第2話鬼造人間1

少し、紀蔵長谷という女の話をしよう

彼の両親は不仲だったーー理論的な父に感情的な母

そして兄よりできる妹

 父は母の愛が、長谷に行ってると思い皮肉を言われ、理不尽な目にもあったりした

母はすぐに焦りヒステリックになるのだが、それでも安請け合いをしていた

妹は妹で、少し意見を言えば反抗とみなされ悪口を言ってくる始末

 彼は、自分だってそんな悪い面がないとも言えないことを自覚していた

まぁ、変える気などゼロだったけどな

夜はいつだって些細なことで、父が切れ修羅場になる、ならない日もあったけども

 特に勉強のことになるとそれはもう、、、悔しくて眠れない日もあった

本は、そんな彼にとってーー家の出の現実を忘れることのできるいいものだった

父も機嫌がいいときはいい人なのだ

母も、妹もそうだった

 そして6歳のころ一人のお姉さんのところに預けられる

まぁ、いろいろやらかした、悪乗りした

「すいま~せん☆」けりが入った

そのあとお姉さんから愛用の札をもらうのだが、そのせいで生と死のハザマを軽めに見て☆

深刻に絶望したり、ラーメンうまかったりもして、、、気づけば

人間をやめていたーー後ついでに言うと並行世界移動していた

(帰れないこともないけどもな)いろいろあっていろいろ乗り越え元の世界の鬼の力、いや鬼になったそれぐらいまで行くと

はて、この世に絶対的な悪などあるのかしらんという思考になっていた

だから、歴史というどちらから見るかで、その人がその時どんな時期だったかで

評価が変わるものは、それは楽しかった

そして、中一のころ文学にはまり――気づけば国家文学者になっていた

彼は、彼の自宅の(和風建築)今のちゃぶ台でゆっくり読書できなかった

人が訪ねてきたのだ

あ、ちなみに地元の属州(この世界の)にちゃんと戻りました

「あの、国家なんちゃらさんなんですよね、お、、、俺は何もしてないんです

でも、みんなが、、みんなが」

肩をゆすられる

「お、落ち着いてください、それで溶けた時どういう状況だったんですか」

40代くらいの甚兵衛をきた、無精ひげの男だ

 20代半ばからとばくの常連で、今日は賭博の友人が見知らぬ女とともに来たのだという

「、、、はあ。それで」

「それで、俺まさかお前ーーそれ作り上げた人間じゃないよなぁっていったんです

そしたら二人がドロドロに溶けだして」

 ここらあたりで思い当たるものが一つあったのだが、確認してみる

「その時編何においがしませんでしたかーーまたは7日間何も食べてないとか」

「そ、そうです奴さん、すっかり細くなってて驚きましたから」

うなずく

「落ち着いて聞いてください、それはたぶん倉川系です」

 倉川系とは、日本で言うところの長谷雄草子

ただし、鬼(ただし元の世界の鬼ではない)が実在するここではーー鬼ではなく「赤妖」とよび

姿ももっとまがまがしくなってるが

倉川は、盤双六(ちぇすや将棋のようなもの)の名手であり

そんな彼に赤妖が賭けを持ち出してきたのだが、、、、



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