第5話 別れの歌

 そもそもあんたがたには、どうして黒い森で拾われた狼の子供風情が、要するにこの俺が、第三帝国だのレジスタンスだのについて、こんなにいろいろと知ってるのか理解できないかもしれない。

 だって俺なんて、あんたらから見たらしょせん、ただの毛むくじゃらのケダモノだからさ。

 だが考えてもみてくれ。

 あんたたちにとっての一年は、人間としての長い一生を彩る僅かな一シーズンに過ぎないだろう。こんなひどい戦争なんかなければ、あんたたちは当たり前のように明日がやってくると信じてる。それどころか、来年や再来年や、十年後の未来、まだ生まれてもいない子供や、そのまた孫を想像することだって、あんたたちには容易いことだ。

 だけど、俺たちはさ。あんたらと違って、寿命が短いから。

 時間の流れの速さが違うんだ。あんたたちにとっては、次の誕生日がきたらまたひとつ歳を重ねるだけなんだろうけど、俺らはあっという間におとなにならなきゃいけない。生まれてからたった数日で赤ん坊が子供になり、子供はすぐにおとなたちの序列に加わる。

 俺たちの一年は、あんたたちにとっての十年か、それよりもっと短いんだ。

 だから、あらゆることを一瞬で学ばなくてはならない。記憶して、理解して、自分のものにしなけりゃあ生き延びられない。

 俺がカタリナに拾われたとき、俺は彼女が片手で抱きかかえられるくらい小さな子供だった。あれから三年経って、俺はおとなになった。図体がでかくなっただけじゃない。自分の群れが殺され尽くした後、カタリナだけが俺の家族になった。その、ただひとりの家族を守り、ふたりだけの小さな群れを維持するために、俺は人間たちのことを一つ残らず学び、狼だけの群れでは知り得ないようなことも全て、この脳味噌とこの体に叩き込んだんだ。

 人間だって、三十年分の知識と経験があれば立派な兵隊になれるだろう。俺にとっての三年は、それと同じだけの価値と意味があったんだ。

 俺はレジスタンスとして生きた。それしかなかったなんて言うつもりは、今はもうない。あの頃の俺は、カタリナの相棒として、いや、彼女を俺のリーダーとして、彼女と一緒に戦えるのが楽しかったのだ。


「じゃあ、行こうか、オオカミさん」

 ああ、いいよ。

「これが最期になるかもしれない。あたしたち、死ぬかも」

 ああ、いいよ。

 俺は尾を左右に力強く振って、彼女にそう伝えた。

 彼女は満足げに、それでいて少し申し訳なさそうに微笑んでから、人間の仲間を振り返って言った。

「準備はできたわ、エーリッヒ」

「俺はもうエーリッヒじゃない。クリストルだ。君はヴォルフガング」

 奇妙に思えるくらい落ち着き払った態度で、男は偽名を口にした。

「こっちは赤ずきんと猟師と狼が組んでるんだ。けっこう強いさ」

「そうね」

 二人が目を見返し合って笑うのを、俺は黙って見上げていた。

 俺たちはもともと獣。獲物を殺すか、それとも自分が死ぬかの二者択一しかない世界を生きている。その絶対的な法則に従って、俺たちはこれから、最後の狩りを始めるのだ。


 俺たちは、レジスタンスの仲間が列車脱線計画の時に強奪したベンツに乗り込んだ。総統専用車両の護衛のために、鉄道網に沿って並走していたうちの一台だ。

 そのトランクには、軍用衛生犬に付き物の応急処置キットや医薬品のほか、ベルリン近郊から『狼の巣』に招集されている兵士たちへの手紙の詰まった箱、安物の煙草や日用品も押込められている。手紙の類はほとんどが本物だった……ベルリンからワルシャワへ配達されようとしていたはずの郵便物を、ちょいと横取りさせてもらったのだ。

 チョビ髭の周囲を固めている親衛隊の連中は、実に注意深く、警戒を怠らない。何より、あの小男への忠誠心で凝り固まっている。

 そんな奴らを欺いて懐に飛び込むには、可能な限り本物ばかりを並べ立てて、その後ろの後ろにひとかけらの策略を隠すしかないのだ。

 カタリナが性別を偽ってまでヒトラー・ユーゲントの衣装を選んだのも同じ理由だ。ナチスには少女の軍隊組織もあるにはあったが、それはあくまで後方支援を名目としており、女性は老いも若きも、兵器の製作や単純労働に勤しむか、純粋な第三帝国国民を生み育てるための繁殖道具としか見なされていなかった。

 しかし、少年部隊は比較的早い段階から戦意高揚やナチス党の宣伝に頻繁に使われていた。襟つきの半袖シャツに半ズボンというお定まりの服装が、実は支給された制服ではなく、子供たちの家族が自前で用意しなくてはならないものだったことも、カタリナには都合が良かった。シャツ、ズボン、スカーフ、腕章、帽子など、自らをヒトラー・ユーゲントらしく見せるための小道具は、全て寄せ集めの有り合わせであっても疑われる可能性が低かったのだ。

 エーリッヒの方はもう少し苦労したようだが、当日までには、袖丈だの帽子の頭まわりだの、細かなところまで彼にぴったりの陸軍の制服を手に入れていた。自分に似た背格好のナチ野郎を探すだけでも面倒なのに、衣服を汚さずに上手に殺すっていうのは、実際なかなか骨の折れる作業だったろうと思うよ。

 もちろん、俺もナチのワン公になりきらなきゃならなかった。

「ごめんね、オオカミさん。こんなの着けたくないだろうけど、我慢してね」

 カタリナに優しく言われたら、俺はおとなしくされるがままになっちまう。

 俺は首輪と引き綱を着けられただけでなく、左右にやたらとポケットのついた犬用の服を着せられた。窮屈ではなかったが鬱陶しかった。そもそも俺たちは服を着る必要も習慣もなかったし、何より、このなめし革のジャケットの前の持ち主……これを着ていた犬のにおいがまだ強く残っていたからだ。

 それでも俺は我慢した。これまでたくさん見てきた、ドイツの軍用犬たちそっくりに振る舞うことに集中した。カタリナの横にぴったりと寄り添い、決して唸ったり牙を見せたりはせず、ナチ野郎どもに頭を撫でられても軽く尾を左右に振るだけでやり過ごした。奴らの指を食いちぎってやりたい衝動を抑えるのには苦労したが。

 これらの手の込んだ扮装と芝居、あとはあのいけすかない偽造屋の親父が作った書類や身分証のおかげで、幹線道路や鉄道網の周辺に張り巡らされたドイツ軍のいくつもの検問所を、俺たちの乗った黒塗りのベンツはすいすいと通り抜けることができた。命令書や所属や上官の名前すらでっち上げだったのに、現場では書類の形式さえきちんとしていは疑われなかった。というより、いちいち確認している暇もなかったのだろう。ちょうどその頃、スターリン率いるソ連兵は勢いを増し、東部戦線は拡大の一途をたどっていて、ドイツ中から戦力がかき集められていたからだ。

「我々は衛生兵で、この衛生犬のハンドラーであります。総統大本営の警備をしている同胞の治療と、前線における負傷兵の保護を命令されております。必要な医薬品はトランクに入っております」

 厳めしい顔でエーリッヒが言うと、馬鹿な連中はろくに車内を調べもせずに検問を通過させてくれたものだ。彼のいかにも生真面目そうで、なおかつ整った顔立ちは、見る者を自然と信用させる。

 それでも一度だけ、どきりとさせられる出来事があった。

 検問の前に一列に並んだトラックや一般車両の間を、親衛隊の若い将校が歩き回っていて、書類を確認するために俺たちの車の前で止まった。

「身分証を拝見します」

「どうぞ」

 エーリッヒ……いや、ドイツ陸軍軍曹クリストル・シュタイヒは、車の窓越しに革張りのケースに入った、偽造の身分証を提示した。

「ありがとうございます、軍曹」

 親衛隊員は疑いもなく身分証を返すと、後部座席のカタリナに目を移した。

「君も」

「はい」

 カタリナが差し出したのは、軍用衛生犬の……すなわち俺の証明書だった。ヒトラー・ユーゲントには正式な身分証明書というものはなかったから。

「君、青少年団所属の者が、なぜ上級兵士と一緒にいるのか説明してもらえるか」

  親衛隊からの詰問には、カタリナはあらかじめ用意してた答えを口にするだけでよかった。

「私はヴォルフガング・リーベル二世です。父、リーベル軍曹から軍用犬の扱いを学びました。シュタイヒ軍曹は父のパートナーで、父亡き後に私とこの犬を抜擢して下さいました。愛する祖国と偉大なる総統閣下のために尽くすのに年齢は関係ありません。私は父の名誉にかけて、ソヴィエト兵と戦いたいのです」

 いかにも優等生らしい物言いに、若い将校は笑みを浮かべて軽く頷いた。

「実にいい心構えだ。父上も喜んでおられるだろう」

  彼は一通り書類に視線を走らせただけで、内容を精査しようともしなかった。カタリナの話を頭から信じ込んだのか、それともひっきりなしに押し寄せてくる兵士たちの扱いに飽き飽きしていたのか、あっさりと軍用犬関連の書類を返し、鉄とコンクリートで出来たゲートを開けた。

「通過を許可する。頑張れよ、新兵」

 彼はけっきょく、一度も俺のことを見なかった。座席の間で踞っている獣が、犬なのか猫なのかさえ気にしていないようだった。

 かくして、俺たちは総統大本営『狼の巣』まで辿り着いたのだ。


 それは実際、驚嘆すべき建造物だった。

 分厚いコンクリートの壁で覆われたドームは、どんな空爆でもびくともしないほど堅牢に作られていた。

 内部は複雑な迷路のようになっていて、その入り組んだ廊下の両側の壁そのものが、建物全体を支える柱としても機能していた。蜜蜂の巣のように、完璧に合理的な構造だった。

 だが、蜜蜂たちとは違って、ナチどもは電信と暗号で同胞との意思伝達を果たしていた。

「俺は通信室に行く。お前はヒトラーを探し出せ」

「ええ」

 エーリッヒの言葉に、カタリナは小さく頷く。

 彼の判断は的確だった。通信施設を占拠してしまえば、ドイツからも周辺国に駐留している部隊からも、この『狼の巣』に援軍が派遣されてくることはない。ここが敵の攻撃目標になっていることを知らせることが出来ないのだから。

 どんなに堅牢な要塞であろうと、孤立してしまえばただの密室だ。

 誰が敵で誰が味方かも分からない状態に追い込む。閉ざされた空間では、実に合理的な作戦だった。情報が錯綜し、命令系統が乱れた状態では、常に上官からの指示のみによって動いていた兵士たちは混乱の極みに陥るはずだ。

 混乱こそが最強の武器。レジスタンスたちは、それをよく分かっていた。

 そのためにエーリッヒは単身敵兵の巣に飛び込み、カタリナは俺とともに、その迷宮じみた巣の奥底へと潜っていった。

 いくつものコンクリートの階段、いくつもの鉄板の渡された廊下、いくつもの重々しい扉、それらの全てを進んで行っても。

 そこはどこもかしこも、驚くほど単調なにおいで満たされていた。俺たちオオカミは、においを頼りにして獲物を追う。しかし、その密閉された空間はナチ野郎どもの……いや、ごく当たり前のドイツ兵たちのにおいで満ちあふれていて、アドルフ・ヒトラーのにおいは欠片もなかった。

 それに、俺はヒトラーのにおいを知らない。

 もし奴のにおいを知っていたら、あらゆる分子の中から奴のにおいを嗅ぎ付けることができたかもしれないが。

 辿るべき目標もないまま、俺はカタリナに従って、ただコンクリートと鉄でできたドームの中を歩き回ることしかできなかったのだ。

 勿論レジスタンスたちは、『狼の巣』における総統のためだけの居室や会議室の位置を把握はしていた。しかし、そこにどうやって辿り着けばいいのだろう。カタリナは頭の中にその図面を完璧に暗記していたらしいが、それでも……物事なんていうのは、予定通りには進まないものだった。


「そこの少年兵。何をしている」

 ドイツ兵の声が重々しく響くと同時に、俺たちは背後から明るい照明に照らし出された。

「申し訳ありません。上官とはぐれてしまって」

 彼女はあらかじめ用意していた答えを口に述べた。

「本当にすみません。ここは初めてで」

 声を低く作って、彼女はヒトラー・ユーゲントになりきろうとしていた。

 しかし、ドイツ軍の警備兵は冷淡そのものの態度を崩さなかった。

「上官の氏名を言え。これは命令だ」

「陸軍軍曹、クリストル・シュタイヒです」

  カタリナの答えを待ち構えていたように、奴は意地悪な笑みを浮かべた。

「それはこいつか」

 その声と同時に冷たいコンクリートの地べたに這いつくばったのは、ナチの制服を剥ぎ取られたエーリッヒだった。

「……!」

「あちこち嗅ぎ回っていやがった。貴様ら、連合国かソヴィエトの工作員か、レジスタンスだな」

「違います! 僕たちはベルリンから……」

 彼女の声を遮ったのは、妙に耳障りな、アクセントだけが甲高く聞こえる声だ。

「作り話は終わりだよ、坊や」

 光の壁の向こうからゆっくりと姿を現したのは、いま現在、この世で最も恐るべき、髑髏の記章を輝かせた男だった。

「あんた、ゲシュタポね……」

 死のにおいを隠しきれない男の本性を、カタリナは一瞬で理解した。

「その通り。よろしくお見知りおきを」

 白皙の肌、氷のような空色の瞳、黒い細身の制服……そして、きらきら光る銀色のしゃれこうべ。

 それに、どことなく漂う独特のにおい。糊の利いたシャツのおかげで大分ごまかされてはいたが、俺の鼻は人間よりずっと優れている。

 ナチスの秘密警察。総統ただ一人のみに直結する法執行機関。

 奴は、最高に美しい死神だった。

「坊やなんて言って済まなかった。お嬢さんと呼ぶべきだったね」

 奴が優雅にすら見える仕草でエーリッヒを指し示した瞬間、俺にはようやく奴のにおいの本質が分かった。

 死体ばかり食っているネズミのにおいだ。

「君の相棒が、すぐに答えを教えてくれた。君たちが総統を暗殺に来たと」

  ぴかぴかのなめし革のブーツに踏みつけられながら、エーリッヒは一滴だけ涙を流した。

「すまない、カタリナ……」

 こんな短時間で、どんな尋問が行われたのか、俺には想像もつかない。

 麻薬でも自白剤でも拷問でも、ナチ連中ならなんでもやっただろう。

 自分の中だけに大切に隠している秘密は、普通なら誰にも打ち明けない。だが、彼は何もかもかも話してしまったのだ。

 それほどまでのことを、奴らはエーリッヒにやったのだと俺たちは悟り……カタリナは、悲鳴にも似た声で彼の名を呼んだ。

「エーリッヒ!」

 しかし、彼の答えは悲痛でしかなかった。

「頼む、お願いだ……早く、死なせて」

「エーリッヒ!」

  カタリナの叫びにも、エーリッヒは力なくコンクリートの床に踞っているだけだった。

 ゲシュタポの男は、手にしたワルサーPPKの銃口をカタリナに向けて笑った。

「お嬢ちゃん。君たちの計画は失敗だ。総統閣下は、常にお命を狙われているからね。時には数十分で移動なさる。ここにはもう、君たちの標的はいないんだ」

 勝ち誇ったように彼は言うと、革のブーツでエーリッヒの頭を踏み、まるで人形のように無抵抗な若者の頭を仰向けにして、冷酷に言い放った。

「君たちの勇気に免じて、今から処刑してやろう。この男もようやく楽になれる」

  髑髏の記章を輝かせながら、ナチ野郎は銃口を下ろし、全てを諦めきった顔をしたエーリッヒの額にその銃を突きつけて、最高に楽しそうな笑顔を浮かべた。

「それでは、さようなら。総統閣下万歳」

「エーリッヒ!」

  銃声。

 カタリナの悲鳴。

 どちらが早かっただろう、ほとんど同時だったろうか。

 その次の瞬間に、エーリッヒの……いつも穏やかな笑みを浮かべていたはずの顔が、ぐちゃぐちゃの生臭い肉片になって吹っ飛んでいた。

「おっと、これは失敬」

 ゲシュタポのクズは、自分の手首に飛び散ったエーリッヒの脳をスカーフで拭ってから、禍々しいほどに磨き上げられたワルサーをこちらへと向けた。

「次は君の番だ。さようなら、お嬢ちゃん」

  奴の革手袋をした指が、引き金に力をこめる。

 俺は、何も考えることはなく。ただ本能の言いつけに従って、糞野郎に飛びかかった。

「ぎゃあっ!」

 最初に噛み付いたのは奴が銃を持っていた右手だった。

 金属の塊がコンクリートの床に落ちる、乾いた鋭い音を聞いた瞬間、標的を男の喉笛に変えた。

「ぐ……ああ……」

 頸動脈と気管を、一気に食いちぎる。

 獲物を殺す時には、そうするのが一番いいのだと、俺は家族から教わっていた。

 喉笛を切り裂けば、獲物は仲間に助けを求めることも出来ず、自分の血管から溢れる血に溺れて、そのままただ死んでいくと。

 その通りに、黒い制服の男は、自分から噴き出す血にまみれながら、ほとんど声を出すこともなく、冷たいコンクリートの床に横たわった。

 俺は短く吠えた。

 逃げろ、カタリナ。

 俺もすぐに追いかけるからさ。そうだよ、すぐに追いつく。

 だから、行け!

 ただ、そう伝えたかった。

 ヒトの言葉を話せない俺には、たったそれだけしかできなかったが。

 彼女にはちゃんと伝わった。

 カタリナはゲシュタポ野郎のワルサーを奪うと、俺のことを涙でいっぱいの目で見てから、無言で走り去った。

 さよならを言えなかったのが残念なのは、お互い様だよ。


  カタリナの後ろ姿を見送ってから、俺はなぜだか、妙にくつろいだ気持ちになった。

 あのとき……そう。あの暗い夜、家族が次々と殺されていく中、必死に逃げて、フェンスの傍らで踞ったときのように。

 俺も死ぬんだ。家族の元に行ける。

 カタリナが生き延びてくれていたらと思うだけで、腹の傷の痛みすら忘れた。

 最高の気分だった。

 俺は彼女のために死ぬ。

 それだけで俺は満足だった。

 ナチ野郎とエーリッヒの死体の、ちょうど真ん中くらいに、俺はちょうどい寝床を見つけた。ここならいい。人間どもの血はない。寄りかかれる壁もある。コンクリートの壁は冷たくて、とても気持ちがよかった。

 眠い。

 もう目は開けていられない。

 遠い昔のあの日のように、俺を抱き上げる手は、ここにはない。

 でも、まあ……そう悪くはない結末だ。

 人間によって狼の巣と名付けられた場所で、赤ずきんの手助けをして、本物のオオカミの俺が死ぬんだ。

 そう。

 そう悪くないよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る