151話 一人ぼっちは寂しいじゃんか
ヨロイグサ。
図鑑にも載っておらず、落ちている硬度の高い物質を身に纏う特徴から、俺達がそう呼んでいた植物。
この星に大量に出現した植物達の内の1つで、炎を出す黒い機械との戦闘後に、独自の進化を遂げた種類だ。
火炎放射器を積んだ黒い機械が炎上させた場所でのみ出現し、熱に抵抗するために遂げた進化だと思っていたが……。
付近に何かが燃えた跡もないところからすると、熱がない場所でも出現するのか……?
「草にまで名前を付けるなんて、ずいぶん面倒な事してたんだな、お前たちは……。それはそうと、このモノリスも出現する時に熱が必要なんだろ? 誰かが持って来たわけでもなさそうだし、ここで焚火をしてたようにも見えねえし……なんなんだろうな?」
「そうなんだよ。ちゃんと地面に根も張ってるし、移動するってわけでもなさそうだし」
「お前が話した黒い機械が言うには、モノリスの元は粉末なんだよな? その粉末が熱を持ったまま爆発でここまで飛んできて実体化した……とか?」
「……なるほど、それは十分にあり得るな。というより、そう仮定しないと色々と納得いかない点が多い」
モノリスが施設の爆発に乗じて瞬時に実体化した場合、重量を考えるとそれほど遠くまでは拡散しないだろう。
それこそ、今俺達がいる場所から炎上した施設が見えるくらいでないとおかしい。
それに、こんな火のないところで実体化しても、ヨロイグサ特有の鎧が全く意味をなさない。
つまるところ、粉末の状態では実体化する意思がないか、場所を選べないか。
いや、選ぶ必要がない……というのもあるかもしれない。
「んで、この草のモノリスはどうすんだ? 引っこ抜いてカプセルに戻す方法を探ってみるか?」
動物型でないと手厳しいなおい。
まぁ、もともとラズは植物にはあまり興味を示してなかったからな。
N2なら時間そっちのけで調べ尽くすだろうから、今はあいつが起きてなくてよかったかもな。
パグのレベルアップ関連の実績解除も別個体の視認くらいだし、ヨロイグサの処遇を今すぐどうこうする必要もないか。
「調べたいことは他にもあるが……運ぶ手間もあるし、今は放っておこう」
「そうだな。ん~ピノが起きてりゃ話せたのかもな」
「お、珍しいな、ラズも植物が何考えてるのか気になるのか」
「気になるっつうか……まぁ否定はしねぇけどよ……。動物のモノリスも、草のモノリスも、元は同じ粉末なんだろ? もしかしたら、話せたのかもしんねえのにさ。こんな状況の星で、ここにそのまま置いていくのは……なんだかな。一人ぼっちは、寂しいじゃんか」
アタシも、お前やN2達と会ってなかったら、今頃どうなってたか分かったもんじゃないからな、と。
少し
「大丈夫だよ、そのうちきっとスヴァローグが回収しにきてくれるさ」
言いながら、もし俺達を頼りにするモノリスがいたら、少しくらい助けてやろうと思うのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます