ありがたい
今回も意味予想から始めてみる。
〇予想
「ありがたい」を漢字に変換すると「有(り)難い」と「在(り)難い」の2通りが存在する。ここから、「所有」や「存在」が難しいものが実在することへの感謝を意味している。
はて結果は?
〇意味(有り難い・有難い・難有い)
一
①(人の好意や協力に対して)感謝にたえない。かたじけない。
②自分にとって好都合な状態で、うれしい。
③自然に伏し拝みたくなるようなさまである。尊い。
二
①ありそうにない。ほとんど例がない。めったにない。珍しい。
②生きていることが難しい。暮らしにくい。
③めったにないほどすぐれている。
予想では「実在への感謝」の意であると考えたが、実際には上記のような多様な意味が内包されていた。また原義は『有ることがむずかしいの意』であり、読んで字のごとくといったものだった。
そしてこれらの意味の発生順は、「あり」を存在・生存の意で用いるところから始まる。ここから
『二
①ありそうにない。ほとんど例がない。めったにない。珍しい。
②生きていることが難しい。暮らしにくい。』
の意味が生じた。次にこのうちの「めったにない」の意から、
『二、③めったにないほどすぐれている。』の意が生じた。
中世以降はその意味が転じて、
『一、③自然に伏し拝みたくなるようなさまである。尊い。』の意でも用いられた。近世に入ると、その行為などをもったいないと感謝することより
『一
①(人の好意や協力に対して)感謝にたえない。かたじけない。
② 自分にとって好都合な状態で、うれしい。』
の意で多用されるようになった。
これらの意を調べる過程で「ありがたい」を難有いと表していることも見受けられたが、これについては長くなりそうなのでここらで終わることにします。
※参考
大辞林第三版https://kotobank.jp/word/%E6%9C%89%E3%82%8A%E9%9B%A3%E3%81%84%E3%83%BB%E6%9C%89%E9%9B%A3%E3%81%84%E3%83%BB%E9%9B%A3%E6%9C%89%E3%81%84-199583
形容詞に思うこと 淡路結波 @yu-Awaji
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