのだ。常に面白いことを言おうとする心構えは、人生で最も重要なことの一つだと思っている。与えられる人間になるために重要なことだ。次回はユーモアを意識する。
でも、難しい話なんだ。最近の俺はあまり面白いことが言えなくなってきている。面白いことを言うってのは、ある程度誰かと戦うということなのだ。皆に好かれようと思うと、面白いことは言えない。争いを好まない最近の俺は、戦いを避けすぎている。インターネットによって見える範囲が広がり、批判の範囲も広がった。自分に向けられた言葉ではなくても、錯覚してしまう。ここは初心に返り、まずは自分の手の届く範囲をバッチリ楽しませられるようになろう。結局全ては程度の問題である。
今日はこの後、このサイトの小説を1本読んで、積んでいる小説を読んで、日付が変わるまでに寝る。まだ15時。もう15時。
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