第18章

光を持つ者を見つけろ光を持つ者を見つけろ


光を持つ者を見つけろ光を持つ者を見つけろ


光を持つ者を見つけろ光を持つ者を見つけろ・・・・・・・それがお前の使命だ




すでに夏休みも中盤になりつつある。


そんなほとんど誰もいない校内に一人の女教師がいた。松田玲子教諭だ。




松田玲子は校舎の中を彷徨うように


校内を歩いていた。目の焦点は合ってない。




光を持つ者を見つけろ光を持つ者を見つけろ


光を持つ者を見つけろ光を持つ者を見つけろ


光を持つ者を見つけろ光を持つ者を見つけろ




2017年8月14日AM6:04その時はまじかに迫っているのだ。




光を持つ者を見つけろ光を持つ者を見つけろ


光を持つ者を見つけろ光を持つ者を見つけろ


光を持つ者を見つけろ光を持つ者を見つけろ・・・






江野のYZF-R1は東名高速道路を南東に向けて飛ばしていた。


時速は180キロを超えた。走っているほかの車が停まって見える。


江野の黒いレザージャケットが風にたなびく。


目標としているのは豊川市だ。江野の全身に黒いオーラが立ちのぼる。




ハルマゲドンは近い・・・・・・絶対に、大天使の思い通りにはさせない―――。




8月14日まで後3日・・・・・・。






夏休みに入っても、林田郁美は新聞部の部室に入り浸って、


学内新聞の編集をしていた。


たとえ夏休みでも、月間の学内新聞の発行をしないわけにはいかない。


1通1通封筒に入れて、全生徒に郵送で送るのだ。




林田郁美のそばには、速見藤吾と浅川国一の姿もあった。




「郁美もマジメだよなあ。ほかの女子部員は二人とも来てないんだろ?


 郁美だけやることないじゃん」速見は記事を切り張りしながら言う。




「私が来なかったら、新聞は誰が作るの?しかたないでしょ」




それを見て、浅川もおかしそうに笑った。


「いいじゃん、速見。けっこう楽しいぜ、これ」




その時、ふいに新聞部の扉が開いた。


3人ともギョッとしてそちらに視線を向ける。




そこには松田玲子教諭が立っていた。




「松田先生?どうしたんですか?当直か何か・・・」


郁美の言葉が終わらぬうちに、松田玲子が口を開いた。




「みい~つけた」




松田玲子の両目は焦点が合っていない。


それはどこか夢見るような、うつろなものだった。


それに表情も異様だ。いつもおしゃれで、


身だしなみはきちんとしている松田とは思えないのだ。


それはだらしなく口元から垂れている涎が物語っていた。




「林田郁美さん、天宮先生がお呼びよ。いらっしゃい」




松田玲子の異常さに気づいた速見が彼女に抗った。




「何ですか?天宮先生が郁美に用って?」




「邪魔」


松田玲子は速見を人払いのように手を振る。


その何気ない動きだけで、速見は部室の壁に叩きつけられた。


幾枚もの紙や雑誌が舞う。




速見は気を失っていた。


呆然とする郁美の手首を松田玲子が掴む。




「放してください!松田先生」


必死に抵抗する郁美。その様子を見て、目をつぶって浅川が突進する。


松田玲子に体当たりするつもりだ。


浅川が松田玲子にの体に寸前まで距離を縮めた時、


松田の蹴りが浅川の腹部を捉える。


ハイヒールのつま先が浅川の腹にめりこんだ。




「ぐうッ」浅川はもんどりうって、失神した。




郁美は怯えすくんだ。松田玲子に抵抗する気も失せてしまった。


郁美は目に涙をためながらも松田に従う他なかった・・・・・・

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