第14話 この世は矛盾でできている

 やあ、おいらです。


 そういうわけで、抗鬱剤と抗躁剤を同時に処方されている、おかしなおいらです。当初は両方が相殺されて効果が無いように感じていたのですが、去年の今頃の衰弱死寸前から立ち直り、と言うか立ち直りすぎて、今日はズボンを履くのに十回、トライしなくてはならず、ついには八年前に紳士服のコナカで買った、デブ専用ベルトもお釈迦になってしまい、かなり悲しい気分ですわ。おいら、なんか、おかしなこと言ってますか? はい、言っています。


 さて、デブだけど腹は減るのさ。そう言うわけで食料調達にダイエーに行きながら、エセ哲学を思索するわけです。桜はまだ早い。桜田辞任は遅すぎる。思ったより寒いので、陽気に浮かれる“おともだち”はあまり見かけない。春休みだというのに、子どももあんまりいない。物騒な事件が多いから親が子どもを家から出さないんじゃないかと、うがった見方をしてしまいます。まあ、鴨居のららぽーと横浜あたりはうんざりするほどのガキ……いいえ、お坊ちゃん、お嬢ちゃんが闊歩しているのでしょう。


 前にも書きましたが人間の心には善と悪が共存していると、おいらは考えています。おいらなんか顕著な例ですよ。ふたご座だし。今回はもう一歩、踏み込みましてね、こう思ったのです。自分の善と悪を思い通りにコントロールできるのが賢者、善と悪を御しきれないものがバカってね。


 という、相変わらず無意味なことを考えて、お買い物をしていたら、偶然にも近所のおばさんに遭遇しましてね、「なぜ、最近の若いバイトの接客は悪いのか?」という議題になりました。おいらは日頃、他人とは話さないので、この時ばかりはと自説を唱えましたよ。


 若い人の接客態度、ひいては全てにおいてのマナーが悪いのは、道徳教育が軽視されているということ。その原因として考えられることとして、戦前の道徳教育には必然的に天皇崇拝が含まれており、戦後、GHQとかいう地方のテレビ局みたいなところが、道徳イコール天皇崇拝として、それを危険視して極力、学校教育の隅っこにおいて半ば排除した。そのため、マナーの部分まで一緒に削り取られてしまい、それが連綿と続いてきた。だから、子どもたちは学校でも、家においても、対人関係など、常識というのマナーを教えられていない。教えられていないものが出来ないのは自明の理で、態度の悪い接客だろうが、自転車で歩道を猛スピードで走ろうが、シルバーシートでお年寄りに席を譲らないのも、全ては「わからないから」なのである。あるいは「気づく能力に欠けているから」である、とね。

 そしたら近所のおばさん、「ファストフードなんかの不適切動画も同じだね」と言う。あら珍しい。あんたもまともなことを言うんだね、と思いましてね、話題をランクアップさせちゃったんです。すなわち、吉田松陰の松下村塾から幾多の英雄が生まれ、明治維新は成った。しかし、吉田松陰自身は、大老である井伊直弼の安政の大獄で処刑され、さらに、井伊直弼は桜田門外の変で水戸脱藩浪士たちに殺されたとね。いやあ、ちょっとレベルをあげすぎちゃったみたいで、近所のおばさんは「二・二六事件ってその前よねえ」とおっしゃいました……


 ウチに帰ったらポストに横浜市長選挙の封筒が来てました。おいら、国民の三大義務を一つもはたしてないんですけど、選挙権もらっていいんですかね? というか、選挙権は正直に言うともういらない。運転免許みたいに返納できないかな? でもまあ、たぶん投票しますけどね。そうしないと、あいつらがのさばる社会になっちゃうからね。

 では。


 追伸:悪の権化、新章、ただいま1600字。今月中にはなんとか……せっかく読んでいただいているのに、本当に申し訳ございません。

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