②
人間、産まれたときは泣いて産まれてくるのだから、
死ぬときには笑って死のう。
それが、16年生きたわたしの、たったひとつの人生のモットーだ。
暗い髪色。寝起きで腫れぼったい目。
特筆することの無い平凡な顔つきに、自分の暗さを象徴するような泣きぼくろ。
鏡に映る自分の姿を見て、ため息も出ない。もう、諦めた。
高校2年生。
何者にもなれない、透明な時期。
勉強も別段優秀じゃないし、運動なんてそれ以前。
取り柄も魅力も武器もセンスもなにもない。
そんな人生を16年も歩んできたのだ。
何かを求めるには、自分には何もなさすぎる。
多くを求め、手に入れることができるのは、わたしなんかではなくて。
そう、たとえば――
「おかーさん、行ってきまーす」
――わたしの妹のような存在なのだろう。
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