第63話 村上春樹になれなくて

 やあ、おいらです。


 朝五時半に燃えるゴミを捨てに行って、あまりの寒さにお布団に戻ったら、十二時半まで起きられませんでした。


 えー、他人の夢ほどつまらない話はないというので、たっぷり、おいらの覚めたての夢を語りますよ〜。

 場所はけっこうな観光ホテル。おいらは元の字がつく前の元妻と和室に泊まっていたの。ところが隣になぜか、トレッサ時代のクソガキ、頭悪いくせに賢そうなふりしてて、融通って言葉を知らない男。しかも、武道がとても強くて、喧嘩したら殺されるかもしれない危険なやつ(実際にはおいら得意の精神戦で、周りを味方につけて孤立させてやったんだけどね)。なぜかそいつが泊まっていて、元妻に金を借りたり、お茶とかなんちゃらとかを借りにくる。だからおいらが応対して「断る!」ってきっぱり言ったんだ。そしたら、そいつは狂って炎上しちゃって、おいらたちの部屋に不法侵入。さらに、なぜか(夢だからだよ!)不良外国人の取り巻きが四人いて、中には元マリーンズの選手だっていう黒人のでっかいやつもいる。こいつはピンチだ! と思ったら、やつが弱い……あまりにも弱い。おいら、あっさり肩を決めちゃって、周りの宿泊客の助けもあって、簡単に警察に引き渡した。でも、相手が元マリーンズの黒人選手(架空というか夢です。人種差別の気持ちは全くありません)がでかくて怖いの。もしこいつが相手だったら即死だったな。ブルブル。さらに不安は尽きないのよ。おいらとしたら、粘着質のやつだから絶対に復讐してくるよなと暗澹たる気持ちになっていました。ただの夢なのに……


 昨晩は『悪の権化 よろしくま・ぺこり』第40話を公開したところ、嬉しい、応援メッセージを頂きまして、とても良い気分ですわ。やつの悪夢も吹っ飛んだよ。この回のサブ主人公は『ぼく』という高知能、高スペックを有したウミガメなんですけど、語り口が村上春樹風なんではと思っています。おいら、村上春樹さんの小説、読んだことないんすけど……


 村上さんは神宮球場のスワローズ対カープの試合を当時は芝生だった外野で寝転びながら、ビール片手に観戦していて、一回の裏にヒルトンがツーベースを打った瞬間、小説を書くことを思い立ったと言っています。いま、両球団の開幕戦で外野に寝そべってビール片手に観戦していたら、間違いなく殺されますね。人気なかったんだよ、昔はさ。


 もし、万が一、おいらが小説で世に出たらこう言ってやるんだ。「横浜スタジアムの内野席でドラゴンズとの第十回戦を観戦していたら、二回の裏にパチョレックが綺麗な流し打ちで、右中間にツーベースを打ったんだ。まだホエールズの時代だね」ってただの回顧録じゃん。


 ヒルトンとパチョレック。実は共通点があって、二人とも一つめの球団をクビになった後、タイガースに移籍するんです。ヒルトンは当時タイガースの監督になったばかりのブレイザーがキャンプ中に連れて来た。そして、二塁を守らせたの。そうしたら、大阪のタイガースファン大炎上。理由は、早稲田大学からドラフト一位で入った、岡田彰布の守るところがなくなたからです。三塁は掛布、遊撃は真弓がいるからねえ。空いていたのはセカンドだけ。そこにヒルトンが割り込んじゃったから、ナニワのおっさんたち、怒るわなあ。スワローズ時代は長身、長足、金髪をなびかせて人気のあったヒルトンもメンタルやられて途中で帰っちゃった。さらにブレイザーも、球団上層部の「岡田を使え」命令に失望して、途中辞任。ちなみに、ブレイザーってほんとはブラッシングゲームというのが本名なんだけど当時の南海ホークスの球団幹部が「長すぎて、日本人になじまない」というのでブレイザーにしたんだよ。おかげで「ブレイザー今日はどこまで飛ばすやら」という名川柳ができた。実際のブレイザーはクラッチヒッターで二塁守備の名手だった。そして彼の最大の功績は、ホークスの一捕手にすぎなかった野村克也にシンキングベースボールを教えたことです。だからホークス時代、野村がプレイーイングマネージャーだったころ、実質的に指揮をとっていたのはブレイザーだったのです。


 さて、歴史上の有名人でブレイザーのように、名前を略されちゃった人がいます。誰でしょう? 絶対に知っているよ。学校で習うもの。大ヒント、ローマ字。

 はい、わかったでしょ。ヘボン式のヘボンです。本当は、なんと、ヘップバーン! オードリー・ヘップバーンと同じです。驚いた?

 では。

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