第8話 3人での夕食
(俺、何かまずい事でも言ったか?)
椎葉が俯きながらリビングに戻っていった理由が分からず考えていると、側で準備している詩織から叩かれる。
「お兄ちゃん!夕飯作るんでしょ!」
「何、怒ってるんだお前?」
「別に〜、お兄ちゃんが何もしてないのが悪いんでしょ」
「あぁ…悪かったな、さっさと作るか」
椎葉が俯いてリビングに戻った理由も詩織が突然怒ってきた理由も分からず、俺はモヤモヤした気持ちのまま夕食の準備をすることになった。1人分食事が多くなったからか、普段より少し時間がかかったが夕食が作り終わった。
リビングにある4人がけのテーブルに出来上がった夕食を、俺が座る側の反対側に2人分置いて、食事が出来る状態になった。
「「いただきます」」
俺と詩織はいつもの様に食事を始めると椎葉も小さく「いただきます」と言ってスプーンを取ってオムライスを口に運ぶ。
「んっ、これ、美味しいです!」
あまり他人に手料理を食べさせたことがなかったからか美味しいと言われたことが思っていた以上に嬉しかった。
「そうか、口に合ったみたいで良かったよ」
「今日のご飯いつもより美味しい」
ぼそっと詩織が何かを呟いたが聞こえなかった。
「なんか言ったか詩織?」
「なんでもないよ〜だ」
「なんで、さっきから怒ってるんだ?」
「怒ってないって言ってるじゃん」
本人は怒ってないと言っているが、どこからどう見ても怒っている。
「あ〜もう、わかったよプリン買ってくるから機嫌直せ」
「ほんと?わ〜い、でも今日は頭撫でてくれないの?」
「ぶっ!!」
俺と詩織が話していると、突然椎葉が水を吹き出した。
「おわっ!椎葉大丈夫か?詩織、台拭き持ってきてくれ」
「わかった!」
椎葉に声をかけた後、詩織にテーブルを拭くための台拭きを持ってくるように言う。
「ケホッコホッ、大丈夫です。ちょっとむせただけなので」
椎葉から返事をされたので少し安心した。だが、椎葉はそれよりもと続けて
「いつも妹さんの頭を撫でてるんですか?」
「ぶっ!!」
今度は俺が吹き出した。
「うわっ、お兄ちゃんまでどうしたの!?」
「ゲホッゲホッ、なん……でもない。それより椎葉の方が大丈夫か?」
詩織が心配してくるが、俺はそれどころでは無いので誤魔化す
「そうだね、椎葉さん大丈夫ですか?」
「えっ、あっ、はい、私はもう大丈夫です。って誤魔化さないで下さいよぉ」
「ちっ」
「今!舌打ちしましたね!そんなに答えづらいことじゃないじゃないですか!!」
「俺からしたら答えづらいことだよ!」
「なになに?何の話?」
「椎葉、早く飯食い終わして荷物取りに行かなきゃ行けないだろ。後にしてくれ」
詩織が混ざって来たら面倒なことになると思い話を切る。
「はぅ、そうでした」
数分後、ようやく夕食を食べ終わることが出来た。
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