第6話 社会の発展と人間の劣化

 多くの人は、人間が進化していると思い込んでいる。それは、社会が発展し成果るの利便性が向上しているから、それに伴って人間も進化しているとなるわけだ。


 しかし、社会の発展は人間に進化をもたらすのではなく劣化=退化をもたらすことを肝に銘じておく必要があるだろう。


 「そんなバカな・・・」


 簡単な話からすれば、コンビニや弁当店や外食産業の発展に伴い、食事を作るのではなく買うという事が頻繁に行われるようになった。昨今では面倒なおせち料理などは買って済ませる家庭も増えたのではないだろうか。


 それを見て「便利でいいじゃない」とか「楽だからいいんだよ」と思うのだろうが、そうした生活が定着すると、食事を作るという事がなくなり、食事を作ることが出来なくなるのである。


 「そんなバカな・・・」


 そう思う人も多いだろうが、例えば「米を研ぐ」という事が分からない若者が増えているのは確かだろう。最近では無洗米という便利なモノが登場しているわけで、いずれ、米を研ぐことをしなくなり忘れることになる。


 こうして、便利になるとこれまで出来ていたことが出来なくなるのだ。


 楽でいいじゃないの・・・


 だが、もし食事が買えない事態が起こったらどうするのか?


 それは、地震や洪水や津波という自然災害が起これば、そういう状況に陥るのではないでしょうか。


 きっと、我々はどんどん色んなことが出来なくなっているのです。それは、人間としての劣化であり退化と言えるでしょう。


 そうやって、出来ることが出来なくなって行った先に何があるのか?


 近年、痴呆という病気が問題になっていますが、私は、痴呆は病気ではなく脳の退化だと考えています。使わなくなった脳が退化して小さくなっていく。だから、老人だからそうなるのではなく、今後脳を使わなければ若い人でもそうなるでしょう。


 「学校で勉強するからバカになる」という本を書いていますが、バカになるというのは機械になるということ。世の中には仕事バカが溢れている。もし、彼らが仕事を止めれば、間違いなく脳は退化していくでしょう。


 人間と機械の決定的な違いは、機械は一つのことしか出来ないけど、人間は色んなことが出来るわけで、その為に脳があるわけです。仕事するだけなら、人間の脳は要らないでしょう。


 このまま便利さを追求した先にあるのは、人類の繁栄ではありません。多彩な能力を持った人間の絶滅です。このまま行けば、人間は本当に機械となる。その結果、脳が小さくなり、仕事以外何も考えられない人間になる。


 その兆候が、コミュニケーションが取れない人間が増えているという状況だと思います。だって、機械にコミュニケーションは要らないから。


 面倒くさいことをやりましょう!

 手のかかることをやりましょう!

 大変なことをやりましょう!


 そうやって、色々やることが出来るのが人間というモノであり、その為に高いスペックを持っているのですから・・・・

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