第48話 桜舞い散る中で失くした記憶と……
やあ、おいらです。
なぜか、統一地方選挙の期日前投票をしに中山の緑区役所まで行ってきました。もちろん、今度の日曜日、おいらにさしたる用事はなく、「まあ、サンデージャポンを観たら行こうかね」とか考えていました。ただ、選挙公報を熟読した結果、どんぐりころころの背比べ? 帯に短し襷に長しと思ったら帯にも襷にも短いぜ? みたいな感じで、選挙に行くモチベーションはだだ下がり、東京マラソンの大迫傑選手のようにダイエー付近で棄権しちゃおうかなあなどと考えていると、元妻から連絡がありました。「期日前投票に行くから、ついてこい」とね。おいらは「交通費がかかるからイヤだ」と即、お断りしました。そうしたら、元妻は「それくらい、出しちゃるわ」と剛毅におっしゃいました。一駅分ですけどね。ならばということで、連れて行ってもらいました。まあ実は、当日の投票会場の位置がよくわからなくて不安だったのです。区役所は諸般の事情で一去年くらいからよく通っていますので、ある意味、渡に哲也ではなく渡りに船だったのです。
十日市場の駅から見える桜はようやく満開を迎えたようですが、建物に隠れて全景はよく見えませんでした。そういえば確か、交通費を出してくれると言われた筈でしたが、元妻は「あれ? Suicaを忘れちゃった。てへ」とババアのくせにかわい子ぶってごまかすので、仕方なく自分のSuicaで入場しました。この案件は特殊詐欺に分類していいでしょうか?
昔、というか子供の頃、選挙に行って帰ってきた実父に「ねえねえ、誰に投票したの?」と無邪気に聞いたら「自分が誰に投票したかをたとえ息子であろうと他人に軽々しく言ってはならないんだ」と、とってもキツく言われたので、今日までその言いつけを守っております。おいらは、実父のその場限りの文言をきっちりと守って生きてきたので、こんなへそ曲がりのキチガイになってしまいました。その場限りと知れたのは後年「あの時、こう言いましたよね?」と聞いたら実父は「いやあ、全然覚えていない」っておっしゃったからです。本当においらの人生を狂わせたクソジジイさまです。
で、どの選挙かは言いませんが、どうしても投票したい人間のいない選挙があったので、投票用紙に「パス」と記入しました。選挙は、参加することに意義がある。オリンピックと同じです。
電車賃の代わりに昼食代を持ってくれるのいうので十日市場の『サイゼリア』という洋食屋に連れていかれました。その店は地下にあったので階段を降りるのですが、オシャレ服を着た赤いランドセルが歩いていて、その後ろを、おいらよりかなり若い夫婦が寄り添ってついてくる。「あら? もしかして今日は入学式かな」。悪い予感がしました。おいらのネガティブな予感は良く当たります。店内は満員御礼です。店員は待ち人を完全無視。さらに予約の名前を書く紙が満杯で補充されてなく、記入できない。実は、おいらは飲食店でこのように理不尽に待たされるのが大嫌いで、すぐに頭にきちゃうのです。なので「おい、こんなジャリの入るような店は出るぞ!」と元妻を促して退店しました。どうせ、最低賃金のパートが最低人数で最低限の仕事をしているんでしょ。仕事へのプライドとホスピタリティの精神は皆無だ。まるでバカ書店と一緒だよ。で、ちょっと歩く『ジョナサン』という、作者は知らんが訳者は五木寛之大先生だねって感じのカモメさんの店に行ったんですけど、おんなじ状況。結局、昼飯は空いてて涼しい『セブンイレブン』で買って、おいらの部屋で食べました。その後、元妻は酒が飲みたくなったようで、飲酒禁止のおいらの部屋を去って行きました。今日の唯一の収穫は『ジョナサン』に行く途中の桜並木で、久々にこんもりと咲き誇るソメイヨシノを堪能しました。でも今日は風が恐ろしく強くて、カツラがマジに吹っ飛びそうだったので、あごひもをキツく締めました。こりゃあ、もう散るね。
一晩で歩道をピンクの道に染む
では。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます