Blood Worker 3 ─EP3‐1

 ─A year ago


 ヴィヴィアン・タムのチャイナドレスに袖を通したナジェージダは、フィンガーウェーブ風に固めた前髪を神経質そうに鏡で確認しながら、ラフなジャケット姿のハンフォンに向けて舌打ちをした。「…パーティーなんだから、ペンギン服でも着なよ」

「今日はボート・パーティーだからね。このくらいラフでいいんだよ」

「なんで真冬にボート・パーティーするのさ、中国人は」

「普通はしない。伯父が数寄者なんだ、香港に長くいてね」

「ふうん。……きみ、なんだその襟。シノワズリーだなぁ」

 青い絹糸で刺繍と房飾りが施された付け襟を首に巻いたハンフォンは、黙って肩をすくめた。シンプルだったシャツの胸元が一気に華やぎ、また異国情緒が豊かになる。

「しかし、私がこんな格好をするとはね。次のパーティーはきみがルパシカを着るんだぞ」

「ウシャーンカは持ってるけど」

 軽口を叩きながらショールを羽織ると、ナジェージダはすっと表情を消し、ハンフォンは腕を差し出した。ナジェージダはその手をとり、また、長い演目が始まる。



 基本的に、Mr.&Mrs Langとして公の場で仮面をかぶるふたりを、怪しむ人はそれほどいない。腕を組み微笑む夫婦の間に、見かけほど情がないと気づく敏い者もいなくはないが、結婚にひとかけらの愛もないどころか、夫妻それぞれの恋愛対象が同性に限られているというところまで嗅ぎ付ける人間となると滅多にない。

 ハンフォンの叔父が主催したボート・パーティーは、確かにカジュアルなものだった。さまざまな中華風の料理が、整備された花壇のように用意された立食形式で、ナジェージダは度数が余りにも低すぎるアルコールを流し込んでは、多少スパイスが効きすぎている羊の肉を噛み、ウエストがわかりやすい服はやめておくんだったなと思った。ハンフォンは、隣でシードルをジョギング後の水のように流し込む妻を見ながら、これからはパーティーの前にもう少し飲ませておこうと思った。

「これ何? 洋梨のジュースみたい」

「スウェーデンのシードルだな。……アルコール度数は五」

「五度? アメリカではこれを酒って呼ぶの?」

「たぶん他の国でも呼ぶね。ロシアでは知らないけど」

 曖昧な返事をしながら、容赦なく淡い金色の液体を片端から飲み干していくナジェージダに、ハンフォンは本格的に危機感を覚え、さらりと紹興酒のボトルを遠ざけた。すると、伯母がナジェージダに、ブローチのパライバトルマリンの色が素敵だと声をかけに来た。それを皮切りに、集まってきた女性陣がファッションの話を始めたので、ハンフォンはナジェージダの肩に手を置いて囁いた。

「少し外に出てくる」

 彼女からは眦だけで目配せされる。別にいいよ、という意味なのか、逃げやがったな、という意味なのかはわからなかったが、ハンフォンは構わずその場を離れた。ラン一族の集まりのなかで、外見からして異質なナジェージダは、都合の悪いことがあれば、微笑み、言葉がわからなかったふりをすればよいのだ。

 演目が長ければ長いほど、幕間も必要になる。



 ボートの上では冷たい風が吹き、ミニチュアの燈籠が、夜のなかでゆらゆらと金魚のように泳いでいた。逆さまの福の字が金に揺らめき、頬や髪に朱を刷く。

 甲板の後方に、手すりにもたれている独りの人影があった。黒髪と同じ艶がある刺繍がされたシャツを着て、ダウンジャケットを羽織っている。靴音を隠さず近づくと、ぬらりとした仕草でこちらを向いた。ハンフォンより幾つか年下の青年だった。

小葵シァオクィ、久しいな」

 呼びかけると、青年は切れ長の目を細めたまま、猫のようにハンフォンをねめつけた。鋭い目付きは、逆光でよく見えなかった顔形を判別するためであり、ハンフォンの顔を認めるとすぐにその表情はぱっと晴れた。瞼があがって瞳に海上の光が反射して、琥珀色に輝いた。

「…楓哥フォングァ。そうだな、俺が入隊する前に会ったきりだ。結婚したとは驚いた。しかもロシア人と」

「そうか? 俺もいい歳だからな。身を固めろとみんなが煩い。お前もすぐだぞ」

「確かに、兄さん・・・が片付いたら次は弟だろうな」

「俺もお前も長子で、男はひとりだから、親戚中が世話を焼いてくる。覚悟しとけよ」

「ちぇっ、一蘭イーランがはやく結婚してくれりゃあなあ」

「長男がいるのに、娘婿にだいじな店を継がせるわけないだろ」

 楓にいさん、と慕わしげに呼ぶこの従弟に会うのは数年ぶりだが、昔よくつるんだことは忘れない。懐かしい気分になったところで、出し抜けに彼が口を開いた。

「……CLEANERになった」

 ハンフォンは動きを止め、まじまじと青年を見た。

 小葵、とハンフォンが昔のままのあだ名で呼んでいる彼は、寒葵ハンクィという名であった。米軍の海兵隊に所属していたが、派遣された中東で足に被弾して、除隊になったと最近聞かされた。

 子供の頃はいつも一緒にいたのに、数年前、軍隊に入ってすぐに手紙を送ってこなくなった理由を、ハンフォンは未だ訊いてはいない。

 ハンフォンと似た東洋系の顔立ちのなかで唯一異が際立つ、磨いた琥珀のような金茶色の瞳が、憂わしげに夜のインクのような海面へ落とされる。

「俺は特異体質者だが、足が悪い。DEFENDERになれないのは仕方のないことだが、せめて……」

「小葵、もしかして叔父さんたちには言ってないのか」

「止めやしない。大丈夫だ」

「小葵……」

「楓哥」

 寒葵の眼の光が正面から射し込んで、ハンフォンは思わず黙った。切れ長の瞼に、燈籠の灯りが蛍のようにとまって、皮膚をバターの色に輝かせる。郎一族や、多くの同胞たちが持つ、海の向こうの故郷の色に。

「……OBEYでは、は差別されないか?」



 甲板に出てきたナジェージダは、手にふたつカナッペのようなものを持っていて、ハンフォンの隣に来るなりふたつとも自分の口に放り込んだ。

「お前、それ俺の分じゃなかったのか……」

「気が変わった。あの子、誰?」

「従弟のシァオ…、寒葵ハンクィだ。OBEYに入るらしい」

あれまあボージュモイ

「CLEANERだと。もう春には仕事に就く」

 ナジェージダは男のように、腰に手をあてたまま肩をすくめた。「なんであんな仕事に」

「もともと軍にいた。特異体質者なら斡旋があるはずだ」

「なら初めからOBEYに入局すればいいことじゃないか」

 ハンフォンは黙り、船縁にもたれかかった。つめたい風が、耳の上に流された黒髪を揺らす。ぎぃ、と甲板のどこかがきしむ音が聞こえた。

「……大学にいきたかったんだと」

「ん?」

「高校に軍人が来てリクルートされるんだ、入隊すれば大学の学費を出してもらえる。小葵シァオクィの両親はその頃金がなかったから」

「軍にまで入って大学に行って、就く仕事がこれかい?」

「……ナージャ」

 窘めるようにハンフォンは名前を呼び、ナジェージダは首を横に振った。祖国では映画と舞台芸術を学んでいたという彼女は、海を越える自由と引き換えに、氷原に夢を埋めてきた。こちらで大学にも行っていない移民が就ける仕事は多くない。

「…まあ、まだ若い。これからやりたいことを見つけていくのもいいだろう」

「本当にそう思ってるの?」

「……ナージャ」

「年を取った人間は必ずそういう綺麗事を言うけどね。取り返しがつかない喪失っていうのはあって、それは残酷なことに、何歳でだって訪れるんだ。二十二歳にだって、十五歳にだって、残りの何十年の虚無をさまよいつづけることしかできない、永遠の喪失っていうのはね」

「ナージャ」

 今度こそナジェージダは口をつぐんだ。ロシア訛りの英語はもったりと巻きつく呪文のようだ、と皆言うが、ハンフォンだけは、その舌の閃く刃物のような鋭さ、諦めと哲学の重さを知っている。

 だからこそ、己の言葉を彼女に返すとき、誰よりも真剣に向き合おうとする。愛してこそいないが、隣に立ち、戦う覚悟だけは、誓うことができる。

「永遠に希望が失われたかなんて、本当は神さまにだってわからない。俺はそう思うよ。

 喪失は本物だとしても、闇を抜けた瞬間に別の運命が現れるかもしれない。俺の従弟シァオクィも──お前も。

 だから、ナージャ。俺たちがするのは、その未来のための命を守ることだ」

 隣に立つ男の言葉を聞いていたナジェージダは、その眼をまっすぐに見つめ返した。それから、なにも言わずに──神秘の青い瞳で頷いた。



 ■■■■■■■


 XX. January XXXX


Autopsy(検死報告書)

 Name Lang Han kui (中国名 郎寒葵)

 Sex Male  Age 23

 Date of birth ...

(中略)

(以下訳文)

 死亡状況:

 1月■日×××において職務遂行中、SPLEENに接触後、血管内溶血を起こし、多臓器不全により短時間で死亡。

 死亡までの経過:

 1月■日、ヘンリー市内×××にてSPLEENと思われる人物と接触、手掌を介し、手首、顔面等の皮膚に十秒間以上連続して接触される。その後悪寒と貧血の症状を訴え、16:50、OBEY内の医療機関に緊急入院となる。

 入院時検査所見(Table1):入院時と死亡直後に行われた採血では両方とも強溶血を示す。生化学検査は測定不能。末梢血液検査では、赤血球とHtの低下が認められ、また血管内に微量の鉄粉を確認。血液像は血球の破壊が著しく検査不能。動脈血ガス分析では著しい低酸素血症を示す。

(Table1省略)

20:15、血圧低下、意識レベルが低下、救急蘇生を施行したが、22:24死亡。

 死後16時間後、司法解剖開始。

 以下、主要所見。…

(後略)



 ■■■■■■■



 廊下に座り込んだ夫を見つけ、ナジェージダは控えめなスリッパの音を立てながら歩み寄った。

 床はタイル張りで、等間隔についている照明は白く皓々と清潔そうなのに、廊下を構成する直方体の空間の隅には、ずっと奥まで、薄暗い灰色や、黄色や、緑の影がこびりついているようだった。並んだ扉のうちひとつの前に、緑色のビニールで作られた大きな箱がある。中身は見えない。ナジェージダは訳もなく、チェーホフの短編の一節を思い出す──"灯明から天井に射した光が大きな緑の輪になり、おむつとズボンは長い影を暖炉や、揺りかごや、ワーリカに投げかけている……。"

 膝をたて、そこに腕をのせて顔をうずめていたハンフォンは、音に気がついて顔をあげた。真っ赤なハイヒールを手に持って、スリッパで立っている妻の姿を見たハンフォンは、のろのろと腕をほどいた。

「……靴、どうした」

「音がうるさいからね」

 ハンフォンは、不透明な石のような瞳でナジェージダの顔を見ていたが、やがて少しずつ氷が溶けるように、表情に動きが戻ってきた。

「もう夜か」

「悪いけど食事はしてきた。…君もすべきだな。明日から忙しくなる」

 肩をすくめて、ナジェージダはちらりとハンフォンの隣の扉を見た。「もう終わったろう」

「……とうに」

 扉の横の壁にはホワイトボードがあり、そこには「An autopsy」と、時刻と、解剖執刀医の名前がペンで書き込まれていた。

「遺体はOBEY安置?」

「いや、もう帰されるはず。……まだ持ち物が返却されなくて」

 待とうとしたら、こんな時間になっていた、とハンフォンは手首のダイバーズ・ウォッチを見た。

「メールくらい確認したまえ、全職員に来てる」

「……それは見た」

 一瞬前髪の奥の目を細め、ナジェージダは頷いた。

「…ここで待つのはやめなよ、ハンフォン。今日は帰ろう」

 低い声が、がらんとした廊下に響いた。灯明は無音で瞬いた。それは無機質に、俯いた男の黒髪を照らし、白と緑色の光輪を戴いているように見せた。



 夫婦が住むアパートは、チャイナタウンから少し離れていて、移民とその子孫が多かった。しかし、リトル・イタリーやリトル・インディアのような大きなコミュニティからは少しはみだした、変わった人々ばかりが暮らしていて、互いの事情には干渉しない。奇妙な夫婦にはぴったりの棲みかだった。

 そこへ帰る道すがら、粉雪が紙のように降ってきた。触れても温度を感じられないそれはバーチャルの存在にも、あるいは旧世紀の幻想にも思えて、コートの肩が白く砂糖にまみれたようになっていくのをハンフォンは放置した。

 隣で、ナジェージダは並樹の枝の分かれていく形をたどるようにじっと見上げて歩き続けていた。不意に、俯いたままのハンフォンが口を開いた。

「もうすぐ春節なんだ」

 ナジェージダは黙っていた。春節というものについて、彼女はLunar New Yearという英名と、アパートへ帰る道すがらに見える、チャイナタウンの色とりどりの紙吹雪と、獅子舞とドラゴンのパレードのイメージだけを知っていた。そして、ハンフォンがどれだけ忙しくとも、この日だけは必ず家族の元へ行くことも。

 大通りを横切りながら、その遠目に見える赤い四角形に、彼の歩みが遅くなった。

 チャイナタウンの入り口を示す門に点る、たくさんの灯りは赤みを帯びて、遠い雑踏の声と靴音と、黄色いネオンの漢字や提灯が、黒い夜のなかで夢のように瞬いていた。

 足を止めたハンフォンにならって、ナジェージダも数歩先で立ち止まる。振り返ると、血の気のない顔が照らされて、その眦が一瞬濡れて光っていた。

 雪が肩に降りつもっていくのにも構わず、ハンフォンは、その朱色の光のなかに何かを見ているように、小さな声で喋りだした。

「子供の頃、湯圓タンユェンを作った。小葵シァオクィと……元日の祝いで、小葵の実家のレストランが、湯圓の屋台をだして……手伝いにいった。四川風で、黒砂糖の、甘いやつ。ゆでて、すくって、……プラスチックの器にいれて配るんだ。バイトのつもりで行ったのに、お前たちはボランティアだって言われてがっかりしたのを覚えてる。旧正月は観光客がたくさん来るから、儲かると思ったのに……本当に派手で、うるさくて、人でいっぱいで。

 とにかくクラッカーがあちこちで爆発して、リボンや色紙が雨あられと降り注いでくるんだよ。足元は溶けた雪と紙吹雪のくずでぐちゃぐちゃで、だけど楽しくて仕方なかった。爆竹を好きなように鳴らしていいのは春節だけだったから……。小葵は、小銃みたいに大筒のクラッカーを俺に向けて撃って、俺は戦争ごっこと同じように撃たれて死んだふりをして、奇襲をかけた。結局、ふたりともすごく怒られた…服を火薬臭くしたから」

 ナジェージダは大股で近づいて、ハンフォンの頭とコートの襟、肩の雪を払った。冷えて耳は真っ赤なのに、唇は青ざめていた。

「俺と小葵は……従兄弟どうしだったけど、魂の双子みたいなものだった、昔は……。俺が就職するまでは……小葵が軍に入るまでは……。

 学校では英語、家では中国語で話して、同じ西紅柿炒鶏蛋シーホンシーチャオジーダンが好きで、"失われた世代ロスト・ジェネレーション"の小説を読み始めたのも一緒だった。あいつが拾ってきたiPodを共有して、いろんな音楽を聴いた。あいつがイングリッシュネームをジギーにすると決めたとき、初めて教えたのは俺だった。お前と──出逢ったロシア旅行では、あいつにウシャーンカを買って帰って、そしたらメキシコに行ってたあいつはテンガロンハットを俺に買ってきていた。馬鹿みたいだろう。ふたりとも馬鹿なんだ」

 傷口から滴る血のように掠れた声で話し続けるハンフォンの落ちた肩を掴み、ナジェージダは強引に自分の方を向かせた。彼の血の気が失せた顔を真正面から睨むナジェージダの頬も、影が紫がかって見えるほどに白かった。青い眼の奥に血管が透け、紫の光を帯びて、霜がはりついたようなハンフォンの瞳を射抜く。どこかへ飛び去ろうとする鳥の羽根を縫い止めるように。その乾いた唇が歪むように動き、低くはっきりとした声が発される。

「ハンフォン。人は去るとき、すべてを置いていく。思い出や、遺品や、たくさんのものを置いて、本人だけがいなくなる、ドーナツの中心のように。その置き去りになったものたちの処遇は、が決めることじゃない。"私を忘れないでフォゲット・ミー・ノット"と、彼は言ってはいないだろう。

 ハンフォン。君は初めから──ひとりだったと思い込むことができる。

 君は、好きな食べ物も、好きな小説も、好きな音楽も、共有した魂の双子なんてと思うこともできる。───」

 勢いよく頬を張られ、ふらつきかけたナジェージダはハンフォンの手首を掴んだ。自分のしたことに驚いているハンフォンの瞳は、溶けた氷のように不安定に揺れ、表情はひどく強ばっていた。

「……す、すまな──すまない…ナージャ、」

「………私の言い方の良し悪しはあると思うけど、それを考えられるほど英語は得意じゃないんでね。もう一度言う。君は、。これは、君の従弟のことを忘れろということじゃない。魂の在り方を騙せと言うんだ。肉体のきょうだいより、魂のつながりの方がずっと恐ろしい。その絆がもぎ取られた傷口は本人にしか塞げない。

 君には大切な従弟がいて、君は彼とのいろんな思い出がある。それ以上の気持ちに蓋をするんだ。兎にも角にもかさぶたを作らなきゃ、血が止まらない。出血のように彼との記憶を流出させてはならない、それは君を蝕む毒になるから。私の言うことがわかるか、ハンフォン──要するに、、ということだ。今は──は。

 それができないのなら──」

 強い力で腕が振りほどかれた。ナジェージダは言葉を切ったが、顔を背けたハンフォンの表情を見ることはできなかった。よろめくように足を踏み出した彼は、そのまま、朱色の門にも背を向けて、夜の闇へ歩き出していった。

「ハンフォン。……ハンフォン」

 はためくコートの背に呼びかけたが、やがてその輪郭は、粉雪の向こう、暗がりの街角に沈むように消えていった。

 彼のダイバーズウォッチが、ナジェージダの掌に切り傷を作っていた。見つめていると、雪の上に点々と血が落ちて、瞬きするたびに補色のグリーンが瞼裏の闇にちらついた。

 ナジェージダは息をついて、ポケットから仕事用の情報端末を取り出した。メールボックスを開き、一番上に表示された文字列に視線を落とす。黒い画面のなかで、緑色の文字が冷たく光っていた。

─全OBEY職員に通達─

─1/XXより、元研究施設跡"EDeN"に於て、SPLEENの核、Eveの検挙及び討伐任務に向けての作戦行動を開始する─

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