0008 衝撃的な事実
「ねえ、さっき人間では入れないって言いましたね?では私はどうやって入れるんです?私も隔離対象でしょう?」
「そのためのイブです。」
はあ?うちと関係あるのか?
「実は入れる方法はあるのです、しかも実験済みです、ただ危険性があります。」
危険性があるのかよ!
「実験とは?」
「国際死刑囚を引き取り、ある元素を含めたチップを、その人の腕の中に埋め込んた、そしてさっきの船首のように、その人は船首に立たせて、隔離空間に進入した、が…」
元素?つまりうちの集積回路の構成物質には、その元素があるのか?
「進入自体は成功したが、しかし船首が戻った時、そこにいる人は、チップを埋め込んた腕は断たされ、そして胸部には22センチの穴を空き、切断面は焼け焦がれ、死亡しました、あと船首もそのチップを置いているが、その船首は穴だらけになりました、もちろんチップも破壊されました。」
22センチ!?もしかして、あの武器か?
なるほど、これでどうしてこんな退役艦を選んたのもわかった、どうでもいいけど。
しかし妙だ、チップは破壊されたのに、どうして出られるのか?
「……攻撃された……」
「そうです、推測では、あれは一種の自動迎撃光学兵器のようです、推定弾速は50km/s、ある程度の追尾性能が持ち、しかも複数座いるか、或いは連射できるか。」
な…ありえない、うちの知るあの武器では、ここまでの性能はないはずだ。
「…………」
「この実験はもちろん数回行いました、しかしどんな方法でもあの兵器を防げない、タングステンか、ダイヤモンドか、とにかく既知のどんな材質でも一瞬で撃ち抜かれた、さらに光学迷彩か電子系ステルスも、熱誘導も、光学反射ミラーも、とにかくなにもかも通用しません。」
「…………」
「秒速50km、それは音速の150倍もあります、恐るべき技術です、あんな弾速、連射、さらに追尾、そして貫通力、人間では、いや、地球上多分全ての物質は、それを防げる事なんて不可能でしょう。」
こんなの危険だけじゃ済まないないだろう!?自殺だろうが!
「…………」
「しかし、今の少尉なら、或いは…」
「…………」
うん?千月はどうした?急に黙り込んて…もしかして怒った?
「その元素は氷人からもたらされたもので、地球にはないものです、数が少ない上、色んな実験に使われたので、今は、イブの構成物質と、君達の移動手段になる自律ボートに使うのが、最後になります、だから少尉は…」
なるほど、大軍で雪崩込むこともできないわけか。
つまり、うちらが最後の希望か?
少数精鋭のつもりか、だからこんな人間を強化する方法を持ち出すんだな。
「なるほど、これでやっと、全部分かったわ。」
千月?本当に怒ったようだ。
いや普通怒るだろうな、自殺を強要されたみたいなことだし。
「どうして私といーちゃんを選んたか、これで全部分かった。」
え?千月?口調変わってんぞ?
「上の連中の算段はこうよ、父さんは上の連中にとっては助っ人になるが、脅威にもなる、多分この任務は元々父さんが着くものでしょう、しかし父さんは死んたから、今度は血を引いた私に目を付けた、私にも父さんの能力を引継げたかもしれないって。」
ええ?千月?ちょ、ちょっと……。
「私が失敗し死んたら、上の連中にとっての不安要素を排除することができる、そして、もし成功したら、父さんの残された血筋は有用と見なし、私が戻った後、新人類、いや、兵器を産み出せる孕み袋にされてしまうのでしょう。」
…千月…なんか、ちょっと怖い……。
「…………」
「しかし上の連中は確証がない、私は本当に普通じゃないかどうかを、だから私を選んた、私に賭けた、この任務はその実験も兼ねるでしょう、うまくいけば、台湾に眠っている技術、私という新人類の種、さらに台湾を解放した功績と人々の賛辞、何もかも手に入れる。」
「…………」
「そしていーちゃんも、私とほぼ同じ扱いになるでしょう。」
確かにそうだ、うちも、成功したら量産し、戦争の道具になるだろう、多分人格も含めてな。
失敗したら破棄、まあどうせ失敗は多分破壊されたことになるだろうし、こんな世界最強のコンピューター、しかもうちの人格という自律システムも付いてる、さらにうちは氷人、何かの間違いを起こしたら、地球人にとっても脅威になる。
それにうちは普通の方法では排除できない、国連の理事国達と氷人から保護してるからだ、この方法で破壊すれば、誰も文句は言えない、合法的な任務だからだ。
うちと千月はほぼ同じ立場だ、成功したら得られるものが多い、失敗してもまったくの損でもない、上の連中にとってな。
ああ、どうして、どうして考えは及ばないだろうか?
しかし、上って言って、一体なんの組織?
あと千月の父親のことも気になるが…今は聞ける雰囲気じゃないな。
「…………」
「図星のようね、その反応から見るに、あなたは“ただの研究員”ではないでしょう?まあこの際どうでもいいけど。」
「…………」
「どうして…いきなり…私に少尉の階級をくれたか、どうして…軍人の身分をくれたのか、これも…やっとわかった。」
ああ、これではもう、逃げ道すら封じられた、多分、最初から、全部仕組まれたことだ。
「ねえ…この二週間で…もう十分…分かったでしょう?私…なんの特殊能力もないって、私は…父さんから引継げたものは、これっぽっちも…ない…て、上はどうして、あきらめないの…?」
ち、千月…まさか…泣いてるの?
「…………」
「ねえ、黙ってないて、なんか言ってよ!」
「…………」
「こんなの、こんなの……」
千月が…泣いた…。
「こんなのただの人殺しよ!!」
大きく叫んた、魂の号泣。
うちの、多分赤毛も、心の底まで響いたのだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます