このツバサは何処へ繋がっている?(KAC6)
大槻有哉
第1話
僕の心は何処にあるんだろう?
ツバサもミズカキも無い僕。
僕の名はトビラ、二十三歳だ。モンスター園の園長を、オーナーが任せてくれている。
僕は室温調整が得意で、天候使いと呼ばれている。
三分間だけモンスター達と会話が出来るという、ウワサの地蔵がある。
今日も疲れてグッスリだ。人気上位のモンスター、ゴーレム君が現れる。表情は変わらない。
昨日話をしたんだよな。僕はユメの中へと落ちていく。
枕元が騒がしい。
「俺はゴーレムだ。俺は変型出来、空を飛ぶことも船になることも出来る」
僕は言う、
「そんなことは知っている。失敗したな。もう少し暖かい方が、快適な室温だよ」
ゴーレム君の表情は変わらない。
次の日、ゴーレム君は快適そうに子供達を乗せて空を飛んでいる。
昨日僕はゴーレム君と話をしたんだよな。ゴーレム君は寂しそうだ。ツバサの価値に気付いていないのだろう。
快適な室温になったんだな。
次の夜、押すな押すな、バレるだろう。 夜も涙も終わらなければ困るだろう。表情だけでは分からない。僕達の観察力だよ。どうしてもゴーレム君と仲良くなりたかったんだ。
「寂しいね」
と、太陽は笑った。
少年二人組だ。
「地蔵の正体はこれだったか」
枕元でキミ達は話をしていたんだね。地蔵に隠れて、キミ達はユメを見せてくれたんだね。
ゴーレム君の悩み、何だろう? あまり楽しそうにないね。何時もつまらなさそうにしている。
ゴーレム君は終わらせたいのかも知れない。僕は、終わっても残るものがあると思う。しかし、終わらなければ話にならないだろう。
今日も僕はユメを見る。二人組の少年は、昨日の少年達だな。分かっていながら、ユメに身をまかせる。
もっと沢山の動物達と仲良くなりたい。本当にそう思っているのだろうか? このツバサは何処に繋がっている? 友情か自己満足か。
ゴーレム君は頷いた。この表情を大切にしたいと思った。
陸が動く。沢山の人びとが乗っている。どれだけの人が満足しているだろうか?
僕とゴーレム君はアイコンタクトをとる。そろそろ最後の三分間になる。それでも終わりはしない。
その時ゴーレム君は満足したのだろう。最後の三分間が終わっても、関係は続いていく。延長戦だ。太陽は笑った。
ゴーレム君は言う、
「俺はどうしようもない」
陸であるゴーレム君は言う、
「ここはモンスター園全体を指していたんだ。色んなことが分かる。これが最後の三分間だ」
作物が荒れる。子供達の大集団だ。楽しそうに遊んでいる。
ゴーレム君は言う、
「俺のことも考えてくれよな。マナー違反だ。立ちションなんてするなよ」
子供達は畑を荒らしてしまったようだ。救助隊が要る。ゴーレム君は言う、
「俺は行けないから、お前達が行ってくれ」
救助隊と切羽詰まる。猛獣を怒らせてしまったようだ。許してやってくれないか。
ガォー! 言葉は通じない。二度目の延長戦だ。通訳するよ。
少年二人組は、動物園の元スタッフだったな。この陸を大切にしたいと思っていた。救助隊でもどうしようもない。
試行錯誤して、分離する。陸の移動が可能になる。
「このツバサ、ここで使わず何処で使う!」
何時ものように眠りに就いた。本当に最後の三分間だな。
ゴーレム君は、協力してくれた人びとに感謝している。そんな表情だ。本当に最後の三分間だったの、ゴーレム君?
ゴーレム君は眠りに就く。すやすや。ツバサは何処へ繋がっているかは、応援してくれる声だったのだろう。ゴーレム君は今気付いたはず。
あの少年達はもう来ないのだろうか? もし来たのなら、僕は不甲斐ないということだ。ゴーレム君の寝顔を見ながら、僕も眠りに就く。
「未来が見えるね。終わらせることが出来るからだろう。その先に本物が有るか分からないけど」
このツバサは何処に繋がっているか、分かったかい? ゴーレム君の寝顔を見れば、分かるだろう。
このツバサは何処へ繋がっている?(KAC6) 大槻有哉 @yuyaotsuki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます