69話 インサイド・コンプレックス

 黒々としたボディに、周囲の炎をゆらゆらと煌めかせながらそいつは現れた。

 見た目はスヴァローグと似ているが、頭の形状が少し違っている。

 声は若干違うが、スヴァローグより話し方が流暢だ。


「お前達はどうして俺達を襲うんだ!?」


「ウーン、目的ハ皆様々デスガ、共通シテイル事ハ人間ノ行動ヘノ興味……デスカネ。私ノ場合、優先度ハ人間ヘノ興味ヨリモ、”アーティファクト達”ヲ”箱”へ仕舞ウ事ノ方ガ上デスガ」


 人間の行動への興味……だと?

 それにアーティファクト達を箱へしまう……と言ったか?

 何を言ってるんだこいつは……。


「モット話シテイタイノデスガ、貴方ハ度ヲ越エテシマイマシタ。呼ビ寄セテオイテ申シ訳ナイノデスガ、貴方ヲコノ星カラ出ス事ハ出来マセン」


「呼び寄せて……って、おい、どういうことだよ!」


「最後ニ、ドンナ死ニ方ヲ選ブノカ、私ニ見セテ下サイ……!」


 そう言うと、小さな黒いロボットは左手のバレルをこちらに向けた。

 まずい、何か来る……!

 咄嗟に回避行動を取る……が、それよりも早く、視界から消えていた赤いロボットが現れ、その勢いに任せて黒いロボットを殴り飛ばした。

飛ばされた勢いで、黒いロボットは葉や枝にぶつかりながらジャングルの奥へ消えていく。


「おい人間! お前の魂胆は知らねぇが、ここはひとまず共闘と行こうじゃねぇか!」


 赤いロボットは、ヤツを殴り飛ばした方向を見据え、背中を向けながら話す。



「差しでやりあったら、あいつは最強だ……。まず勝てねぇ……。腕に変なもん纏ってる時は防がれて攻撃が効かねえし、技もパクりやがる……。しかもどういう訳か知らねぇが、一度パクった技には耐性が付いて、ほとんど効かねえ……。さっきはあいつがお前に腕を向けてたから攻撃出来たが、不意を突かねぇと攻撃も防がれる」


 なるほど……それで防戦一方だったわけか……。


「そこでだ。次はアタシがあいつの気を引く。そうしたらその白いのと協力してあいつに攻撃をぶち込め。そいつの技はまだあいつにパクられてねぇから、ドデカいのをぶち込みゃ、ちっとは効くはずだ」


「わかった、それで行こう」


「ふん。やり方は任せる。あいつの攻撃自体は弱いが、アタシもそう何べんも食らってられねぇ。この作戦はその白いのにかかってる。まずはそいつをど突いてでもヤル気にさせるこったな……!」


 赤いロボットはそう言うと、傷付いた動物たちを木陰に隠し、黒い機械が飛んで行った方へ向かっていった。


 問題はさっきから一言も喋らないN2だ……。

 このまま戦っても連携なんて取れないだろう……。

 こいつの心情は俺が思っている以上に複雑なのかもしれない。

 いや……多分そうだ。

 N2が何を思って泣いたのかは分からないが、少なくとも俺が知るロボットにそんな感情を持っている者なんていなかった。

 もうこいつがロボットだという概念を捨てて、対等な存在として話す必要がある。

 その上で、N2のやる気を出させるにはどうすればいいか……。


「N2、いいか、よく聞いてくれ……」

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