2033 セントラルの力

「皆様の戦闘力はかなりのものだと伺っています、天上様の眼鏡にもかなう力ならば、こんな野良猫、恐れるにも足りません!」


 何いってんだよ!超怖いよ!20メートルくらいあるのだぞ!?普通の猫でも十分怖いのに、こんなの怖くないというのか!?


「ちょうど戦闘服の慣らしにはぴったりの相手ですね。」


「戦闘服!?」


「ええ、佐方様と佑芳様の服装です。」


「これが…戦闘服なの!?どうみても普通の洋服ですが…」


「はっはっはっ!こんなご時勢、超能力者専用の洋服屋が結構大繁盛ですよ。」


 にゃーーー!!


『ヒィィィーーー!』


 帰りたいよ!早く逃げてくれよ!


「お、お姉様!後ろにも数匹付いて来ましたわ!」


 な…なんだと!?一匹だけじゃないのか!


「はっはっはっ、三匹も居るようですね、これは少々厳しいですね。」


 少々だけかよ!?うち気絶寸前だぞ!


 あの三匹、うちらと200メートル程離れた距離で止まって、うちらのことを観察し、威嚇してる。


「よし、さーちゃん、大きな魚の形の石、作れる?」


「わかんない、やってみる。」


 佐方は前に出し猫の前に魚形の石を作り出した。


「出来た!」


 ……何の反応もなかった。


「フフフ…精神攻撃無効か。」


『んな訳あるかボケーー!!どこが精神攻撃だよ!!猫を馬鹿にするな!!』


「はっはっはっ、佐方様の超能力すごいですね、物体の創造ですか?」


「そんなのはあと!ゆうちゃん、雷を出して、あの三匹の真ん中に降ろして!」


「お、お姉様、そんなのできませんわ。」


 なに!?干渉不可能か?それとも方法がわからないのか?


「参ったね、じゃあ私からいくわ、注意を引き付けるから、ゆうちゃんとさーちゃんは隙きを見て投げるものを投げてね。」


「千月様、私はどうすればいいでしょうか?」


「好きにして、あなたの能力まだわからないし。」


「では勝手に攻撃しますぞ!」


「ええ……え?」


 …え?


「ふええーー!?」


 セントが…巨大化したぁぁーー!!



「はっはっはっ、では参りますぞ!ふん!」


 一体どういう原理かよ!?体が巨大化するだけならまだいいが、なぜか服までも体と合わせて巨大化した!!


 セントは10メートル程に巨大化し、猫達に向けて走た、しかし大きさではやはり猫の方が上だ、巨大化としても体格差は歴然だ。


 猫もセントに向けて飛びかかった!


「ふん!」


 キンンンンンッーー!


 キキキキンンンーー!


 連続の猫パンチだ、しかし全部効かない、この音は、まさか!


「はっはっはっ、私の体は巨大化だけでなく、鋼鉄化も出来るのですぞ!」


 そんなアホな…、服までも鋼鉄化…つまり、鉄壁…。


「かっけーー!」


「セント様かっこいいですわ!」


「ふん!」


 おう?綺麗なフックパンチ!正面にいる猫の右頬に直撃!


「ドリルアッパー!!」


 わお!続いて下からのアッパー!猫の下顎に炸裂!


 半端ない威力!そして速度!千月程のスピードはないが、それでもかなりのものだ!


 猫が、大きく宙に浮いた、しかしやはり猫は猫だ、難なく着地した、だが着地した瞬間素早く逃げた。


 すごいぞ!体格差があっても全然気にならないようだ。


 ニャーーーーー!!


 残りの二匹が一斉に飛びかかった、しかし一切効かない、文字通りの鉄壁だ!


「ふん!はあっ!ふんふん!!」


 おお、連続コンボ!二匹目も逃げ出したぞ!


 残り一匹!って、うちらに向いてきた!!


 ヤバイ、セントは硬いが、やはりスピードでは猫に遠く及ばない、やばい!!



《イブ.システム、身体機能サポートプログラム、起動しました、出力10%》



 ち、千月!?


「子猫ちゃん、私が相手だよ!」


 千月も猫に向けて走った、やはり凄まじい速度だ。


 でも!そんなのやだぁーー!!


「ねえちゃんまたやった!」


「お姉様、いけません!」


『千月、お願いだからやめて!うち、猫が苦手なんだよ!やめて!近づかないで!』


 って聞いてねえ!!


 猫の高速連続爪パンチ!って、全部避けた!


「ぬお!?千月様、まるで青い彗星のように、動き一つ一つが綺麗な青い軌道を描きましたぞ!」


 変なあだ名を付けるな!!


 しかしこれじゃ埒があかない、避ける事ができても攻撃力がまるでないぞ!


 ってなに分析しるんだうちは!


『千月!一生のお願いだから、は、早く離れてよ!』


「さーちゃん石を投げて!」


 って完全無視か!!


「え?お姉様なんか言いましたような…」


 あっちゃー、こんな加速状態中では、声も全部高速化されたか、多分外で聞いたのは甲高い雑音しかないぞ。


「ふん!」


 セントが駆けつけた!助けてくれ!


「ふん!ふん!」


 また連続コンボが出た、猫の側面から腹にアタック!


 この隙きで、千月は大きく後退した、よかった!!


「さーちゃん、石をいっぱい投げて、あいつの顔面に!」


「おう!」


 そして無数の小石が、まるで雨のように、猫の顔面に浴びた。


 ニャーーーー!


『ひぃぃぃーー!』


「いーちゃん……」


 あ、逃げた、よかった!本当によかった!


「まさかいーちゃんが…ねえ…」


『な、なによ、文句ある!?』


「いつも乱暴で男らしい言葉遣いをしたいーちゃんも、こんな可愛い女の子みたいな一面もあるんですね、親近感湧いてきました。」


『てめえ!うちを愚弄する気か!』


「とんでもございません、しかしまさか、猫が怖がっているねえ、こんなに可愛いのに。」


『猫のどこが可愛いのだ!?すげー恐ろしいじゃねえか!』


「フフフ…」


 クソー!これじゃ猫の事は一生こいつの笑いネタにされるのだぞ!

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