第6話俺の家族と転校生(2)
「じゃあ取り敢えず自己紹介を椎葉にして貰ってもいいか?」
椎葉にそう言うと彼女は頷いた。
「私は
椎葉は問題なく思った通りの自己紹介だった。
「じゃあ次はワタシの…」
「お前の紹介は俺がするから黙ってろ」
俺は詩織の自己紹介を遮って話をする。
「む~、自己紹介くらいできるのに~」
「お前は余計な事しか言わなそうだから喋るな」
文句を言ってきた詩織に対して俺が思った事をそのまま伝える。
「余計な事ってなにさ〜」
「余計な事は余計な事だよ、それ以上でもそれ以下でもない」
このままでは俺と詩織の会話になってしまうので椎葉に詩織を紹介する。
「さっき、こいつが言ったように妹の詩織だ。愛してやまないとか言ってたが全部こいつの嘘だ」
「お兄ちゃんひどいよ!ワタシは大好きなのに!」
「はいはい、それで椎葉何か質問あるか?こいつに関することで」
面倒なので詩織の事は一旦、置いておくことにする。
「じゃあ、さっき柊君は一人暮らしって言っていたのになんで妹さんがいるんですか?」
「週末だけ俺の家に泊まりに来てるんだ」
「お兄ちゃん成分が足りなくなるんだもん」
前にも聞いた同じことを言われ、俺の妹が大丈夫か心配になってきた。
「そうなんですね。それなら仕方ありませんよね」
だが椎葉は理解できたようでうんうんと頷いていた。
「今ので分かったのか!?」
流石に驚いてしまった。正直こんなことを言うのは詩織だけだと思っていたから自分が普通なのかどうか分からなくなってきた。
「まぁ、そんなことは置いといて、だ」
このまま話を続けてしまうと椎葉の頼みについて詳しい事が聞けなくなってしまうのでそろそろ本題に入る。
「なんで椎葉はあんな頼みを俺にしてきたんだ?」
まだ椎葉が何故あんな頼みをしてきたかの理由を聞いていない。そもそもそれを聞くために家に連れてきたのに詩織のせいで全く話が出来ていなかった。
「それは……」
椎葉は話しづらそうに詩織の方を見ている。
「詩織、ちょっと部屋に戻っててくれ」
「なんか真剣な話っぽいからわかった〜」
流石に男の俺の部屋に椎葉と2人でいるのは詩織が後々うるさそうなので詩織に部屋に行ってもらうことにする。
「すみません私が頼んだ事なのに……」
詩織が部屋に戻った事を確認すると申し訳無さそうに椎葉がそう言った。
「気にすんな誰でも人には聞かれたくないことなんていくらでもあるだろ」
そう言うと椎葉は安心したようだった。
「じゃあ、話してもらってもいいか?」
「はい、分かりました」
椎葉はそう返事をして話を始める。
「実は私、家出してきたんです!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます