第2話

 次の日私はサトミちゃんのアパートの前にサトミちゃんと会った。明日は週末だから彼女はいつもより元気そうだ。

「チズちゃん、明日どっか行こっ?」

「どこかって?」

「買い物に行こう!」

 彼女はもう決めたように言い張った。私の意見が必要なさそうけど、私もお金そんなになくてもちょっとだけでも違う景色を見に行きたい。

「で、どこで買い物しようか?」

 私はとうきょうのことよくわからないけど、サトミちゃんは近くに住むから一緒にいればどこでも迷わないと思った。むしろ、道がわかる人と一緒にいれば、私も何となく東京の道をわかるようになるかもしらない。

 サトミちゃんは長い間考えっていた。あと何秒経ったら独り言も始まった。他の人が引くかも知らないけど、私も自分の部屋の中に何かを深く考えると意識なく声を出す。

 「あ、池袋はどう?」

 「池袋?」

 私は聞いたことあるけど、まだどういうところかはっきり分からなくて行くとは思ったことがない。

「そうだよぉ!渋谷とか新宿とかそんなに偉いじゃないけど、あるところにはオシャレな名のない服を売る店あるしカフェもいっぱいあるし、映画館もいくつかあるから少し一休みとしてちょうどいいところだと思う」

 私はその説明を聞くといいところだと納得できた。けれど、頭の奥には他のもっと立派なところいくつかあると思ってサトミちゃんはそんな有名なところの方へもっと行きたくないか、と思った。

「お台場とか横浜というところは聞いたことあるけど、そっちへ行きたくない?」

「お台場?横浜?いやいや、それは、なんていうか、恋人と一緒に行くところだと思う」

「そうか。お台場と横浜はデートのところだ。なるほど、いい勉強になった」

 私は雑誌でそんなところについて読んだけど初めて同い年の女子から説明してくれた。やっぱり、東京について知らないもの山ほどある。

 ちょうどあのところ、近所の公園を歩き過ごした。そこには先日と同じように彼がベンチに座って食べていた。

「またか?」

 私は急に声を出した。

「ん?何?」

 サトミちゃんが私の肩より公園に見つめた。

「昨日ねぇ、バスケット部の練習の試合で座った時、彼にぶつけてしまった。でも、謝ったと、彼はただスマホで『いいよ、別に』とかなんとか打ち込んだ見せただけだ。私の方が悪かったと知っているけど、少なくとも謝られる時、何も答えない方がよっぽど無礼じゃないか」

「あ、その人?その人を気にするな」

 サトミちゃんは何気なく笑った。

「あいつは喋らない人だよ。誰でも何も言わないからそんなに深く考えなくていい」

「どこまで偉そうな人か」

 考えるだけでぶんぶんと怒ってきた。

「シャイ――」

 私はもうサトミちゃんの話が聞こえない。気づく前に私の足がもう彼の方へ歩き出した。

「おい――、ちょっと待って!」

 後ろからサトミちゃんが私に呼んでいたけど、私はもう自分怒りが収まらなくて彼に正しい礼儀を教えると決めた。

 彼の足元にたどり着いた。彼は私に見上げて大きな笑顔を見せた。参った。綺麗すぎる。なんでそんなに綺麗な人がその態度が平気に取れるでしょうか。

 今回は彼はイヤホンを耳から外そうともしなかった。スマホを取り出して早くメモを打ち込んで画面を私が見えるように掲げた。

『おはよー』

「おはよーじゃねぇ!おはようございますとちゃんと口で言えぇ!」

 彼は黙ったまま少し可笑しい表情を作った。ゆっくりとスマホに戻ってまた何か打ち込んだ。

『もう一度ゆっくりに言ってください』

 私に取り出されたスマホがそう伝えた。

「はぁ?」

 この人は本当に頭が可笑しい。私の顔が真っ赤になった。バカにしている気がした。もうこの人と絶対に話そうとしない。何も言わずに私が彼を後にしてサトミちゃんに戻った。

「どうだった」

 私の顔でわかるはずだから答える必要はない、と思った。

「行こう」

 学校までサトミちゃんと一言でも交わしてない。機嫌悪くてせっかく新しい友達のサトミちゃんに余計なことを言いたくない。彼女も多分私の気持ちを察して頭を冷やすように時間をくれている気がした。


「明日、池袋に行こうって聞いた。楽しみぃ」

 ミサちゃんがサトミちゃんの隣に私の机に座った。もう昼休憩だ。

「他の人も誘ようか?」

 サトミちゃんが教室の奥にいる男性グループへ目をチラッと見た。

「男か?バカいうな!男と遊んだら男に誘われないと行かない」

「何それ?そのルールは聞いたことがない」

 私が素直に二人の女子に聞いた。その質問にミサちゃん笑った。

「ルールっていうか、乙女のプライド、かな」

 彼女は片手で長い髪をさっと払った。

 この乙女のプライドの言葉に気になった。小さな町からここに引っ越したばかりなので、聞かれたらもちろん乙女だと答えるけど、前に住んでいるところは同い年男性ほとんどいないから乙女のことはしょうがないものだ。プライドなんては関係ない。だから、東京には乙女という人は少ないと思った。いや、違う。本当に少ないというより恥ずかしくて堂々と乙女だよと言う人が少ないと思った。けれど、今、目の前に立ち上がったミサちゃんがプライドあるまで言い出した。

 ふいに彼の顔が思い出した。彼の綺麗さか自分の怒りかわからないけど、顔は真っ赤になってしまった。そうだよ。私もプライドあるよ。

「ねぇ、サトミちゃん、ダイキくんを誘ってみていい?」

 某の男性じゃなくダイキくんがきっと正しい礼儀がわかって私のプライドを傷つけない。


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