第3話 これは絶対モフモフのせいだ!

「ごめんなさい…」

「たく…」

玉緒はやっとの思いで尻尾から撫子をひっぺがした。

変化を解こうにも撫子がすごい力で尻尾から離れないせいで変化を解くことが出来なかったのだ。

「私フサフサな物に目がなくて」

撫子は赤くなる。

撫子は玉緒の尻尾が余程気に入ったのか何やらへんな手つきのままそう言う。

「セリフと動きが全く噛み合ってないぞ…」

たく尻尾だけは触られたくないのにな…

「玉緒くん!もう一度尻尾をモフモフ〜」

「撫子しっかりしろ!」

玉緒は引きながらもそう言う。

「あははは~狐を受け入れる物好きがまだこの世にいたのね~」

「か、母さんっ!」

「お母さんってお稲荷様!?」

「九尾だよ、まあ似たようなもんだ」

あれ?そうだっけ??

まあいいや面倒い…

玉藻前が上からフワフワと降りてきた。

「母さんずっと見てたろっ!」

「あらわかる~」

玉藻前は悪戯っぽくそう言った。

「これが玉緒くんのお母さん」

撫子は初めて見る九尾を見て怖いほど綺麗な金色の九本の尻尾と髪そしてナイスバデーと思った。

最後の気持ちは秘密だよ~~(赤面)

玉藻前は撫子に近づく。

「始めまして玉緒の母の白面金毛玉藻前 九尾の妖狐事玉さんよ」

「は、はいっ!私は夏目撫子です!」

撫子は緊張の余り声が引きつる。

「ねぇあなた、私の孫産みなさいよ~」

「ッッッ!?」

撫子は声にならない声を叫び。

「このっ!淫欲狐っ!何言ってるんだ!いでっ」

玉藻前はキセルで玉緒の顔をぶっ叩いた。

玉緒の頭からデカイタンコブが…

はじめてみたよ〜九尾って怖いな…と撫子は思った。

「母親に向かってなんですって…」

「はっ!はいっ!」

玉緒はこの人が恐ろしい大妖怪とすっかり忘れていた、怒らせると街一つ吹っ飛ばしかねない…

「お母上様ごめんない…」

「よろしい」

玉藻前は和かに笑う。

玉藻前は一瞬消えた。

あれ?消えた。

ムニュムニュ!

「うわーー!」

撫子は玉藻前に豪快に胸を揉まれている。

「うん!これなら赤ちゃんも満足ね!お尻も大きいし!合格!」

「や、やめてくださーい!玉緒くんもみないで!」

撫子は玉緒に怒鳴り上げ霊符を放つ。

「あたっ!」

霊符は爆破し玉緒は軽く吹っ飛んだ。

危ないなオイ!

シクシク…もうお嫁に行けない…あんなに胸を弄られて男の子の前なのに…

撫子は泣きじゃくる。

「大丈夫、減りゃしないから!ウチの息子が嫁に貰うから大丈夫よ〜」

「そう言う問題じゃねえよっ!」

玉緒は母に声を上げた。

「もう…」

撫子は巫女服を着直す。

「夏目さん」

「はい」

「こんな馬鹿息子だけどこれからも仲良くしてやって下さい」

玉藻前は頭を下げた。

「はい!」

「後、下着はもっとセクシーにしないとね〜」

「なっ!」

撫子は真っ赤になった。

いつ下着見たのあのお稲荷様は!?

だからお稲荷様じゃないって…

玉藻前はそう言うと消えた。


「ごめんな、うちのお袋あんな人だから」

「う、ううん!ビックリしたけどすっごい綺麗な人だったよ」

「千歳超えてるけどな…」

玉藻前は千年以上前から生きている九尾の狐だ、人間なんか比じゃないくらい長生きだ。

「千歳以上っ!玉緒くんもまさか…」

「俺は十五だ!」

玉緒は玉藻前が1000年越しに産んだ子供な為年齢はちゃんと十五だ。

何で千年越しに産んだんだろう?

それとも冗談なのかまるでわからない。

「妖怪って何でもありだね」

「まったくだ」

「あ、あのね玉緒くん…」

「ん?」

撫子は何か顔が赤くなっている。

「玉藻前さんが言ってた事なんだけど…」

「あんなの戯言だよ~全くうちの親は…」

「玉緒くん!」

「は、はい!」

突然声を上げる撫子。

「私は妖怪から助けてくれた貴方を素敵と思いました…貴方が狐でも構いません…私…」

あれ?あれ?私何を言ってんの?

ドキドキするし、何よりこの人が凄くカッコよく見えて玉藻前さんの言ってた事が本当になっても構わないと思う…初めて…こんなの

撫子は初めて恋と言うのを知った瞬間だった。

キッカケなんか何でもいいのだ、誰かを好きになるなんて。

だから…私…

撫子がゆでダコの様になり次の瞬間。

「 私にあのフサフサ尻尾をモフモフさせて下さいっ!」

「え??」

(言い間違えた~~~っ!)

玉藻前の尻尾もフカフカそうと考えたら混ざってしまった…

撫子は涙目になり叫びながら走り出し逃げてしまった。

「うわーん」

「???」

玉緒は訳も分からず取り残されてしまった。


撫子は本当は結婚前提でお付き合いして下さいと言おうとした事を玉緒は知る由もなかった。


今はまだ…


「アレが九尾の息子か、まあ、オモチャには変わりないしいいか」

鳥居の上に居た謎の存在が見ていた事もまだ、知る由もなかった…

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