04
フロントガラスがぶっ壊れちまうんじゃないかって位の雨が叩きつけ風がさらに勢いよく車体にぶつかりこんでくる。
道の悪さも手伝って、右左左右右右とひよこの鑑別氏が分けてくみたいトラックは揺れまくった。
ケンって男はそれに耐えるようにひえのナビに従って運転してく。
雨が振り込むから窓は全て閉めっぱなしで空調も利かないもんだから
あわの口に次々放りこまれてゆくガムの臭いが充満して閉口したが
俺は黙って揺られていた。
「おい、近道ってわりにゃ案外時間かかってんぞ」
ケンがだんだん不機嫌になってきた。ガムの臭いにもムカついてるみたいだ。
「そおっすか?ほら今日は台風の日だからしかたないっすよ、道わりいし。でももうすぐすると海沿いのまっすぐのルートに出ますから大丈夫っす、あーここ出ました、ここっす。一旦止めてもらえませんか」
「すんません、こっからはマジ穴場ルートなもんですから一旦ライト消してもらっていいっすかケンさん」
ケンが舌打ちをしながらヘッドライトを消した瞬間にひえが右手を動かした。
ガァッと喉に飴玉でも詰まらせた様な音がしてケンの喉が掻っ切られた。
ひえはすばやくケンの左腕をまくってズブっと音がしそうなくらい浅く深く確実に注射器を突き立てて中身を全部ヤツの血管の中に押し込んだ。
そしてその注射器をケンのポケットにしまいこんだ。
「まあ、これであんたも同罪って訳だ」
瞬間の出来事に黙って眼しか動かせなくなってた俺にひえが半顔だけ向けて言った。
「荷運びって…」
「ああ、それホント。後ろの荷物あんたの家に運ばせてやるから」
「おれん家?」
「どうせあんたん家、使ってない泥部屋みたいのいっこあんだろ、そこに荷物置かせてやるってんだよ」
「え、何?何のにも」
といった所でヒエから強烈な張り手が食らわされた。
「っったくうるせえな」
真っ白な歯の間から爽やかな声
「早くこいつ動かしてお前んちまでさっさと運転しろ」
ヒエがのたまわった。
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