第3話:自転車の出会い

「・・・ここ?」




 姫乃は久しぶりに自宅から出て、人と待ち合わせをしている。


 それは今朝に電話があったあの女性。


 あの女性は会う場所を指定していた。


 姫乃が来るまで待つと言っていた。


 そして、



 自分は、









「私は幸村初枝だ。アンタの母親の早苗の母親。つまりアンタのおばあちゃんだよ」







 この一言にどれだけの影響力があるのか、それを知り由もないだろう。






「あーーーーーーどいてぇぇぇえええええ!!!!!」




「へ?」






 姫乃は声がした方に視線を向けると、高速で自転車が突っ込んできそうだった。


 慌てて、そして止まらせなければと思いとどまった。


 そして大きな音を上げて自転車は






 とある男性に蹴られて横転した。









「いったーー・・・」




「何やってんだよゆき。人様にぶつかったらどうすんだ」




「うっさいなぁ廉。だから結婚もできないんだよ」




「お前もっかいあの坂をこの自転車で降りて来い」




 ぽかん、と呆けてしゃがんでいる姫乃に廉は手を差し出した。




「大丈―・・・・・?」





 姫乃を見るとすぐ、廉は固まった。



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