#3 会長の秘密


生徒会室から最後の一人が帰る足音が聞こえなくなったら瑠美はバックから

ノートを出した。


「はぁ~。今日もダメだった、自分。」

会長は本当はガラスのハートだった。

そして、一人になるとネガティブ会長になってしまう。

そのネガティブ会長の時は今日の反省日記を書くという特徴がある。

「死にたいな・・・カッター、どっかになかったっけな~。」

これが、瑠美の弱点(短所)である。

そして、カッターを手にして腕まくりをしていたその時、

ガラッと扉が開いた。

「会長ってそんなにネガティブだったんですね。」

入ってきたのは一年A組の学年一頭がいいのに自由人の菅崎すがさき 亜紀翔あきとだった。

瑠美は亜紀翔が苦手だ。

なぜ、苦手かは次の機会にでも話します。

瑠美は扉とは反対側を向いていた。

だから、亜紀翔がどんな顔をしているとかはわからないが弱みを握ったから笑っていると思った。

それも、弟達でさえ知らない秘密だった。

「いつも、明るい会長がこんなにネガティブだったんだね~。」

見つかってしまったものは仕方がないと思い、瑠美は後ろを振り返った。

亜紀翔は笑っていなかった。

真剣な顔をして会長の目をまっすぐに見ていた。

瑠美は亜紀翔でもこんな顔をするのだとビックリした。

瑠美は頭がパニックになっていた。


沈黙が続いた。


瑠美が後ろで隠し持っていたカッターを落としてしまった。

その音が教室の中に響いた。

「そんな物騒な物を持って、何をしようとしたの?」

分かっているくせに聞いてきた。


瑠美は無言のまま教室を走って出た。

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