第13話
「うーん、あまり良い情報なかったね。
まあとりあえず佐野昴って人に連絡を……」
「そんなことより桐谷、もう少し言い方どうにかならないの?」
「えー、何が?」
相変わらずヘラヘラと笑いながら言う桐谷にため息をつきながら私は口を開いた。
「最後の方、完全に萎縮しちゃってたじゃん。
せっかく協力してもらってるのに」
「いやー、次に繋がる手がかりぐらいは置いてってもらわないと話した意味がなくなるからさ」
「それは確かにそうだけど……」
「でしょ?
まあとりあえず今日は解散にしようか。
きっと神崎ちゃんのとこにもそろそろ来るだろうしね」
「え?」
「警察だよ、警察」
「あー……」
犯人を見つけることで精一杯だったけど、警察という味方もいるのか。
彼女ってことで疑われるだろうが、それは仕方ない。
桐谷と別れ、アパートに向かえばスーツ姿の男性が2人扉の前に立っていた。
さっき話したばかりなだけあって、なんとなく警察だとわかった。
「神崎咲さんですか?」
「はい」
「少しお話よろしいですか?」
刑事ドラマによくあるようなシーン。
私は頷き、部屋に招き入れた。
彼女であることを確認され、怪しいことがなかったか、思い当たる人物などを聞かれる。
もちろん、早く犯人を見つけるためにも私は正直に答えた。
「最後に……。
これは九条和人さんのものでしょうか?」
そう言って見せられたのは携帯電話。
画面はバリバリに割れていてその隙間には泥のようなものがついている。
もちろんこんなバリバリではなかったが、同じカバーであることから和人のものだと認知できた。
「このケースは和人のものです。
私がプレゼントしたものなので間違えてることはないと思います」
「なるほど.......」
「実はこれ、あの現場のすぐ近くにある溝渠の中に落ちていたものです」
「溝渠の中に.......」
普段から和人はスマホをいじるタイプだったからどこかに落としていても不思議ではない。
軽くスマホに依存しているレベルだった。
そのおかげなのか返信も早かったし、連絡が遅くて喧嘩.......なんてことも起きたことがない。
でも、もしかしたら歩きながらスマホをいじっていたことによって隙ができて殺された.......なんて考えたら嫌で仕方がなかった。
「ご覧の通り、傷も大きい上に溝渠に落ちたことによる水没.......。
データが復元できる可能性は限りなく少ないかと」
「そうですか.......」
「すいません、もしまた何か思い出したことがあったら教えてください。
一刻も早く九条さんを殺した犯人を見つけるために」
「.......よろしくお願いします」
2人の刑事さんは私に軽く頭を下げると、帰っていった。
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