第十三話 検証、夢の利用法

「いらっしゃ……お?」


 喫茶店のドアベルを鳴らして俺たちが店に入ると、鈴姉が驚いた声を上げて笑った。


「ほほ~、約束通り一人で来なかったね色男」


 俺が天音と一緒に来た事をからかい交じりに喜んでくれているようだけど、あんまり本人の前で掘り下げないで欲しいんだが……。


「何の話?」

「い、いや、気にすんな……」


 後ろで小首を傾げる幼馴染に俺はそう言う事しか出来ない。

 それから俺たちは促されるままに店の端の方、いつも俺が座っていた落ち着く席へと座った。

 ただ、一緒に座った天音は向かいではなく隣に着席した。

 意図せずに天音の体温を真横に感じる事になって、なんというか落ち着かないスタイルなのだが……一応理由はある。


「じゃあ夢次君、これより『夢の本』について調べて行きましょうか」

「お~け~」


 夢の本が『見たい夢が見れる』という遊戯的な楽しさがあるのは俺も天音も分かっているが、この本が持っている力、他の夢を“利用する”方法というのが俺たちは気になっていた。

 そもそもこの本は『俺が』開かない限り、本に触れていない限り文字が浮かび上がらず読む事が出来ない。

 つまり俺にしか使用する事が今のところ出来ないのだ。

 その辺のオカルトな現象に俺は少々不気味に思っていたのだけど、天音はというと「って事はこの本は君にしか使えない、君は本に選ばれたって事だね!」とポジティブに言い切っていたのだ。

 まあそう言われれば今のところこの本に実害は無い。

 自分のエロい妄想(夢)が駄々洩れに伝わった事以外は……。


 そんなワケで放課後にスマフォでググりつつ『夢の本』に出てくる内容を少しでも理解しよう、場合によっては利用しようっていう流れなのだ。

 そう、これは俺が触れていないと本が読めない天音にも本を見せる為に、学校で教科書を忘れた時に隣の人に見せてもらうようなモノだ。


 ……だから鈴姉、そんなカウンターの向こうから「あらあら」って感じで見ないでくれるか!? 余計に意識しちゃうだろ!!

 俺とは対照的に顔を近づけて本をのぞき込む天音は自然体だ。

 自分勝手な夢を見てしまってから、天音の事を意識し過ぎな自覚はあるけどよ……。


「うん、君が捲っていれば私にもしっかり読めるね……何々? 夢を操る方法、初級……明晰夢…………あ、あった」


 天音が検索してみるとすぐにその夢『明晰夢』のワードがヒットした。


「明晰夢、ルシッド・ドリーミング、夢の中で『夢を自覚』する事で夢を操作する事が出来る夢……なんか不思議だけど科学的に本当にある夢なんだね」


 それは俺も思った事だった。

 夢の本なんてオカルトじみた代物で見れた夢だけど、科学的に実証された名称だとは正直俺も最初は思わなかったもの。


「科学的に証明されてんの?」

「うん……え~っと、実際に明晰夢を見れる人はいるみたいだけど……見るまでには相当に訓練が必要みたいだね……ほら」

「……うえ~」


 そう言って天音が見せてくれた明晰夢を見る為の訓練の内容を見て、俺は眉を顰める。

 明晰夢を訓練によって見ようとした場合、相当毎日『この夢を見たい』と意識する事が重要のようだ。ポピュラーなのが夢の日記をつけたり……らしいけど。


「意識しすぎで余計に眠れなくならないかコレ?」

「だね……実際にやろうとしても眠れないし、面倒になって止めちゃう人が多いみたい」


 だろうな……毎日日記をつけて、常に夢を意識しながら~なんて作業を必要とするなら、俺は一日で止める自信がある。


「それなのに、この本はそんな訓練いらずで好きな、見たい夢を見れるんだから、最高よね」


 見たい夢を訓練なしで簡単に見れる……確かに昨日のヒーローの夢は天音のDVDを利用する事で簡単に見る事が出来たけど、確実に見れるかというと微妙だ。

 何故なら結果的に俺がはまってしまった“あの夢”は本来『学園ラブコメ』の夢を見るつもりで選択した本が原因だ。

 無理やり共通点を上げるとなると『幼馴染』『ラブコメ』『ヒロイン一択』辺りくらいだし、何であんな夢を見てしまったのか分からない。


 ……あの本が本能的に俺が見たかった夢を選択した……とか?


 だとすると、あの本には漫画みたいに意志が宿っていて、ソムリエの如く、果ては司書の如く俺に最上の物語を提供してくれた……という事なのだろうか?

 そんな事を考えていると、横から天音に頬をつねられた。


「いててててて!? な、なんだなんだ!?」

「……なんか今、またエッチな事を考えてなかった? 最近君が考えてる風だと高確率で“あの事”を考えている気がするけど?」


 不満げに顔を赤らめる天音の態度であの事が例の夢の事を言っているのは明白だった。

 え!? 何で分かる!? そんなに顔に出ていたのか俺!?


「めめ、滅相もない。明晰夢からあの一週間の日々を思い出すなんて事は絶対……」

「……私はまだ“その夢の話”だなんて言ってないんだけど?」

「…………あ」


 語るに落ちるとはこの事……くそう、誘導だったのか!?

 俺は真っ赤になる天音に両手で顔を挟まれて、正面からメンチ切られる……美女の静かな怒りはハッキリ言って恐ろしい。


「いい……あれは夢だからね。絶対にカウントされてないんだからね……勘違いしちゃダメなんだからね……お~け~?」

「お、おーけーおーけー……」


 そんなやり取りを経て、俺たちは『夢の本』に記されている内容を調べつつ読み進めていく。

 ただ、その過程で少しだけ分かってきたのは世の中で言われている一般の『夢の種類』とこの本が示すモノは微妙にニュアンスが違うって事だった。


「共有夢……他者と同じ夢を見る事。世の中的には“集団催眠”とか“選ばれた人へのお告げ”とか色々言われてるけど、大抵は『同じ情報を持った人が似た夢を見た偶然』でかたずけられているのね」

「そりゃそうでしょうよ。本当なら夢は一緒に見るモノじゃないからな」


 言葉通り睡眠の夢は個人個人で見る現象でしかないはずだ。

 だからこそ『夢の本』の“他者に自分の夢を共有させる”というのは、やはり非科学的な事なんだよな……一体この本は何なのだろう?


「今夜は一緒に合体するんだからね。先に寝ないでよ?」

「わ~かってるって」


 どうも昼間の論争がまだ引きずっているらしく、天音は『今日は巨大ロボットでバトルの夢』と決めているようなのだ。

 俺はリアルロボットで連携攻撃ってのを押したいんだが、止むえまい……。



「予知夢……これは調べなくても知ってるよ。夢で見た事が現実になるってヤツだよね」

「正夢って言い方もするんだっけか?」

「夢で見た事が実際に起こるって事で、大体が良い事も悪い事でも当てはまるみたいだけど……こっちの本の内容は少し物騒な感じだね」

「まあ……な」


『予知夢』 術者、もしくは近しい者に対して生命に及ぶ危機が近づいた時、発動する。 

 一度助けられたけど、この夢はなるべくなら見たくないな……。



「過去夢、昔起こった事を夢に見る……現実がうまくいってない事があると見る事が多い……現実逃避の意味合いもある……うん?」

「天音、それって夢占いの内容じゃないのか?」

「うん、そうみたい……ネット検索だと夢の内容ってそう言うのに行き着きやすいのよね~」


 過去の『自分の』夢を見るって事なら確かにちょっと現実逃避が入っているのかも。

 実際、俺も天音と子供の頃一緒に遊んでいた夢を何度も見ていたワケだし。

 でも、この本が示す『過去夢』はちょっと興味をそそるな。


『過去夢』 術者がその空間内の過去へ夢として遡れる。

      ただし過去夢中、本人はその場から動く事ができない。

 これってようするに『サイコメトリー』ってヤツじゃないのか!?



「未来夢……将来起こりうるシーンを夢に見る事……言い方が違うけどこれも予知夢とか正夢の部類に聞こえるけど?」

「私は逆にさっきの夢占いの過去夢の見解に近い気がするけどね。今がうまく行ってないから、これから良い事があるって未来を夢見るって感じに……」

「……要するにどっちも現実逃避の一環って事?」


 そんな風に断じてしまうと……なんとも夢の無い話である。

 夢の話だと言うのに……。


『未来夢』  対象に『あり得るかもしれない並列世界』を見せる夢。



 と、ここまで順調に調べていた俺たちだったけど、ある項目に差し掛かった所で今までスムーズにスマフォをスクロールしていた天音の手が止まった。

 まあでも、手が止まったのは正直分からなくはない。次の夢の項目は……。


「悪夢……か。確かにあんまり面白そうじゃないな」

「ん~~~~まあ……ね」


 微妙な顔で天音も同意する。

 悪い夢、嫌な夢、現実でも嫌な事が起こった時に引用される事も多い単語だしな。

 それでもある種の義務感でもあるのか天音は悪夢をスマフォで検索してみる。


「悪夢は、自分の命、尊厳を脅かすような恐ろしい内容の夢。恐怖で起きてしまうほど生々しく、夢の内容を鮮明に思い出すことができるもの……か」


「ただし悪夢と言っても悪い事ばかりではなく、不安に思っている事を先に見せる事で警告するような役割も果たす。例えば『遅刻する夢』『忘れ物をして怒られる夢』など」


 ……なるほど、そう言われれば確かにそうか。

 自分で不安に思っているからこそ悪い予想として先に見せている、と考えれば悪夢だって立派な役目を果たしているとも言えなくないな。


「なかなかポジティブな捉え方だよな~。俺はこんな考え方嫌いじゃないけど…………どうかしたのか天音?」


 俺が検索結果に感心していると、天音は妙に浮かない顔をしてスマフォを眺めていた。


「……え? ああ何でもないんだけどさ。ちょっとこの悪夢の下りで『夢の内容を鮮明に思い出すことができるもの』ってあるじゃない? これって、覚えていなければ悪夢じゃないって事なのかな?」

「この通りに解釈するなら、そうだろうけど……」

「だよね……う~~~~ん」

「どうかしたのか?」


 なんだかその見解に対して納得が行かないような感じで唸りだす天音だが、俺が質問すると不安そうに口を開く。


「夢二君、この本で明晰夢を見るようになったのって何時からなの?」

「う、え~っと……大体10日くらい前かな?」

 唐突に聞かれて言葉に詰まってしまうが、慌てて思い返してみると魔が差して“アノ夢”を連日おかわりしてしまうまでは色々な映画やゲーム、漫画を体験しようとしていたからな。

 合わせて考えるとそのくらいの日数になると思う。


「最初の夜に見た夢って、もしかしてアメコミヒーローの?」

「……そうだけど、もしかしてその日から?」


 確かに俺が喫茶店でこの本を手に入れてから最初の夜に選んだ夢は有名なアメコミヒーロー大集合の映画だった。

 つまり俺の見ていた夢は最初から共有夢で近所の天音に駄々洩れだったって事らしい。


 ……あまり変な話を選ばなくて良かった……心の底からそう思う。

 アノ夢以上のやらかしはそうそうない気がするけど……。


「その夢では私はヒーローに助けてもらう一般人だったけどね~。でね? 君が私を共有夢に巻き込む前なんだけど、見ていた夢があるんだ」


 そう言ってカラカラとひとしきり笑うと天音は真剣な顔になった。


「もしかしなくても……悪夢なのか?」

「君のお陰か分からないけど、多分10日前からは見てない……と思う。ネット検索で記憶に残るのが悪夢って言ってるからどうかは分からないけど」

「えらく歯切れが悪い物言いだな」

「毎朝起きる時に“嫌な夢を見た”って事だけは分かるのに、いつも夢の内容は覚えてないのよ。何か、すごく怖い夢だったのは分かるのに……」


 そういう天音の顔は暗く、明らかに怯えている。

 夢の内容を忘れるのは珍しい事じゃない、むしろ覚えていられた時の方が特殊だと思っていいんじゃないか?

 実際夢について詳しい先生の意見では『人間は浅い眠りと深い眠りを繰り返し、夢は浅い眠り“レム睡眠”で見るもの』らしく、人は一回の睡眠で繰り返し夢を見ているのだという。

 要するに覚えていられるのは明け方の、最後のレム睡眠の時のみで、それすらも覚えている時が少ないとか何とか……。


「夢を忘れるのは不思議じゃないみたいだし、その頃何か嫌な事でもあったんじゃないの?

ストレス過多でも悪い夢ってみるみたいだし……」


 俺が話題を切り上げようと適当にそう言うと、突然天音は瞳をカッと見開いた。


「そう! それもあるのよ!! ちょっと聞いてくれる!?」

「お、おう」


 覚醒したように勢い込む天音に俺は驚いたが、そこから始まった天音の弾丸グチトークには更に驚かされていた。

 天音は基本的に男女問わずに仲が良いクラスの調停役みたいな位置づけなのは俺も知っていたけど、それ故に色々と人間関係で溜まるストレスがあるようなのだ。

 一度噴き出すと、まあ出るわ出るわ……特に最近、穏やかに空気を読んで話にいつも付き合っていたらしいけど勝手に流れ出した“自分と噂になったチャラ男”の噂は天音の心労をマッハで加速させていたらしい。

 さすが神楽、神威の親友たちの情報は偽りなく正確だ。


「だいたいあの男、他のクラスにも彼女がいるのよ複数。その上で俺は女にモテるんだぜアピールしてから“俺の女にしてやる”ポーズを取るのよ……ウザイったらないわ! 愛想笑いで流してれば調子に乗るし、話を聞いてないとしつこくアピールするし!」

「そりゃ~確かにウザイな」


 俺様系の上にナルシストとか……ある意味徹底していて中二病よりもたちが悪いな。

 しかしあまりいい感情じゃないのは分かっているけど、天音がヤツの不満を吐き出してくれるのが凄く嬉しかったりする。

 それはヤツには噂以上に脈が無い事への証明だし、なによりこんなグチはクラス内では親友以外には絶対に天音は漏らさないはずだからだ。

 幼馴染とはいえ、先日ようやくまた話すようになった俺に素の姿を見せてくれる事がすごく嬉しい。


「でも……今までは空気読んで我慢してたのに、今日は結構バッサリと拒絶したみたいだけど……良かったのか?」


 そう言うと天音は「うっ」と唸って瞳を泳がせる。忘れていたらしい。

 しかし少し考えて上で天音はコーヒーを一口含んだ。


「いいよもう、いつかは区切りを付けないといけなかったし、私には悪口を元にした自分語りよりもロボット談義の方が大事だったもの」


 そう言ってはにかむ天音の言葉に嘘は無いだろう。

 でもあの時天音が口に出した拒絶が思わず出た切っ掛けが“俺への侮辱”だった。

 つまりちょっと自惚れると天音は俺の為に怒ってくれたってワケで……。

 そんな幼馴染は鈴姉がサービスで出してくれたショーとケーキを一口頬張って、さっきの不機嫌とは一転した極上の笑顔を浮かべた。


「ん~~~~美味しい。やっぱりお姉ちゃん家のケーキは最高よね~」

「なんなら俺のも食うか?」


 俺は同じようにサービスで持ってきてくれたモンブランを天音に差し出した。

 別に甘い物が苦手ってワケでもないけど、絶対に食べないといけない程でもない。

 それよりも天音が今見せた極上の笑顔を見れるのなら…………。

 しかし天音は一瞬だけ顔を輝かせたが、歯を食いしばって首を振る。


「だ、駄目よ、ケーキは一日一個まで……それ以上は危険、危険なのよ」


 甘い物を制限する……男よりも活発だったのに、何というか天音もしっかりと女子してんだな~。

 久しぶりに話してみると何気ない変化というか成長というか、疎遠だったここ数年でも違いがあるんだな~ってしみじみ思ってしまう。


「気にしなくても良いんじゃないか? まだ時間は早いし、だいたい天音は全然……」

「ダメ! それ以上言わないで!! それは古来より女子を誑かす悪魔の甘言なの。その言葉に数多の女子は敗北して来たんだから」

「敗北って……」

「まだ大丈夫な時間、全然太ってないよ、もう一つくらい大丈夫……一つでも許容した瞬間、地獄の蓋が開いちゃうのよ……」


 瞳から炎が立ち上るほど真剣な天音に俺は二の句が告げない。

 う~む、お年頃の女子は修羅道か何かを進んでいるのだろうか?


 しかし難しい顔をしていた彼女はハッとすると『夢の本』を最初の方、明晰夢のページに戻した。


「明晰夢とはいえ実際の感覚、痛覚とかの五感を完全に再現するには実際の体験、完全な情報が伴わないと難しい……か」


 明晰夢の項目、条件は結構多くて複雑ではある。

 当たり前な事だけど映画や漫画のヒーローみたいに現実でパンチ一発で岩を砕ける人間はいるワケないし、銃弾を生身ではじく経験をした人もいない。

 仮に砕けるパワーがあったとしても、肉体側が耐え切れず痛いなんてものじゃない大怪我を負ってしまうだろう。

 明晰夢でヒーローをやっている時にもその辺の感覚は実に曖昧だった。

 それがどうかしたのか聞こうとすると、天音は実にいい笑顔でズイッと顔を近づけてきた。


「ねえ夢次君、ちょっと口を開けてみて?」

「え、あ? あ~~」


 唐突な彼女の行動に驚き俺は反射的に口を開いてしまった……何の考えもなしに……。


「うん……はい!」


 パク……そして突然口いっぱいに広がるイチゴの酸味と生クリームの優しい甘さ。

 何が起こったのか、何をされたのか理解するまでに数秒かかった。

 そして理解が及んだ瞬間、血液が逆流する! 沸騰する!!

 顔面が、全身の体温が急上昇する!!


「う、うえ? ふぁ、ふぁにお!?」


 それは最早都市伝説だとすら思っていた、あったとしても俺とは全く無縁の存在だと思っていた怪奇現象。

 女子からのあ~んからの間接キス……!?

 あまりの唐突な大事件に俺は狼狽して混乱するしかできないのに、天音は何でもないような顔をして「フフフ」と笑った。


「よ~し、これで君はこのショートケーキの味を覚えたね?」

「……は、はえ??」

「これで……私の野望が叶えられる……ククク……」


 まだ理解が追い付かない俺に天音は明らかに作った悪人面を浮かべて手を組んで笑う。

 天音の企みはこう……あの『夢の本』で明晰夢を見る場合、使用する俺が情報、つまりショートケーキの正確な味を覚えていれば、夢の中で幾らでもショートケーキが食べられる……そう思ったらしい。

 つまり『夢の中ならばケーキを幾ら食っても太らない』って事みたいだ。


「乙女の永遠の夢!『いくら食べても太らない体質なんだよね~~』あの言葉を口にした女子に何度血涙を流した事か……それが……ふふふなんて素敵!」


 少女漫画のようにキラキラした瞳で、そんな事を力説されてもね。

 俺はお前に今された事で頭が一杯で……正確なケーキの味なんて覚えている自身が無いんだけど……。


「明らかにショートケーキとは別の“甘味”が加わっているんだけどな」



 ちなみにその晩に見た夢は『戦う巨大ロボットの中でホールのショートケーキを二人羽織で食べる』という良く分からないものになってしまった。

 ……何でも詰め込むのは良くないって事なのか?

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