第9話 詩織と椎葉の気持ち

夕食が終わり椎葉の荷物を取りに行くために制服から着替えるために、部屋の前まで戻った時に詩織から声を掛けれる。

「お兄ちゃん、また外に出るならプリンちゃんと買ってきてね」

さすがにさっきした約束なので、買ってこない訳にはいかない。

「あぁ、分かってるよ。着替えるから椎葉が暇だろうから話しててくれ」

「分かった〜でも、何話せばいいかな?」

詩織は話題が思いつかないようで俺に聞いてきた。自分でも話題を考えてみたがあまり思いつかない。

(そういえば、俺もそこまで椎葉のこと詳しく知らないな)

「どうかしましたか?」

俺と詩織の話が聞こえたのか椎葉がリビングから様子を見にくる。

「何でもないぞ。また、出かけるならプリンを買ってこいって言われてただけだ」

「そうなんですね。そろそろ荷物を取りに行きたいのですが大丈夫ですか?」

椎葉を待たせてしまっていた事に気付いたので早く着替えてくることにする。

「すぐ着替えてくるから詩織とリビングで話しながら待っててくれ」

「分かりました」

椎葉からの返事を聞いてから詩織に視線を送る。

「じゃあ、リビング戻りましょ〜」

意図が詩織に伝わったようで安心する。2人がリビングに入ったのを確認してから俺は自分の部屋に入った。

◇◇◇

「椎葉さんってお兄ちゃんのこと好きなんですか?」

詩織は唐突になんの前触れもなくリビングに入ったタイミングで聞いた。

「………なっ!?」

「あっ、その反応やっぱりそうなんですね〜」

心愛は驚き、詩織は頷きながら納得した様な声を上げる。

「わっ、私が柊君のことを好きだなんてそんな事あるわけないじゃ無いですか」

「いやいや、今更取り繕っても遅いですよ

後、ワタシに敬語なんて使わなくていいですよ」

「いえ、別に取り繕ってなんて無いですし後、敬語これは癖なので気にしないでください」

「分かりました。それに関しては諦めます」

「はい、そうして下さい」

心愛は言いきってから気付いた。

「それに関してはってどういうことですか?」

「え、敬語の事は諦めるって事ですけど」

「なんでそんな何を言っているの?みたいな反応なんですか!?」

「だって椎葉さん認めてくれないんですもん。認めた方が楽だと思うのに」

「だから、私は別に柊君の事が好きという訳じゃないです」

心愛が何度、否定しても詩織はしつこく何度も聞いている。そんなやり取りを何度も繰り返しているうちに詩織が折れた。

「うぅ、分かりました。その事も諦めます」

「はぁ、分かってくれたならそれでいいです」

「ぷっふふ、あはははははは」

「ふふ、ふふふ」

詩織が笑うとそれにつられて心愛も笑っていた。それから2人は優が戻って来るまでの少しの間笑いあっていた。

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