過去編ーー②、その女

天才、そう呼ばれる陰陽道の使いて

「知識」と「呪術」において、若くして同世代や上の世代を追い越し


「神稚児」「神童」とまで呼ばれた女ー、その生涯は乾いていた

周囲がなぜできないのかがわからない

周囲がなぜ尊敬してくるのかがわからない

周囲がなぜねたむのかがわからない

ーーゆえに、ごく自然に、周囲を「見下した」


だが、そんな彼女もゆういつ式神の術だけは使えなかった

だから、どうしたというのだろう

別に構いやしないだって、「天才」だから

式とは「中国占術」「陰陽道」の二つだけで使われるもの


つまりーー大概の呪術者、霊能者はそんなものいらない


いらなくてもたいがいなんとかできる

「降霊」ができる「除霊」ができる「霊媒」ができる


ーやがて、「両親」すらかしずいた

ーー快感、ひとを「見下し下に見て利用する快感」

だが、そんなものが本当の幸せではないとわかっていた


本当のやりたいことではない、とわかっていた

ーーそして、そんなものが本当の呪術ではないとわかっていた


ーーのちに、振り返ってみればなるほど彼女のことをなす最初の動機自体は単純だ

要は、「カエサル」の「本」を見てそれをやりたくなった、青髭のモデルの人物

ジル、どれぇ将軍と同じ


ーーかって、じる、どれぇは「この何事にも驚かないだろうと思われた西洋においてその残虐さで人々を恐怖に陥れた」

と書かれてる、本がある

ーーーまじめな「領主」じる、どれぇは慕ってくれていた、「子供」をいじめる際


「親しみの表情から、一転して恐怖に打ち震えるときが、「至高」だったといっている

しかし、彼はわかっていたーー自分のしでかした行動が、彼の信じる神に、道徳に


悖(もと)る行為だと知っていた



そう、彼女もまた、「漆黒の本」の存在によりー狂わされたのだ


人生のすべてをくるってしまった、「栄光」に満ちた人生からー真に「外道」の人生へと、今、この時に


書かれていた、「内容」自体はいたってシンプル、そう、「1000年前ー今日で何があったか、安倍晴明の娘が、「同僚」とどんな非道を行ったか

ーーそして、その経緯とその後その一族が発見した「知恵」-いや、「知恵」というにはあまりにおぞましい技術


「骨の卵」-それは、今も脈々と受け継がれている、だが本当は「千年前の先祖の

大量の死と引き換えに作られた血塗られた臓物だった」


そして、「安倍晴明の娘」の一族から派生した「南雲一族」よりつくられた「封印された技術」

ーーそれをやりたくなった、そう、それが、「屋敷」の「メイド」たちである


あれが、、、したくなってしまった

もしこの出会いがなければ、ひょっとしたら救われていたのかもしれない、知れないが

ーー救いは永遠にきっかけを失った

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