月の魔物 レモンの果実

月(moon)地球の周りを回る衛星。周期は約29.5日。しんげつ→上弦→まんげつ→下弦→朔の順に満ち欠ける。(この変化を月の位相という)




【童話】


月が出てくるお話


ヨーロッパ…ゴルゴットの水甕◯


ヨーロッパ…ロバのうた◯


ヨーロッパ…真夜中のピアノ◯


ヨーロッパ…みかん畑にレモンが三つ


北アメリカ…白い貝◯


北アメリカ…月を飲んだ蛇


南アメリカ…魔物のいるレモン酒◯


アジア…カニのかんづめ


アジア…雨の日、月を見た◯


ギリシャ神話…首◯


北欧神話…マーニと天秤棒◯



 夜に事件が起きる。夜に物語が大きく動く物語を厳選。

 童話の世界は凶暴な動物や世にも恐ろしい怪物が平然と登場するが、月がでてくる物語の怪物は狡猾で人をだましあやつる。




  (前略)


 ――窓ぎわにおいている、おおきな水甕には水が入っています。その水に映った月からするりと、とがった指がでてきました

 つのの生えたあたま、毛むくじゃらの体がすべてでてくると、エリックは気づいたのです

 この城のひみつに水甕がかかわっていたのです



                          (『ゴルゴットの水甕』おはなしのともしび)




 ヨーロッパや東洋は月に魔物が潜んでいると考えられ、月の光と浴びると人の精神に異常をきたすと言い伝えられている。

 『魔物のいるレモン酒』は、飲むと怒りやすくなるレモン酒を配る魔物が登場し、『みかん畑にレモンが三つ』はレモンに潜む魔物を果物ごと暖炉に入れてハッピーエンドをむかえることから、レモンは魔物と関与している。

 厳選した物語は雨や湖など、水が出てくる話が大半を占めている。他の話は水がなくても、月が反射するピアノやバケモノが出入りする鏡がでてくる。月に反射するものが物語のキーとなっている。(※◯をつけた物語が反射する要素が入っている)

 月ではなく、反射した月の描写が入っている物語が多い。




ケイン.ユニエル(1897~1965)

 童話作家。童話蒐集家。

 彼のてがける童話は「つき」カイブツ」「白い生き物」が多く登場する。

 精神病をきたし、人生の大半を病院ですごす。








【専門的解釈ありー語句集】


0【月】yué/moon 1.太陰。地球の衛星。2.つきかげ。月の光。3.としつき。光陰。4.つきもの。月経。

≪解字≫象形……月の欠けた形にかたどり、月の意味を表す。形成文字の音符となるときには、えぐりとられて欠けるの意味が共有する。



matchmaker【月下氷人】「月下老人」と「氷上人」を組み合わせた単語。結婚の仲立ち行う人


Moon soul【月魄】月の精。月の別称。月霊


Moon cave【月窟】月の中の岩穴(誰一人訪れる者もなく、月だけがむなしくの中)。西の果ての地。月の出る所


World after death【月宮】月の都にあると信じられてきた宮殿


Age【月齢】月の満ち欠けの大きさを表す日数


menstruation【赤月】月経で流れた血


Moe【朦月】月の光によってできる影。幻影


Carnival【月祭】月を祭る。謝肉祭




Reflection【鏡面】レンズの面。反射する虚像


Holy animals【白い生き物】童話にでてくる白い生き物は聖なるシンボル、魔除けとして扱われる


Lemon【レモン】(学名: Citrus limon)ミカン科ミカン属の常緑低木、。またはその果実。香水にすると集中力を高める。童話で魔物が身近にひそむアイテム


【レモネード】清涼飲料。摂取した人の精神が不安定になる(※統計中。未編集)









【事件】

カテゴリー検索

a.夜の出来事

b.突発的な衝動

c.レモネードを飲んだ

d.昼の月をみた

e.白い幻



ケース1

30代(男性)/abc (満月)


 仕事の不満で苛立ちを感じ、気を紛らわせようと外出

 ひと気のない道を選んで歩いたのに通行人とすれ違い、怒りが爆発。暴行に走る。被害に遭った人と面識はない



ケース2  (半月)

40代(女性)/ab?c


 同居人の通報により事件が発覚

 夜になると言動が乱暴になり、外を徘徊する日々が習慣となっていた。心配した友人が尾行すると、動物を殺害している瞬間を目撃。後に警察が調査して、毎晩殺戮行為におよんでいたと判明

 事件の犯人である女性は温厚で誠実な誠実。夜の記憶が抜けている。夜になると凶暴になることは、他人が確認済み



ケース3 (下弦)

20代(女性)/d


 昼間に車道へ飛び出し、走行中の車と激突。

 彼女は以前から幻覚に悩んでいた。今回の事故はその幻覚から逃げようとして起きた

 右腕と右足のない、異様に髪が長い子供につきまとわれるようになった





 ※a.「夜の出来事」とb.「突発的な衝動」はセットになっている。夜に精神面が不安定になり、理性が保てなくなる。

 インタビューにこたえてくれた人のなかで、d.「昼の月をみた」に該当する人がのちに白い姿の人影の幻覚を見ている。見る時間帯はまばらで昼間も見える。

 e.「白い幻を見た」人は夜に犯罪を犯した人はいない。








参考文献


『幻語辞典 新』 スミル社  

『世界の童話』 ゴム・ボンド編集

『ケイン.ユニエル童話集』 ケイン.ユニエル著

『月が引き起こす魔法』 マイク・アスファルト著

『ケイン.ユニエルの物語』 ROH社

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