第79話 朝寝の夢

 夢だとはわかっているのに、つい信じてしまった。『ドカベン』『あぶさん』『野球狂の詩』で野村克也氏、ノムさんの死を伝えている。三者三様にね。ノムさんといえば、南海ホークスであり、南海ホークスといえば、水島新司先生しかいない。ノムさんもサッチーに先立たれて随分と経つ。男は奥さんに先立たれると三年で死ぬっていうもんね。元々はホークス後援会会長の娘と結婚し、子も儲けながら不倫に走り、サッチーが球団経営に口出しをして来たことから、ホークスの御大にしてノムさんの恩人である鶴岡一人とまで喧嘩別れし、監督を辞任。カネやんのロッテオリオンズに拾われるも、しっくり行かず(カネやんは本当はノムさんじゃなくて、江夏や柏原が欲しかったのだ)、両雄並び立たず。一年でオリオンズをクビになり、埼玉の新生、西武ライオンズに入り、リード面では教師となるが、いかんせん体力が残ってなかったため引退。


 解説者時代のノムさんを知っている人は少ないでしょう。おいらの実父が当時、『週刊朝日』を購読していたので、ああ、『アサヒ芸能』じゃないからね。進む道が変わってしまうわ。とにかく『週刊朝日』にノムさんは連載を持っていて、フムフムとうなずいたり、「正直、よくわからん」ということもあった。要はねえ、前に言った、ブレイザー仕込みの『シンキングベースボール』と独自の『野村野球』ああID野球って言ってましたね。データを重視する、企業なら当たり前の野球を説いたんですわ。TVではテレ朝で『野村スコープ』とかいう画面が観づらいものを作っていましたね。あれ、各局挑戦するけど、長続きしないね。みんな観辛いんだな。


 たぶん、ノムさんは監督に復帰する気持ちはあまり強くなかったんじゃないかなあ。心臓が悪かったらしいし、少年野球の運営がうまく入っていたからね。

 にも関わらず、成績不振で関根潤三を更迭したヤクルトスワローズは野村克也に白羽の矢を立てる。テレビ朝日専属、すなわち朝日新聞系列の人間をヤクルトスワローズ、つまりは産経新聞系列に引っ張ってくるのは、いまも昔も掟破りであり、経済界では様々な動きがあり、カネが舞い飛んだことでしょう。おいらには一銭も入ってこなかったがね。

 初年度、野村スワローズは五位だったけれど、奇跡が起きる。選手たちと動き回ったせいで、持病の心臓が良くなったのだ。

 以後のスワローズの躍進はいうまでもないでしょう。ノムさんはその後、スワローズ辞任直後にタイガース入りして、二年連続最下位。続投の意思はあったのに、サッチーの経歴詐称で辞任。でも、ノムさんが土壌を作っていたので、後任の星野仙一がすぐに優勝するというラッキー。

 プロに無視されたノムさんは社会人野球のシダックスの監督だか総監督になたのかな? たぶん、アマチュア資格復帰の講座なんて受けていないだろうから、ベンチには入ってないという推測。そして、最後はイーグルスだ。ここでの功績はマー君をきちんと育てられたことに尽きるね。

 まあ、正直いうとおいらはノムさんが嫌いなんだけど、その嫌いの元だったサッチーがさあ、あっさり亡くなっちゃって、かわいそうだったな。野球しかできない男。もう少し、野球の話をしてください。特に、昔の荒くれぞろいのパ・リーグをね。

 

 目が覚めたら、モンキー・パンチ氏が亡くなっていた。びっくり。


 では。

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