エピローグ

「なぁ兄貴」


「何だい理久」


「いつだったか言ったよな。俺は野暮じゃないって」


「言ったね」


「…じゃあ何で俺はお前らのデートに付き合わされてるんだよ!?」


「しょうがないだろ。僕たちは三人で一つなんだから」


「いやそういう問題じゃねーだろ!?」


「大丈夫大丈夫。優姫もそれがいいって言ってたから」


「いや、だから!?…はぁっ、何だよお前ら。せっかく人が気を利かせてやるって言ってんのに…。ってか、お前らそれでいいのかよ」


「何が?」


「…大丈夫かこいつら」


「快人~、理久~!」


「やっと来たか。おせーぞ」


「え、あ。ごめんね?次からはもっと早く来るから…。」


「理久、時間ぴったりなのに、その言い方はないんじゃない?」


「あ~はいはい」


「まったく…。それじゃ優姫、行こうか」


「はぐれるんじゃねーぞ」


「大丈夫だよ。僕がちゃんと、優姫を引っ張っていくから」


「うん!それじゃ行こ、二人とも!」


 ***


「まさか最後にこの場所に来ることになるとはな」


「だね。ねぇ優姫、ここでよかったの?」


「うん。私、ここから三人で見る夕日が好きなの」


「…俺、やっぱり邪魔なんじゃね?」


「ううん、そんなことない。理久にも一緒にいてほしい」


「そうかい。…全く、お前も兄貴みてーに言い出したら聞かねーな」


「ねぇねぇ、二人はいつからここで夕陽を眺めてたの?」


「いつだったかな?」


「さぁな。別にいつからでもいいだろ」


「むー、いいじゃん。思い出してよー」


「はは、でもそうだね。きっとこの場所から見る景色も、僕たちの関係も、きっとこの先変わらない」


「全くだ。昔から何も変わってないな」


「けど、私たちはそれでいいんだよ。私の前にはいつだって二人がいて、私を引っ張ってくれる。私はそれがいい」


「…ったく。なぁ、お前ら本当に恋人同士なんだよな?」


「改めて言われると恥ずかしいけど、そうだね」


「わっかんねーなー。俺が知ってる恋人ってのはもっとこう、二人で過ごすもんじゃねーの?」


「確かに私の恋人は快人だけど、理久だって全然好きだよ?」


「アホかこの尻軽女」


「快人~」


「よしよし。…でも優姫、そういうのはさすがに僕も許せないな」


「あ、ごめんね。私にとっての一番は快人だから、ね?」


「お前らそういう話は二人でしろや。聞いてるこっちがむず痒いわ」


 夕陽の奇麗な公園で、笑いあう三人。


 僕達の変わらない笑顔がそこにあった。

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夕陽の見える公園で タクト @takutoallfiction

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