第14話
『今日時間大丈夫?』
そう御堂君から連絡がきたのは、刑事さんが来てから2日後だった。
私は桐谷に連絡をいれると光の速さで返信がきた。
時間と待ち合わせ場所を決め、すぐに会うことに。
待ち合わせ場所は生原君とも話したカフェ。
私達が行く頃には御堂君の姿はあった。
「やっぱり。
早めに来ると思ってたよ」
「まだ1時間前だよ?」
「なんとなく早く来そうだな、って思ってたからね。
それで.......隣の方は?」
「あ、彼は.......」
「こんにちは、桐谷漸です。
君のことは神崎ちゃんから話は聞いてるよ」
「話って.......。
そんな大して話すことないだろ?」
御堂君はクスクスと笑った。
なんとなく感じる2人の似た雰囲気。
だから桐谷にちょっとした安心感を抱くのかな、なんて心の中でつぶやく。
「話は大方和人のことだろ?」
「うん、よくわかったね」
「まあね。
あんなことがあって学校辞めたのかと思ったけど、違うみたいで安心した。
すごい決断力だとは思うけど」
「あー、学校辞めたのは.......」
ぎこちなく笑う私をカバーするかのように桐谷が相変わらずの笑顔と強引さで話を進める。
「まあそんな話は置いといて彼の話を聞かせて欲しいな。
御堂君は幼馴染みだったんだよね?」
「はい。
小学校からずっと同じで。
まあエスカレーター式なんで当たり前といえば当たり前かもしれませんが」
「エスカレーター式?
あの大学って違うよね?」
「はい。
僕は医学部の中でも最新技術を扱う大学に行きたくて。
和人は違う学部でしたけど、同じ様な理由で」
「なるほどねー.......。
2人とも努力家さんなんだね」
「桐谷さんはもう就職なさっているんですか?
それとも学生さんですか?」
そういえば直接聞いたことがなかった。
お金目当てで人を殺しているとは思えないし。
あんなポリシーがある、なんて言っていたぐらいだ。
そんな簡単な理由ではないだろう。
一体桐谷がなんて返すのかと少しドキドキする。
視線を桐谷に向ければ相変わらずニコニコと笑っていた。
「んー、自営業かな?」
「へぇー、すごいですね。
まだ若いのに経営なんて.......」
「そんな大したことじゃないよー。
僕からしたらお医者さん目指す方がすごいと思うよ」
「そんな、自営業している方から褒めていただけるなんて光栄です」
自営業.......か。
桐谷の言うことだから嘘の可能性は9割ぐらいあるけど。
殺人犯ってバレないようにちゃんと色々な設定を考えているだろうし。
「そうだ、御堂君って彼と神崎ちゃんが付き合い始めたぐらいから知ってるの?」
「そうですね。
和人の相談にものっていましたし、あのときはクラスも同じでしたから」
「へぇー.......。
じゃ、そのときの神崎ちゃんってさ。
どんな感じだった?」
「ちょっと!
そんなこと関係ないでしょ!?」
「えぇー、せっかくの機会だからいいじゃーん。
時間はまだまだあるんだしさ」
ニヤニヤと笑いながら言う桐谷に私は睨みつけた。
その様子を見ていた御堂君は少し吹き出して笑った。
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