27話 いも と おはなし


「ピノは、植物と仲良く出来ます」


 俺とN2を交互に見ながら、ピノはそう言った。

 声の抑揚からして、どうやら冗談ではないらしい。

 さて、何からつっこもうか。


「仲良く? 羨ましい!」


「いや、そこじゃねえだろ! あのドーム、お前が作ったのか?」


「正確には、呼びかけただけなのですが……。誰かに見付けてほしいというピノのイメージを、植物と共有しました」


 コアだけの状態でも、周囲の雰囲気は何となく分かっていたらしく、事の経緯を説明してくれた。


 ピノはあの部屋に長らく閉じ込められていたこと。

 ある時、部屋に植物の根が入り込み、植物が外の状態を教えてくれたこと。

 助けが来たと思ったピノは、地上の植物に目印を作ってほしいと頼んだこと。


「ですので、植物達がどういったものを目印として作ったかは分かりませんでしたが、結果としてレイ様に助けていただけました」


「なるほどな。漠然とではあるが、とりあえず納得しておこう」



 N2といい、ピノといい、俺の知らない技術ばかりが詰め込まれている。

 植物を意図的に操れるなんて、聞いたこともないぞ。


「仲良くってなぁに?」


「あぁそれ、俺も気になった」


「んー、例えばですね……」


 ピノはそう言いながら、船内の芋に目を付けた。

 そして、ぴょこんと生えた芽の部分に触れて、


「この子は、固い土に埋まっていたところを、N2に助けられたと言っています」


 当たってる。

 てか困ってたのかよ。

 引きちぎって来て正解だったのか。


「お話出来るの!?」


「えぇ、まぁ。それと、レイ様に植え替えてもらい、水をくれたことにとても感謝していますよ」


 やめろよ。

 食べ辛いだろうが。


「あと、変なものを入れるのはやめてほしいとも言っています」


「あ」


 多分N2が入れたチップスのことだろうな。

 油とかがよくないのかな。



「いや、すげぇな。出来るもんなのか、そんなことが」


 植物の気持ちが読めることを、素直に褒める。

 赤くなりながら、無駄に芋の芽を撫でるピノ。

 可愛い。



「いいなー。私もイモになりたい」


 ピノは芋じゃないし、そもそもお前芋になりたかったのかよ。


「なれますよ、きっと」


 照れて返しが適当になってるぞ、ピノ。

 なれないぞ、絶対。


 ダメだ、どうしてもツッコミ癖が。

 N2のツッコミだけでもお腹いっぱいなのに、ピノもとなると……。

 まぁいいか。

 可愛いは正義だ。

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