第18話 嘘をつくことで変わる世界

我々は地球という世界に住んでいる。だけども、それとは別の人間世界という特殊な世界の住人。それを作っているのは人間が発明した言葉。


言葉は何故発明されたのかは未だに解明されていない。しかし、言葉が作った人間社会を見ると、その理由が見えて来るのではないだろうか。


今、我々人間が作る社会はどうなっている?


人間から動物を見た時、彼らが生きている自然は動物の楽園と呼ばれることが多い。弱肉強食という厳しい掟に居ながら各々が自然を謳歌しているのでそう見えるのではないかと思う。


果たして、人間は人間世界を謳歌しているのか?


謳歌するというより振り回されているという方が適切かもしれない。自然が作った動物は自然界を謳歌できるのに、何故、人間が作った人間世界を人間は謳歌できないのだろう?


実におかしな話だと思う。


話が逸れたが、我々が住む人間社会は、自然界と異なり人間が作る言葉で出来ている。従って、言葉によって変えられるという事になる。分かりやす例で言えば、法律を変えることで社会は変わる。


まあ、それで人間が変わるかと言えばそういうことはないかもしれない。


何故なら、人間が正しい言葉を使わないからだと思う。正しい言葉とは何かと言えば、自分をキチンと表現した言葉となる。辛い時には辛い、悲しい時には悲しい、嬉しい時には嬉しいといった風に。


しかし、今や我々は嘘をつく。自分を偽り誤魔化す。


そうしないと生きていけないからなのだろうか?


その結果、どうなるかと言えば、本当の世界から遠く離れた別世界に行かされることになる。それが嘘をついた代償と言える。そして、それに苦しむ人も多いのではないだろうか?


日本では、昔から「嘘つきは泥棒の始まり」と言われ嫌われたものである。しかし、この泥棒とは他人から何かを盗む泥棒ではなく、自分から本当の自分を盗む泥棒だったのではないかと思う。


そして今、多くの人たちが本来居るべき世界を探している。自分から抜け出した本当の自分を探し路頭に迷っているのかもしれない。それは、嘘をついて変わった世界が心地良いモノではないからなのだろう。


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