第2話 尻尾はやめて

神社の奥にある竹林の奥では、撫子がお札を片手に巨大な10メートルはあろう百足の妖怪投げた霊符で作った式神を百足の足元投げ激しい攻防をしていた。

きいいいいー!!

百足は奇妙な唸り声を上げると、口から毒液を放つ。

撫子は交わすが、その毒液から小さな無数の百足がうじゃうじゃ湧いて出てきた。

これは気持ち悪い…

「悪霊退散!」

撫子は周りにいる小さな百足に無数の札を投げる百足達は青い炎に包まれ消滅した。

撫子は青白い炎を霊符に纏わせて百足の口に放つと爆発した。

巨大な百足妖怪は怒り狂い撫子に突進してくる。それもかなり早い!

「なんてスピードなの!あの体格で」

百足妖怪は見た目に反してかなり速く口から猛毒を吐き出す。

撫子は何とかかわし続けるが、倒した百足の死骸に足を滑らせてしまう。

「っ!しまった!」

撫子は膝をつく。

撫子は体を転がして交わしたが…

その時毒液を少し右足に浴びた。

「あぁぁぁぁっ!!」

撫子の右足に激しい痛みと暑さを感じ叫ぶ。

撫子は痛みのせいで立ち上がれない、百足妖怪は再び口から毒液を吐き出す。

毒液は撫子の体上に覆いかぶさるように向かってくる。

駄目だ逃げられない!

「くっ!」

撫子が目を瞑ると…

「撫子ーー!」

玉緒が声を上げて体を滑らせて間一髪のところで撫子を助けだし、そのまま撫子をお姫様抱っこして玉緒は百足妖怪から離れ竹林から出た。

「た、玉緒くんっ!」

「撫子大丈夫か?」

「う、うん…」

「何だ?あのデカイ百足は?」

いくら妖怪が紛れて生活してるとは言えあんなデカイのは見た事ない。

「アレは妖魔です…」

「妖魔?妖怪じゃないのか?」

「アレは邪気に飲まれ悪霊とかした妖怪です…」

つまり悪い妖怪??何がなんだか…

撫子の話では邪気とは淀んだ感情が妖力に混ざり生まれる黒い感情の結晶。

それに飲まれた妖怪は禍々しい力に支配され

自我を失いただの殺戮の妖と化す。

これを妖魔という。

「最近になって妖魔化する妖怪が跡を絶たずに現れて、私達、霊能力者がああやって退治して魂を返してるの」

ここ最近一気に現れた??

何がどうなってるんだよ?

ウガァァァー

百足妖怪は唸り声を上げながら竹藪から現れた。

「大変、このままじゃ!っ!」

撫子は毒液にやられた足を引きずって百足妖怪の元へ向かう。

「馬鹿!そんな足じゃ無理だ!」

「でもこのままじゃ、鳥居の結界がもたないよ!アレが街へ行ったら!」

夏目神社の鳥居には結界が貼ってあるため、外からは百足妖怪は感知はされないが、外に出たら話は別だ!

「私が…やらないと…」

痛みに耐え必至に歩くがよろめいてしまう。

玉緒は撫子を助け離れの縁側に座らせた。

「ちょ!玉緒くん?」

「優しいんだな撫子はでも休んでろ」

玉緒は撫百足妖怪の元へ向かう。

「玉緒くん!逃げて下さい!あんな化け物妖怪に人は太刀打ちできませんっ!」

「だったら大丈夫だな」

玉緒は意識を集中する。

正直自分の意思で妖力を引き出すのは初めてだ。

あーあーまた嫌われんな…

玉緒は君悪がられんの覚悟で九尾の力を使う。

玉緒の体から金色の妖力が溢れ出す、すると金毛の耳と尻尾が現れる。

玉緒が瞼を開くと瞳は血のように赤い。

「た、玉緒くん…」

「撫子…俺、気持ち悪いだろ、でも少し我慢してな」

玉緒はそう言うと巨大百足に突っ込む。

「デカイばかりの虫が!狐を舐めんじゃねぇ!」

玉緒は両手から青白い狐火を作り出し放つ。

百足妖怪の体が燃える。

苦しそうに百足はもがき初めた。

「妖術 狐火煉獄玉!」

玉緒は止めに巨大な狐火を百足妖怪にブチかまし百足妖怪は苦しみ踠き生き絶え灰になり消えた。

「た、玉緒く…ん」

撫子の目に映るのは狐の化けた姿そのだった、耳と尻尾が生えているのだから。

「奇妙が悪いよな…こんな姿…」

玉緒はまた嫌われるのが正直怖かった。

いくらもう奇妙悪がられるのには慣れっことは言え。

玉緒は何も言わずにその場を離れようとした時…

モフッ

「!?」

玉緒の尻尾が鳥肌を立てた。

「モフモフ~~」

撫子がハートマークになった目で玉緒の金色の尻尾にしがみ付いていた。

「ちょっ!撫子!」

「モフモフ~」

駄目だ目がハートになってる!

「うわっ!すりつくなっ!撫子止めろっ!」

玉緒は尻尾に触れるのが実は大っ嫌いだった。

何か恐ろしくこそばゆくてかなわないから触れるのが嫌でしょうがなかった。

だから変化したくなかったんだよーつか触んなー!!

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