80話 かわりばんこ

「よし、とりあえずレイの肩という特等席を代わってもらおうか、ピノ! 案内はそれからだ!」


 N2がビシッと腕で指し示し、ピノに向けて言い放つ。


「ななななんでですか、反対側が空いてるでしょう!」


「君は私が拠点を作ってる間もずっとレイにくっ付いていたではないか! 寝たふりをしてレイの手のひらにもずっと居たし! 私なら恥ずかしくてそんな稚拙な真似は出来ないけどね!」


「レイ様がいいと言ったからいいんです! それにピノはもう我慢しないって決めました!」


 ピノはそう言いながら、俺の首を両手ではしっと掴んできた。

 というか寝たふりだったのか?


「ちょおお! それはずるいを通り越しているぞ! レイからも何か言ってくれ! ピノの体は私よりも重くて正直疲れると!」


「適当な事言わないでください! 体重何てそんなに変わらないでしょう! それを言うならあなたの方が以前よりも重くなってるんじゃないですか? どうやったか知りませんが前の金属片ばかりの体ではなく、ずいぶん立派な体に変わってるじゃないですか! お腹のおっきな傷はヘンテコですけどね!」


「ふふん、この体はレイが作ってくれたのだぞ!」


 話を挿げ替えるなN2。

 その言い方だと、俺が傷をあえて作ったみたいじゃねえか。


「え!? 作れる何て聞いたこと……。 ということは、その傷もレイ様が……? ……なるほど! どうりで素敵だなと思いましたよ!」


 ほらそうなる……。

 ここまできれいな手のひら返し見たことないぞ。





「やっぱり今のうちに話しておくか。ピノも大丈夫そうだしな」


 ひとまず手前の横穴に入り、ピノに今までの経緯を話した。


 ピノが眠っていた原因。

 N2の体の変化について。

 赤いロボットのこと。

 それに、新しく出てきた黒いロボットのこと。

 それらをピノに順を追って説明した。

 サイバイアリモドキの件についても話したが、眠っている間も何となく分かっていたらしく、特に驚く様子はなかった。


「スヴァローグ……ですか。あの時のことはほんの少しだけ覚えています。シェルターの入り口が焼かれて、黒いロボット……スヴァローグが入ってきて……目にしたのは一瞬でしたが、彼はなんというか、とても不安定な様子でした」


「不安定……?」


「私が外で戦っていた時も、どこか戸惑いながら戦っていたようだった」


「そうなのか……。確かに目的があやふやだった気がするな。他の黒の機械達がピノやN2、それに赤いロボットを狙っていたのに対して、スヴァローグの狙いは多分俺だったし」


「昨日遭遇したという黒いロボットも気になりますね。N2と赤いロボットが協力しても倒せないとなると……」


「そうなんだ。もうレイを危険に晒さないためにも、私達はもっと強くならなくちゃいけない」


 こいつらに任せっきりってのも正直どうかと思うが、これまでの戦いを見せられてはどうにもな……。

 俺も一緒に戦えるようになるのが一番いいんだが……。



「少し私に考えがあるんだ。ただ、レイも疲れているだろうし、一度休むことにしよう。ミニN2達に地上の物資は運ばせるから、レイは休んでて! 一番奥がレイの部屋だから、そこにベットを運ぼう」


「では、ピノもご一緒しますね」


「君はこっちだよッ! やることがまだたくさんあるんだ!」


 N2にずるずると引きずられていくピノ。

 珍しくN2が先導しているし、意外といいコンビなのかも?




―――――――――――――――――――――――――

こういうの延々と書いてられそう……。

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