1012 変異した台湾
それから3日後。
うちらは相変わらず、この何もない部屋にいる。
今は、午前0時、ちょうど4日目に入った。
千月は、まだ寝ていない、寝台に転がっている。
『おまえ、昼寝すぎ。』
「だって仕方ないじゃないですか!やることないし超暇ですよ、美味いキビナゴがなかったら、私発狂しますよ。」
『さすがに毎日も食うと飽きるだろう?』
色んな野菜と肉、あと飯ももちろんあるが、キビナゴだけが毎食付いてる、特産区だからといって、さすがに毎食はないだろう?
「そんなことありません、私いくらでも食べますよ!」
うちはもう飽きたぞ。
千月のやつ、イブとリンクしたあと、とんでもない大食になってのは、イブの稼働に必要な生体エネルギーは大量に消費することからだろう。
「ねえ、いーちゃん、一体いつまで待ってればいいですの?」
『ああ、さすがに遅すぎるな、どういうことだろう?』
氷人の方が接触してこない、あの兵器程の技術があるし、多分すぐにも迎えに来ると思うのだが、流石に4日も…
「そういえばどうしてこんなことをするんですかね?氷人って。」
ああ、確かに変だ。
千月が言うのは、湧にいから聞いた話だろう。
ここ数日、飯が送ってくる人と湧にい以外は、誰も入ったことはない。
湧にいの質問には記憶喪失に徹して全部スルーしたが、何故かうちらの質問には何でも答えてくれた。
台湾の現状についで、要約するとこうだ。
20年前、氷人がいきなり太平洋から台湾の台東に突入し、すぐに訳がわからない隔離空間によって隔離された。
その後、隔離空間内すべての目標に対し、化け物じみたビーム砲を発射した。
その目標とは、全ての電子と電気、蒸気など、あらゆる通電、発電、発熱の機電製品。
あと一切の熱兵器、つまり火器、銃か大砲はおろか、弾丸か火薬までも全部焼き尽くした。
ぶっちゃけいうと、ほぼ全ての近代文明の科学産物は全部綺麗に破壊された。
攻撃範囲は、言うまでもないだろう。
ただし例外もある、例えば古いタイプライター、ミシンなど、稼働原理は電子か電気以外の単純な機械構造物は攻撃されない。
それと冷兵器も攻撃対象外、だから斧か剣か弓などの武器しか使えない。
変な話だけど、何故かライターが普通に使える。
他にもあるが、とにかく今の台湾は、実質的に人類の16世紀から18世紀くらいの文明レベルに後退した、近代文明製品がほぼ使えないが、知識だけは現代のもの、非常に異質な世界だ。
もっと変な話がある、あのビームは何故か極力生き物を避けている、人間とあらゆる生物、植物までも、避けられない場合を除き、極力で殺生を避けている。
あと隔離空間についでだが、どうやらこの直径500km内の空間が、左へ行くと右から戻ってくる、つまり船で台湾の左から中国方向へ移動したら、着いたのは台湾の右側になってる、外側の状況とまったくの逆だ。
まるで地球から切り離され、この空間内は小さな世界になり、そしてこの世界は台湾という陸地しかなかったような
一体どうしてこんなことをするんだ?和平と平穏を愛した氷人は一体何が起こった?
しかしビームね、まあレーザーよりマシだろう、確かにビームに近いものだ。
それにしても千月のやつ、マジで一目だけで8割が当たった、この台湾は本当に戦争状態だ、しかももう10年以上続いたらしい。
ドンンンンンーーーー
「ぎゃあ!」
な、何事?いきなりなんだ!?
「じ、地震ですか?」
いや、何か重いものが落ちて来た音だ、しかも近い。
……この音は、なんだ?
機械の稼働音、戦車みたいな音だ。
どんどん、近づいてくる。
湧にいの話が本当だったら、こんな動力音、多分地球人のものではないだろう。
『千月、多分、迎えが来たぞ。』
そう言った途端、部屋の扉は突然突き開けされ、湧にいが飛び込んて来た。
「千月!君は一体何者だ!!」
「ええ?」
「なぜ氷人が君を探しに来るんだ!?」
「ふええーー!?」
やっと来たか!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます