第10話 最後の案内(最終回ではありません)

「そうそう、多分今日で案内するの最後になるわよ。次やるのは当分先ね」

 突然ユノがそんな事を言ってきた。

 え?それって終わるものなの?

 てか終わらして良いのかそれ。

 「もしかして、最後の転生者って……俺なのか?」

 するとユノの目が一瞬で涙ぐむ。

 「また私に意地悪するの?」

 てかもう涙声だ。

 「じょ、冗談だよ冗談」

 ユノは安心したのかのように肩を落とす

 「もう、やめてよね?そういうの」

 ユノが胸に飛び込んで来た。

 「暫くこうさせて……」

 てかこの話題だすと極端に弱々しくなるな。

 「博人、今日はどうする?」

 後ろからエラに話しかけられる。

 「今日も、ユノの手伝いかな?エラはどうする?」

 「なら私も手伝いする」

 両腕を前に構えながら気合いを入れている。

 「でも確か今日は少なかった気がするわよ?案内する人」

 そうだ。

 聞きたい事があったんだ。

 「ユノはいったいどう言った存在なんだ?」

 ユノはポカンとした表情でこちらを見つめる。

 「あら?言ってなかったかしら。一様貴方の世界では神様的なのをやってます」

 ふふん、凄いでしょと良いたげな表情だ。

 「それを言うなら女神でしょ」

 ユノは揚げ取ってきたのが気にくわないのか頬を膨らませている。

 「そろそろ来るわよ」

 ちょっと不機嫌だ。

 「俺達も準備するか。エラ」

 「うん、そうだね」

 すると前みたく前の方が光だした。

 出てきたのは小柄の少女だ。

 「ええと、貴女は斎藤葵十六歳…え?」

 え?

 エラは俺と目の前の少女を交互に見ている。

 「久しぶりです、兄さん」

 おい斎藤家全滅したぞ。

 ――――――――――――――

 「貴女が博人の妹さん?実際見るとやっぱり顔似てないわね~」

 あっそうか。

 ユノは妹知ってるんだっけ?

 「兄さん?この人は誰です?」

 「ん?この金髪の人がユノ。亡くなった人を転生先に案内する人だな」

 「なるほど。では何故兄さんは転生していないのですか?」

 まあ確かに不思議だわな。

 「ユノの手伝いをしてるからな」

 「そうですか。ではそちらの隣に居る御方は?」

 興味も無さそうに頷いた後次はエラについて聞いてきた

 「この灰色の髪をしたのがエラで手伝いをしている時に知り合った」

 「と言うことはこの二人とは何ともなかったんですよね兄さん?」

 何ともって……。

 無いに決まってるだろ。

 「何も無かったに決まってるだろ?俺だぞ俺」

 不安げな顔で葵はこっちに来る。

 「だから心配なんですよ兄さん」

 いまいちわからん。

 「何も無かったよな?ユノ、エラ」

 二人の顔を交互に見ると気まずそうに目を反らす。

 え、何?俺自分でも気づかないで何かしてたの!?

 「つ、ついでに聞くとどこまでがセーフ?」

 葵の目が見開く。

 「ど、どういう事です兄さん!!何やったんですか!!教えて下さい!!」

 そのままさらに距離を詰めてくる。

 もう目の前に葵の顔がある。

 「いや、だから基準を教えてくれなきゃ判断のしようがないだろ」

 「基準を聞いてきてる時点で十分怪しいんですけど!!心当たりがあるんですね兄さん!?」

 そんなに怒らんでも……。

 「いや、本当に無いって!!そもそも俺はここに住むとかじゃなくてあくまでも転生先を考える執行猶予見たいなものだから」

 すると次はユノが俺の肩を揺さぶる。

 「さっき転生しないって言ったじゃないどういう事よバカ~」

 泣きながら。

 「いやしないとは言ってねーよ!?暫くな暫く!!」

 「いがないで~~」

 あー駄目だこのポンコツ神様本来の仕事忘れてる上自分の都合の良いように曲げて覚えやがった。

 「一人が嫌なんだろ!?なら別の奴誘えば良いじゃん!?」

 ユノは更に泣き出だす。

 「博人じゃなきゃいや~~」

 なんなんですかこの子。

 精神年齢低すぎるだろ!!

 「エラは?エラじゃ駄目なのか?」

 せめてもの救いにエラを見る。

 頼む今後の俺の人生設計が懸かってるんだ。

 俺はパッピーエンドが好きなんだ。

 「……博人が一緒ならどこでもいい」

 ……これ俺転生出来なくね?

 いや出来なくは無いだろうけど。

 「はぁ、無理やりはしないから。皆が合意の上でするからもう泣くな。」

 ユノをあやすよう頭に手を置いて話しかける。

 「俺はパッピーエンドが好きなんだ。それに俺は紳士だから女性は泣かさない」

 「もう泣いでるんですげど。転生先芋虫に固定するわよ?」

 ユノが悪態を突いてくる。

 転生したら芋虫でしたなんて嫌だ。

 「ま、まああれだ、ユノが納得する条件でしか転生はしないから許して下さいお願いします」

 あれ?そう言えば……。

 「これは有罪で決定ですね兄さん?」

 葵はそれは素晴らしい、例えるなら一輪の花のような笑顔をしていた。

 後ろに死神のような鎌を持った人が見えるのはきっと気のせいだ。

 だってなんなに笑ってるんですもの。

 「いや、俺は悪くないって!」

 「有罪です勘弁してください兄さん!証拠は上がりました!!」

 ワナワナと肩を震わせているが直ぐに収まる。

 あれ?いつもはここから説教が始まるのに。

 「やっぱり兄さんは私がいなきゃ駄目ですね。すぐに他の人に手を出しちゃいますから」

 呆れたような表情をしている。

 だが次は頬が赤く染まった。

 葵と俺の距離は限りなくゼロに近い。

 「だって…兄さんが好きなのは私なんですから」

 ん?

 葵の手が顔に触れる。

 そのままだんだんと口が近くなる。

 「なにやってるの博人」

 俺と葵の顔が重なる寸前でエラの手が間に入ってきた。

 「そもそも博人は貴女には恋愛感情は抱いていない」

 う、うん当たり前だろ。

 さっきはちょっと流されかけたけど。

 「そんな事ありません。兄さんは私にベタ惚れです」

 いやいや、ちょっとこの妹なに言ってるの。

 「その証拠は?」

 エラが葵と向き合う。

 「兄さんは私にキスをしてくれました。それにいつも抱き締めてくれます」

 え!?

 「さっき紳士とか言っていた兄さんがまさか記憶に無いとか言いませんよね?」

 「………」

 黙秘権を行使します。

 だって記憶に無いんだもん。

 「それは寝てるとき。博人は寝相が悪いからキスをしてくる時がある」

 てか寝相悪いんだ俺。

 というよりもだ。

 「それを知ってると言うことは……もしかしてエラにもしちゃった?」

 「うん、だから私もキスをした」

 ん?

 イマナンテイッタ?

 「貴女もそれを知っているとは、なかなかやりますね」

 え?

 「え?」

 ユノが真顔だでこちらを見ている。

 怖い。

 「今度から一人で寝るんで許して下さいユノ様」

 なんか目が怖い。

 ユノは無表情でギョロっとした目で向かってくる。

 「私も今度一緒に寝るから」

 逆らったら殺されそうなほどの瞳がずっとハイライトオフでこちらを見ている。

 「はい、わかりました」

 このときのユノは今まで見た中で一番怖かった。

 横を見るとエラと葵が握手していた。

 ―――――――――――――――

 「そう言えば、葵はなんで死んだんだ?」

 ほとぼりがすんで皆でお昼を食べてる時に気になっていた事を聞いた。

 「私は交通事故ですよ。兄さん」

 思ったよりも普通の死に方だな。

 「え?」

 それにユノが反応した。

 「でもあな「どうしたんですかユノさん?」…なんでもありません」

 葵の死因は一様交通事故らしい。

 ――――――――――――――

 「斎藤葵さん、貴女はなにに転生するの?」

 「決まってるじゃないですか。兄さんのお嫁さんでお願いします」

 当たり前見たいに言うんじゃありません。

 「ふざけた事を言ってないで真面目に答えなさい」

 あれ?

 ここに似た様な理由の子がここにいますよ?

 「いいえ、別にふざけてなどいませんよ?」

 葵は隣にいるエラを一瞥すると口を開いた。

 「エラもその理由で出来ていたんですから私が出来ないなんて事は無いですよね?」

 ユノは頭を抱えながら呆れたようにため息をつく。

 「はぁ……もういいわよそれで」

 また一人メンバーが増えました。

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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斎藤博人は異世界に転生したい サンサン @Taichi325

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