3050 最初の一歩

「フフフ…おっぱいが脳みそ…」


「なんか最近の天上様、よく笑っていますな。」


「て、天上さん!」


 ふん、普段からうちのことを無視した罰だ!


「千月さんのバストは確かに羨ましいですね…」


「はっ!あたしの方がちょうどいいよ、あんなに大きいとバランス崩れちゃうわ。」


「嚮後さんのスタイルにも凄く羨ましいですよ…」


「み、みんな!なんの話をしてるんですか!!」


 うちらはその後、いっぱい喋った、楽しかった、これはあの研究所にいる人員以外、初めての人間らしい会話だ、ああ、ずっと続ければいいのに…


 まあメメちゃんもいつでも使えるわけではないしな、あんなロボット、発見されたら大騒動になるぞ。


 そういうわけでうちらは、また家の中に戻った。



「それではいーちゃん、今後はいつでも声を出せるように設定しました、いーちゃんの周波数とのリンク状態はそのまま残っています、メメちゃんが全機能停止しない限り、いつでも。」


 いい事を聞いたな、まあ無闇に声を出すわけにも行かない。


「では千月様、そろそろ出発しませんかね?ここに居る意味もなくなりましたようですな?」


「そういえばちーちゃん、これからどうする?もし台南へ行くつもりなら…出来ればオヤジと会いたくないけどね。」


「台南はいつか行くことになりますね、しかし今じゃないわ。」


「では?」


「みんな、考えてみましょうか、今の時期、私達の位置では、一番やりやすい場所はどこです?」


「……彰化か?」


「天上さん正解!」


「ま、まさか!?千月様!」


「千月、本気か?彰化前線だけでも十万程の部隊が置いているぞ?」


「流石にそれは自殺行為ではありませんか!?防衛ならともかく、攻撃をするなんて!」


「ちーちゃん、あの時のあたしが参加したいのもあくまで防衛戦よ?攻撃だなんて、天上が居ても、独りではせいぜい千人相手が限界でしょう?」


「嚮後、それは過大評価だ、確かに錬火のような我と互角以上の力を持っている人間は少ない、だがそれは1対1の話だ、低位能力者なら精々百人かそれ以下、嚮後程の相手なら十人も来るとまず勝てないだろ。」


「錬火さんはそんなに強いのですか?」


「ああ、我は確かに本気を出していない、だがあいつだって同じだ、お互い殺すつもりではないしな、本気ではないことを隠すつもりらしいが、我の目を誤魔化すことはできない、本気で戦ったら…、恐らく我の勝ちだが、大怪我を負わせるだろうな。」


「そんなに…、道理でその人たちが現れたあと、状況は一気に悪化したのですね?」


「そういうことだ。」


「セントは?」


「千月様、自分の事を数に入れてはいけませんぞ?知っての通り防御力なら千人が来ても守り通す自信があります、しかし攻撃力では…恐らくこの中で千月様しか勝てませんぞ?」


 ああ、素手だしな、確かに錬火程の超能力者相手なら通用しないだろう。


「嚮後さんは?」


「低位能力者なら天上と同じぐらいじゃないかな?ただあたしの魔法は範囲攻撃には向いているけど、1対1なら…ちーちゃんすら負けたんじゃない?」


 また魔法か!絶対春ねえの漫画の影響だろう!


「では…ナナメさんは?」


「私は…あの子の話になりますが、大軍相手ならよくわかりませんが、1対1ならお兄様にも負けません。」


「なんですと!?そんな自信…どこから…」


「実は私、よく廃墟でお兄様と手合わせをしているのです、こんなご時勢ですから、自分の身を守る術ぐらい習得したいのです。」


「なっ…本当ですか天上様!?」


「ああ、廃墟にいる魔物は厄介だが、いい訓練だった、そして勝負についでは、お互い本気ではないが、何度も引き分けで終わった。」


「なんと…自分は全然知りませんでした…。」


「それもそうだ、ロボットだぞ?他人に知らされては大事だ。」


「確かにそうですな。」


 つまり、この中で一番弱いのはやはり千月か…、まあこれからも司令塔になるはずだし、別にいいけどな。


「えー、実は私、一番の問題は、超能力者って言っても、どれぐらいの強さなのかよくわかりませんが…」


 ああ、だってうちらはまだ本当に敵対した超能力者と戦う経験はないからな、錬火も所詮遠くで見ただけだし、嚮後には確かに勝ったが、それは本気ではないだろう、本気で殺すつもりじゃないし、逆にこっちは全力投球でやっと勝てる相手だぞ?


「千月様、それはやはり自分の身で確かめるしかありませんな。」


「千月さん、この子達は?」


「フフフ…ナナメ、下手をすると、この中でもっとも強いのは、こいつらかもしれん。」


「ええ!?お兄様よりも?」


「これからの成長次第だな、今はまだ何も言えん。」


「そういえば千月様、佐方様と佑芳様の能力は、まだよくわかりませんな。」


「あたしも興味があるね。」


「えっと…いーちゃんの話によると、なんか物理干渉能力らしいですよ?」


「……千月様、聞き間違えかもしれませんが…いまなんと?」


「物理干渉能力。」


「物理干渉っていうのは、全部?」


「嚮後さん、実はまだよくわかりません、ただいーちゃんの話では、ほぼ全部らしい、ただやり方はよくわからないだけですね。」


「……つまり…地球そのもの消え去ることも…」


「流石にそれ程まではいけませんよ?多分…」


「多分って…」


 そして千月は、佐佑の能力についで、わかる範囲で全部喋った。



「出鱈目よ…こんなの、太陽まで作り出せるなんて…」


「フフフ…残念だったな嚮後、あの時の隕石が見ると、お前多分気絶するぞ?」


「佑芳様と佐方様は…知識が充実されれば、台湾制覇はおろか、世界征服も…」


「うん、しかし弱点もさっき言った通りですよ?そんなことしたらすぐ気絶しちゃいます、セントと天上さんも見たでしょう?それ以上強力な能力を使ったら、死んちゃうかも知れませんよ?」


「…ああ、確かに今はまだ無理だな、訓練次第だ。」


「しかし千月様、そんな能力があれば、氷人の城壁も消え去ることが…」


「駄目よ?さっき言ったこと、忘れましたの?」


「そ、そうですね、そんなことをすると…」


「ああ、そんな結果、断じて許さん。」


「つまり、千月と同じだよね?力が出す程、反動も大きくなるね。」


「そうですね、そういえば嚮後さん、皆さんも、超能力を使うには、何の代償もいらないのですか?」


「ないな、強いていえば、体力の消耗か?」


 いやー普通に運動しても消耗してるし、つまりないな。


「自分では、肌にシワが出るだけですな、しかし一日も休んたら回復しますぞ!」


 なにそれ超どうでもいい!


「あたしは…MPっという魔力残量が…」


 はい、こいつ無視決定。


「超能力ではありませんが、あの子は所詮機械ですので、劣化と燃料問題ですね。」


 これは多分この中で一番面倒かも。


「変ですね…。」


『まあそんなことを考えても意味がないだろう、そもそも超能力自体が変だし。』


「それもそうですね。」


「しかしちーちゃん、超能力の話を聞いてどうするの?まさかアンタ、ここにいる7人だけで十万百万人と相手をするつもり?」


「そうですけど?」


「「「はあ!?」」」


「な、なんですか!?びっくりした…」


「フフフ…普通ならありえないが、お前、策があるのか?」


「…今はまだないですけど、とりあえず行きましょうか?」


「どこへ?」


「彰化よ。」


「…いいだろう、ただし、一ついいか?」


「はい?」


「我を除き、ここにいる人間はみな、お前の志に惹かれたものだ、だがそれ相応の力があるかどうかは、やはり布袋と雲林での一戦だけではもの足りない、所詮戦争ごっこと防御戦だ、本物の力を示せ。」


「そうですね、ではどうすればいいのでしょうか?」


「嚮後、お前と関わりがあることだ、説明してくれ。」


「…あたしと?もしかして、内乱のこと?」


「そうだ。」


「内乱?」


「ええ、前にも言ったよね、台南の独立はたったの3年前の事。」


「そうですね、嚮後さんと春ねえが漫画とぬいぐるみをめぐる争いが原因で、前から聞きました。」


「ち、違う!違う違う!」


「え?そう聞きましたけど?」


「誰から聞いたのよ!」


「漫画とぬいぐるみはお二人から聞いたのですけど?」


「違う!その前の!」


「原因はセントからですけど?」


「アンタ!」


「て、天上様も一緒ではないですか!自分はな…」


「はあ…、セント、死ぬなら独りで死ね、我を巻き込むな、フフフ…」


「そ、そんな!千月様!」


「アイスプリズン!」


 ぬお!?セントが一瞬で氷漬けた!すげー!


「わーー!綺麗な彫像が出来ましたね!」


 女って、怖いな、千月も嚮後も、これからは怒らせないようにしよう。


 うちは…そんなんじゃないよな?多分…。

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