幕間1

ファーストコンタクト

 魔法少女と出会った時に、こんなことを話していた。

「私の名前は夕月菜穂果(ゆうげつ なほか)っていうの。なほでもなんでも好きに呼んでね。」

「じゃあお前って呼ぶ。……人を名前で呼ぶの、慣れてなくて。」

「え、それじゃ私はあなたって呼んだ方がいい!?はっ!もしかしてプロポーズ!?」

 急に顔が赤くなり、大袈裟な身振り手振りを伴いつつ激しく動揺する彼女。いや、「はっ!」じゃねえよ。こいつアホなんじゃねえか?なほじゃなくてアホと呼んでやろうか、とその時は思った。

「いやいや落ち着けって!?お前は何を言いだすんだ!?」

「ほらお前って呼んでる!あ、あなた!?」

「いやちょっと収集つかないから一旦落ち着け。……今のは断じてプロポーズではないし、そもそも私達今初対面だろ。初対面でいきなりわかりにくいプロポーズする奴が何処にいるんだよ。」

 これからお前のことお前って呼ばせてくれ、なんてプロポーズはわかりづらいにもほどがある。こんなプロポーズをされたら私なら超能力で酷い目に合わせてやる。

 というかこいついきなりプロポーズとか言い出した上に私をあなたなんて呼んでたがそういう事なんだろうか。……いや、ただアホなだけだろう。きっとそうだ。実際数週間つるんでみてこいつアホなんじゃないかと思うことが他にもいくつかあったし。

「いるかもしれないじゃない。ここに。」

「……お前は私にプロポーズして欲しいのか?」

「ううん、別に?」

 けろっとした顔で何事もなかったかのようにキョトンとしてる魔法少女。

 なんなんだこいつ、と今後に一抹の不安を感じたのは言うまでもない。とにかくまあ、出会った日にこんなやり取りをしたんだ。結局今となってはこいつのことは脳内だとこいつか魔法少女呼びだけども。

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