人間、産まれたときは泣いて産まれてくるのだから、

死ぬときには笑って死のう。


それが、16年生きたわたしの、たったひとつの人生のモットーだ。


暗い髪色。寝起きで腫れぼったい目。

特筆することの無い平凡な顔つきに、自分の暗さを象徴するような泣きぼくろ。


鏡に映る自分の姿を見て、ため息も出ない。もう、諦めた。


高校2年生。

何者にもなれない、透明な時期。


勉強も別段優秀じゃないし、運動なんてそれ以前。

取り柄も魅力も武器もセンスもなにもない。


そんな人生を16年も歩んできたのだ。


何かを求めるには、自分には何もなさすぎる。

多くを求め、手に入れることができるのは、わたしなんかではなくて。


そう、たとえば――



「おかーさん、行ってきまーす」



――わたしの妹のような存在なのだろう。

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