63話 鉄血機械は聞き分けない
耳を劈くような怒鳴り声の後、樹上から猿達を大勢引き連れて、小さな赤いロボットが現れた。
降りてきた猿だけでも10…20…樹上にもまだいる……。
いったい今までどこに潜んでたんだ……。
「こいつらが侵入者だと騒ぐから来てみりゃ、アタシの一番嫌いな人間が居やがるじゃねぇか。おい、何ぼーっと突っ立ってんだコラ。さっさとその手に掴んだ鳥を離せ!」
小さな赤いロボットは捲し立てるように言葉を続ける。
いきなり襲ってこないところを見ると、黒い生命体の仲間ではないんだろうが……。
しかものっけからめちゃめちゃ怒ってるし、なんか分からんけど嫌われてるし……。
猿達も手は出してこないが、キーキーと激しく喚いている。
控えめに言って歓迎はされてないな。
「お前いい加減にしろよ? そんな風に持つから、そいつもぐったりしちまってるじゃねぇか!」
「違うんだ……待て、落ち着け! この鳥はもう、ぐったりとかじゃなくてだな!」
「ポックリだな!」
「N2お前、余計なことを……!」
まずい、まずいぞ……!
「……そいつ……死んでんのか? ………………おめぇが、やったのか?」
「待て、話を聞け! この鳥は自分から地面に首を突っ込んで、溺れて死んだんだ!」
嘘偽りのない真実を語るが、死に方が情けなさ過ぎて作り話にしか聞こえない。
「んなわけあるかぁ!」
はは、まぁそうなるよな……。
「人間はいつだって自分勝手で、他の命を玩具のように弄ぶんだ! 気に入らねぇ、気に入らねぇ、気に入らねぇ!」
小さな赤いロボットの体がバチバチと電気を帯び始め、周囲の猿達のボルテージが上がっていく。
赤いロボットに同調するように、猿達の目が赤くなり地上にいた何匹かが俺に攻撃を加えんと跳躍した。
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