第2話:留守電
ちゅん、ちゅん、と小鳥のさえずりが響いた姫乃の部屋。
重い瞼を開けると目の前には原稿用紙と、右手にはお気に入りの万年筆があった。
どうやら執筆中に眠ってしまった様子。
小鳥たちを探そうと窓を開けると一斉にいなくなってしまった。
「・・・・・・」
なんとなく、さみしい。
だがこれがいつもの日常。
「あ、今日病院の日だ」
ふと全身を映す鏡の前の小さなお花柄のカレンダーがあり、そこに自分で記していた。どうやら姫乃は通院しているみたいだ。
朝目覚めのコーヒーの為にお湯を沸かしていると、携帯に着信が鳴った。
かけることはあってもかかってくることはほとんどなく、携帯電話の意味すらないようなガラケー。目を丸くさせて驚いた姫乃はお湯のそばから離れて携帯電話に食いついた。
しかし知らない番号。
それもそのはず。
姫乃には誰もいない。
天涯孤独。
この電話を知る人はいないはず。
そして見るからに固定電話。
市外局番からの着信だ。
出ようか出ないか。
悩んでいる間に着信は留守電に移る。
誰かがそれに時間みちみちに伝言を残して電話は切れた。
すぐさま留守電を再生する。
そこには知らない高齢女性からの伝言が残っていた。
耳に当てて聞いてみた。
「逢沢姫乃かい?私は―・・・
これを再生したことが間違いだった。
姫乃はこの、女性でいっぱいの人生になるのだろう。
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